親衛隊隊長だけど彼女がいます!

kira

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(19)夏祭りに参加!

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 夏休みスタート!
 実はあの赤糸祭りは夏休みに入ってすぐに開催されるのだ。そして今日は祭り当日。雫と一緒にまわるが、それぞれ浴衣を来てこようと約束している。俺は浴衣を親に寮まで送ってもらった。雫は着付けが大変らしく、実家に戻って彩ねぇに着付けてもらうらしい。





 夏祭りが行われる神社に向かうにつれて、人が増えてきた。カップルがちらほらとみえるのと、学園生らしき人が多くみえる。夜になってきたこともあって、両脇に飾られた提灯が幻想的な道を作り出している。

(雫との待ち合わせはどこか目立つところがいいよな。鳥居の脇とかが無難か?)

 カランコロンと音を立てながら、俺は鳥居の脇へと向かう。母親が張り切って下駄まで送ってきたから今日の俺は全身和装だ。

「幸輝!おまたせ!」

 雫の声にスマートフォンから顔をあげると思わず声を失った。まるで女神のような人が立っていた。青色の浴衣に結い上げた髪。全てが雫の雰囲気に合っていた。

「どうかな?浴衣は子供のとき以来だけど、変なところはないと思うんだけど……。」
「に、似合ってる……。」
「ぷっ!あはは!顔真っ赤!惚れ直しちゃいましたか?」
「惚れ直しちゃいました笑」
「……!ありがとう。幸輝も……かっこいいよ……笑」
「じゃあ行こう!」
「おう!って手!」
「手、繋ぎたかったから。学園の人に聞かれたら迷子防止って言えばいいよ。」

 俺は雫に手を引かれて人混みの中へ進んだ。




「お腹すいたな。」
「ね!なにがいいかなー。あっ!焼きそば!」
「ほんとだ。いい匂い!」
「2つください。」
「はいよー!」
「はい。」
「ありがとう!」

「おっ!わたあめあるじゃん。」
「わたあめってキャラものの袋に入ってるから小さい頃は絵柄めっちゃ選んでたなー。」
「そうだな。雫は女の子のキャラクターとか選んでたな。」
「そうそう!響くんは意外と動物モチーフのキャラクター選んでたね。」
「そうだな。あいつ意外と可愛いもの好きだからな。」

焼きそばとわたあめを手に持って、ふらふらと歩く。

「射的あるね。」
「雫の得意なやつだな笑」
「ふふふ。何がほしい?」
「え。いや特に……じゃああの大きいぬいぐるみかな。」
(響も可愛いものが好きだったが、雫も好きだからな。)

「おっけー!任せて!」

 2人分の食べ物を持って雫を見守る。雫は真剣な目をして景品を見ている。

 パン!パン!パン!
 見事に景品に玉が当たる。俺が指定したぬいぐるみを早々に落とし、様々な景品を落としていく。いつの間にか俺たちのまわりには人だかりができていた。

「これでラスト!」
「「「おぉー!」」」
「お姉ちゃんすごいな!これじゃうちは商売上がったりだよ笑」
「えへへ……すみません。」
「お姉ちゃんすごーい!」

 雫の近くにいる小さな女の子が雫にキラキラした目を向けている。

「ありがとう。良ければこれあなたにあげる。」
「えっ!いいの!?このくまちゃん欲しかったんだー!」
「ありがとう!ばいばーい!」

 雫は大きなぬいぐるみを女の子に渡した。女の子は嬉しそうにぬいぐるみを抱えて母親のところへと駆けていく。少し離れたところにいる母親がこちらに何度もお辞儀をしている。

「おじさん。あのぬいぐるみとこのキーホルダー2つだけで景品は大丈夫です。」
「ほんとか?助かるわー笑」
「いえ楽しませてもらったので!」

 そう言って雫はペアのキーホルダーだけもらってきた。

「幸輝ごめんね、あのぬいぐるみ。」
「いいよ。俺が欲しいんじゃなくて雫が好きかなって思って。」
「ちょっとそうかなーって思った。でもあの女の子ぬいぐるみをずっと見つめてたからさ。」
「雫らしいや笑」
「そのかわり、はいこれ!」
「イルカのキーホルダーか、可愛いな。」
「うん!私たちにはこれがいいんじゃない?」
「そうだな!」
(俺が告白した水族館を思い出すな。たぶん雫もそう思ったんだろ。あのときは緊張したな……。響にはやっと告白するのかよって呆れられたな笑)

 その後は様々な出店を冷やかしながら歩いていた。荷物が増えたのでもう手は繋いでいない。はぐれないように注意しなければ……。





「どこかで座って食べたいねー!」
「そうだな!さすがに冷めてきそう。」

 2人でベンチでも探そうと歩いていると向こうから見たことのある人たちが歩いてくる。

「あれ?こーくんじゃない?」
「香!それに東雲!偶然だな!」
「うん!偶然だね!それにしても隣の美人さんは……瑞希くん?」
「こんばんは!香くん。瑞希っていうのは偽名で本名は雫だよ。」
「そうなんだ!じゃあしーちゃんだね!」
「ふふっ。なんかしーちゃんって可愛い言い方。それで彼は……?」
「俺は東雲蒼也だ。事情は知ってる。」
「あぁ学年1位の!雪城雫です!」
「そうだよ!東雲1位すごいよ!びっくりした!」
「ありがとな。勉強は得意な方なんだ。」
「そーくんも一緒に勉強会参加すればいいのにー!」
「俺は1人で勉強するほうが捗るんだよ。」
「そういう人もいるよね。できれば私とも仲良くしてくれると嬉しいな!」
「藤岡の彼女だろ?なら良いやつだと思うし友達になれるかもな。」
「そーくん照れ屋さん!しーちゃんが美人だからいつもより無愛想だね!笑」
「香……うるさい。でもあのモジャモジャがこんな変わると驚くな。」
「うん!生徒会メンバーに会っても気づかれないと思うよ!」
「え?生徒会メンバーに会ったのか?」
「話してはないけどね!見かけただけ!」
「へぇ...。」
(めんどくさいからなるべく会いたくないな。蘭丸先輩や花房先輩なら察してもくれそうだけど……他は……うーん……。)

「それより香もう行くぞ。」
「えっ!?もう?」
「そうだろ。」
「確かにデートの邪魔しちゃったね!もう行くよ!」
「「そんなことないよ!」」
 思わず雫と2人で反論する。どちらも良き友人だから話していて楽しいのだ。まぁ久しぶりのデートだから照れ隠しもあるが。
 2人で声をあげたことで東雲も香も驚いた顔をしていたが、次第にニヤニヤした顔に変わる。

「そんな顔で言われてもな。な?香。」
「うんうん!じゃあごゆっくりー!」

 2人はそう言い残して人混みへ紛れていった。

「もうやっぱり幸輝の友達は似たような人が多いね。」
「なんでだろうな……?でも良いやつらばかりだけどな。」
「そうね!私も香くんや東雲くんと仲良くなれそう。」
「きっとなれるよ。」





 東雲や香と会ったあと、座るところをまだ探していた。境内の奥の方は出店があまりないようで、そこへ向かって歩いていく。だがそこへ向かう途中の境内の中心はやはり人が多いようで、満員電車のような道が続いている。

「雫?ちゃんといるか?」

 手を繋げないまま歩いていたため、いるか確認するために雫に声をかける。……はぐれたようだ。
 一旦人混みを避けて道の脇へとずれる。携帯で連絡を取ろうと試みるが、人が多いせいで圏外になってしまう。

(これは……ここで待ってても合流できないかもな。もともと向かっていた境内の奥へ行くか……。)





 人混みを抜け、境内の奥へと来た。
(雫はいないみたいだな。携帯は圏外のままか。少し待ってみよう。雫なら同じことを考えてここに来るだろ。食べ物たちが完全に冷める前に合流できたらいいな。)

「幸輝か?」
「えっ!」

 人がほとんどいないここに現れたのは、会長を筆頭とする生徒会メンバーだ。会いたくはなかったが、遭遇してしまったようだ。皆、それぞれ似合った浴衣を身に付けている。色々な人から生徒会メンバーは一緒にまわると聞いていたので、そこに驚きはない。だが不審な人物がいることに驚きを感じた。
 まるで変装した雫のような人物がいるのだ。モジャモジャの髪に分厚い眼鏡、お祭りだからだろう着てる浴衣はぐちゃぐちゃだ。その謎の人物は、生徒会メンバーではない男前の男性の腕に自分の腕を絡めている。

(えっ!?雫!?いやでも雫はさっきまで綺麗な格好してたし一瞬で変装は無理か。というかあんなにへなへなした行動はしないし誰だ?)

 俺は夏祭りにて何かおこりそうな面子と遭遇したらしい。
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