僕の異世界生活

餡ころ餅

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チート能力はありませんでした

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足の怪我だけじゃなく、転んだときにできた小さな傷もいつの間にか治っていた。

「り、リアム……もしかして僕が寝てる間に怪我を治してくれた……?」

申し訳なさそうにリアムに聞くとフッと笑って頭を撫でてくれた。

「気にするな。治っているなら問題ない」

「でも……いや、うん。ありがとう」

感謝の気持を伝えると頭を撫ぜていた手が背中をポンポンと軽く叩いてくれた。

「さて、こちらがカズトさんのギルドカードになります。教会がもうすぐ閉まる時間ですので、私もこれから同行してその場で登録できるよう手配致しますね」

カードを受け取ると、言うが早いがメリーさんはカバンを取り出し、後ろにいた他の受付さんたちに教会にいくことを伝えていた。

「お待たせしました。カズトさん、リアムさん、行きましょう。」



───住宅地区、教会前
住宅地区に入る手前に大きな教会があった。
教会の隣にある公園からは子どもたちの楽しげな声が響いている。

「こちらがティグの街の教会です。この世界のほとんどで女神アシュテリア様が主神となってます」

メリーさんは先に中に入っていき、神官のような人と話をしている。後を追ってリアムと歩いていると夕方だからか教会の中は薄暗く、でも上の方はキラキラと光っていた。

「わぁー……星空みたいだ……」

夜空に光る星々のように天井には小さな光が輝いていた。

「あれはステンドグラスの欠片たちですよ」

声のした方を振り向くと優しそうなシスターがそこにいた。
「私はこの教会の修道女であるイザベラと申します」

スッときれいなお辞儀をし優しく微笑むイザベラさん。

「奥にステンドグラスがあるでしょう?10年に一度、新しいステンドグラスと交換をするのだけど、その時、前のステンドグラスは割られてしまうの」

その欠片を天井に埋め込むのよ、と教えてくれた。
なんでだろうと考えていたらメリーさんに呼ばれたのでイザベラさんに軽く挨拶してメリーさんの元へ向かった。

「はじめまして、私はここの神官であるサイラスと申します。本日は洗礼の儀を執り行わさせていただきます」

「は、はい!カズトといいます、よろしくおねがいします」

挨拶と一緒にぺこっとお辞儀をしたら眼鏡をかけた優しげな神官さん──サイラスさんは微笑んで奥の部屋へ案内をしてくれた。
どうやら中に入れるのは儀式を受ける者だけらしく、リアムとメリーさんは部屋の外で待っててくれるらしい。


「それではカズトさん。これから洗礼の儀を行います」

椅子に座らされ、目を閉じ簡単な祈りのポーズをとる。
サイラスさんがなにかを読み上げると、体の内側──胸のあたりが少し温かくなり、それが全身を巡る。

「カズトさん、終わりましたよ」

サイラスさんの声でハッとして立ち上がり、儀式を行った部屋から出る。
リアムとメリーさんと合流した。

「カズトさん、お疲れ様です。ステータスを見るには“ステータスオープン”と念じてみてください」

メリーさんに言われて“ステータスオープン”と念じると、目の前にステータスが浮かび上がった。


=======ステータス=======
名前  カズト=キシタニ
性別  男
種族  人間ヒューマン(異世界人)
年齢  15
誕生日 12/20

魔法適正属性 【風】 
所持スキル
【脱兎】【家事】【危険察知】
備考
【異世界からの転移者】

======================

魔法適正属性って使える魔法の適正属性ってことだから風属性の魔法かー!
本当にスキルとかあるんだな……
というか!脱兎と危険察知って逃げることしかできない!!いや、まぁ戦うことができないからそれが最善なんだけど……。

「カズトさん、ギルドカードの更新を行いますね」

僕からギルドカードを受け取ったメリーさんがステータスの更新をしてくれた。

「こちらステータス更新しましたのでお返ししますね。あと、この異世界からの転移者ということを報告してもよろしいですか?」

たしか異世界人のことを報告すると僕の生活を保障してくれるんだっけ?
まぁ元の世界に帰れるかわからない状況だし、保障してもらえるならそれに越したことはないか。

「わかりました、メリーさんおねがいします」


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