4 / 7
ティグの街へ
しおりを挟む
泣き疲れた僕はどうやら寝てしまっていたようだ。
ふと目をあけると、目線がいつもより高く、寝ていたはずなのに───意識が一気に覚醒した。
そう、リアムにおぶられていたのだ。
「わ、わわわ!!!り、リアム、ごめ」
突然飛び起きて暴れたため、リアムはうっかり支えていた腕を離し僕はまた尻餅をつくことになった。
「す、すまない。怪我はないか?」
リアムの差し出した手を取り、立ち上がる。
パンパンと泥をはたき落として、お礼と謝罪を言い頭を下げた。
「気づいたら寝てたみたいでごめん!しかもその間おぶって移動してくれてたなんて……」
僕の持っていたカバンもリアムがちゃんと手に持ってくれていた。
そうこうしているうちに、森を抜けると大きな門が見えた。
「あれがティグの街だ。カズトはこの世界の身分証や金を持ってないだろう?とりあえず街についたら冒険者ギルドでギルドカードを発行しておこう」
この世界には冒険者ギルドがあちこちにあって、そこでのギルドカードが身分証の代わりになるらしい。
冒険者ギルドでは薬草の採取や人のお手伝いからさっきのホーンラビットのような魔獣などの討伐依頼などもあるらしい。
うん。予想通りというかなんというか。
ただ驚きなのがギルドカードはこの世界のほとんどの人が所持しているらしい。
身分証明書になるから5歳になると教会で洗礼と祝福を受けたあとギルドカードを発行するらしい。
さらに電子マネー的な役割をしてくれていて、ギルドに預けているお金から引き落としでカードで買い物ができるというから驚いた。
しかもカードも本人しか使えないように魔法をかけられているから悪用もされにくいとか。
これはこの世界の共通らしく、商業ギルドに登録してあるお店ならどんな田舎の小さな店でもカードから支払いができるとのこと。
だからこの世界の人はギルドで依頼を受けなくてもカードを発行するようになっているらしい。
「なるほど、だから街についたらギルドなんだね」
「あぁ、あとさっきのホーンラビットの死体も回収しているからそれを売れば少しは金になるだろう」
そう言いながらリアムは自身のポーチをポンポンと叩く。
あの小さなポーチに……?あ、それって
「マジックバッグ!?」
思わず声が大きく出てしまって慌てて口を抑える。
マジックバッグといえば、見た目の割にたくさんの容量があって、たしか空間魔法とかなんとかで拡張されてるんだっけ?しかもそういうのって貴重で高価なんじゃ……
「あぁ、よく知ってるな。それも異世界で得た知識か?このマジックバッグはギルドで登録したときに無料で支給されるんだ。もちろん、より容量の多いものも売っているがそれは高級品だしな」
マジックバッグが無料で支給されるんだ……。
この世界の冒険者ギルドってすげー……。
そんな話をしていると門にたどり着いた。
門番ぽい人に軽く挨拶してリアムが受付の人と僕の方を見てなにか話している。
あれかな、身分証ないから入れないとか?
ここで追い出されたらどうしよう……
「カズト」
不意に呼ばれ顔をあげるとリアムが手招きしていた。
「僕、身分証ないけど入れる?」
「大丈夫ですよ、リアムさんが身元保証人になってくださってます。ギルドでカードを発行しましたら、再度こちらにお越しいただいて登録しますね」
受付の人が微笑みながら説明してくれた。
門を通る際、ギルドカードをかざして身元の確認をしているらしい。もし、犯罪者や偽装していればここで分かるから街には入れないとか。
そして僕は、異世界で初めての街に入ったのだった。
ふと目をあけると、目線がいつもより高く、寝ていたはずなのに───意識が一気に覚醒した。
そう、リアムにおぶられていたのだ。
「わ、わわわ!!!り、リアム、ごめ」
突然飛び起きて暴れたため、リアムはうっかり支えていた腕を離し僕はまた尻餅をつくことになった。
「す、すまない。怪我はないか?」
リアムの差し出した手を取り、立ち上がる。
パンパンと泥をはたき落として、お礼と謝罪を言い頭を下げた。
「気づいたら寝てたみたいでごめん!しかもその間おぶって移動してくれてたなんて……」
僕の持っていたカバンもリアムがちゃんと手に持ってくれていた。
そうこうしているうちに、森を抜けると大きな門が見えた。
「あれがティグの街だ。カズトはこの世界の身分証や金を持ってないだろう?とりあえず街についたら冒険者ギルドでギルドカードを発行しておこう」
この世界には冒険者ギルドがあちこちにあって、そこでのギルドカードが身分証の代わりになるらしい。
冒険者ギルドでは薬草の採取や人のお手伝いからさっきのホーンラビットのような魔獣などの討伐依頼などもあるらしい。
うん。予想通りというかなんというか。
ただ驚きなのがギルドカードはこの世界のほとんどの人が所持しているらしい。
身分証明書になるから5歳になると教会で洗礼と祝福を受けたあとギルドカードを発行するらしい。
さらに電子マネー的な役割をしてくれていて、ギルドに預けているお金から引き落としでカードで買い物ができるというから驚いた。
しかもカードも本人しか使えないように魔法をかけられているから悪用もされにくいとか。
これはこの世界の共通らしく、商業ギルドに登録してあるお店ならどんな田舎の小さな店でもカードから支払いができるとのこと。
だからこの世界の人はギルドで依頼を受けなくてもカードを発行するようになっているらしい。
「なるほど、だから街についたらギルドなんだね」
「あぁ、あとさっきのホーンラビットの死体も回収しているからそれを売れば少しは金になるだろう」
そう言いながらリアムは自身のポーチをポンポンと叩く。
あの小さなポーチに……?あ、それって
「マジックバッグ!?」
思わず声が大きく出てしまって慌てて口を抑える。
マジックバッグといえば、見た目の割にたくさんの容量があって、たしか空間魔法とかなんとかで拡張されてるんだっけ?しかもそういうのって貴重で高価なんじゃ……
「あぁ、よく知ってるな。それも異世界で得た知識か?このマジックバッグはギルドで登録したときに無料で支給されるんだ。もちろん、より容量の多いものも売っているがそれは高級品だしな」
マジックバッグが無料で支給されるんだ……。
この世界の冒険者ギルドってすげー……。
そんな話をしていると門にたどり着いた。
門番ぽい人に軽く挨拶してリアムが受付の人と僕の方を見てなにか話している。
あれかな、身分証ないから入れないとか?
ここで追い出されたらどうしよう……
「カズト」
不意に呼ばれ顔をあげるとリアムが手招きしていた。
「僕、身分証ないけど入れる?」
「大丈夫ですよ、リアムさんが身元保証人になってくださってます。ギルドでカードを発行しましたら、再度こちらにお越しいただいて登録しますね」
受付の人が微笑みながら説明してくれた。
門を通る際、ギルドカードをかざして身元の確認をしているらしい。もし、犯罪者や偽装していればここで分かるから街には入れないとか。
そして僕は、異世界で初めての街に入ったのだった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。
俺の伯爵家大掃除
satomi
ファンタジー
伯爵夫人が亡くなり、後妻が連れ子を連れて伯爵家に来た。俺、コーは連れ子も可愛い弟として受け入れていた。しかし、伯爵が亡くなると後妻が大きい顔をするようになった。さらに俺も虐げられるようになったし、可愛がっていた連れ子すら大きな顔をするようになった。
弟は本当に俺と血がつながっているのだろうか?など、学園で同学年にいらっしゃる殿下に相談してみると…
というお話です。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる