僕の異世界生活

餡ころ餅

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ティグの街へ

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泣き疲れた僕はどうやら寝てしまっていたようだ。
ふと目をあけると、目線がいつもより高く、寝ていたはずなのに───意識が一気に覚醒した。
そう、リアムにおぶられていたのだ。

「わ、わわわ!!!り、リアム、ごめ」

突然飛び起きて暴れたため、リアムはうっかり支えていた腕を離し僕はまた尻餅をつくことになった。

「す、すまない。怪我はないか?」

リアムの差し出した手を取り、立ち上がる。
パンパンと泥をはたき落として、お礼と謝罪を言い頭を下げた。

「気づいたら寝てたみたいでごめん!しかもその間おぶって移動してくれてたなんて……」

僕の持っていたカバンもリアムがちゃんと手に持ってくれていた。
そうこうしているうちに、森を抜けると大きな門が見えた。


「あれがティグの街だ。カズトはこの世界の身分証や金を持ってないだろう?とりあえず街についたら冒険者ギルドでギルドカードを発行しておこう」

この世界には冒険者ギルドがあちこちにあって、そこでのギルドカードが身分証の代わりになるらしい。
冒険者ギルドでは薬草の採取や人のお手伝いからさっきのホーンラビットのような魔獣などの討伐依頼などもあるらしい。
うん。予想通りというかなんというか。
ただ驚きなのがギルドカードはこの世界のほとんどの人が所持しているらしい。
身分証明書になるから5歳になると教会で洗礼と祝福を受けたあとギルドカードを発行するらしい。

さらに電子マネー的な役割をしてくれていて、ギルドに預けているお金から引き落としでカードで買い物ができるというから驚いた。
しかもカードも本人しか使えないように魔法をかけられているから悪用もされにくいとか。
これはこの世界の共通らしく、商業ギルドに登録してあるお店ならどんな田舎の小さな店でもカードから支払いができるとのこと。
だからこの世界の人はギルドで依頼を受けなくてもカードを発行するようになっているらしい。

「なるほど、だから街についたらギルドなんだね」

「あぁ、あとさっきのホーンラビットの死体も回収しているからそれを売れば少しは金になるだろう」

そう言いながらリアムは自身のポーチをポンポンと叩く。
あの小さなポーチに……?あ、それって

「マジックバッグ!?」

思わず声が大きく出てしまって慌てて口を抑える。
マジックバッグといえば、見た目の割にたくさんの容量があって、たしか空間魔法とかなんとかで拡張されてるんだっけ?しかもそういうのって貴重で高価なんじゃ……

「あぁ、よく知ってるな。それも異世界で得た知識か?このマジックバッグはギルドで登録したときに無料で支給されるんだ。もちろん、より容量の多いものも売っているがそれは高級品だしな」

マジックバッグが無料で支給されるんだ……。
この世界の冒険者ギルドってすげー……。

そんな話をしていると門にたどり着いた。

門番ぽい人に軽く挨拶してリアムが受付の人と僕の方を見てなにか話している。
あれかな、身分証ないから入れないとか?
ここで追い出されたらどうしよう……

「カズト」

不意に呼ばれ顔をあげるとリアムが手招きしていた。
「僕、身分証ないけど入れる?」

「大丈夫ですよ、リアムさんが身元保証人になってくださってます。ギルドでカードを発行しましたら、再度こちらにお越しいただいて登録しますね」

受付の人が微笑みながら説明してくれた。
門を通る際、ギルドカードをかざして身元の確認をしているらしい。もし、犯罪者や偽装していればここで分かるから街には入れないとか。


そして僕は、異世界で初めての街に入ったのだった。
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