角持ち奴隷少女の使用人。

四つ目

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9、なんだろう。

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少女は悩んでいた。鏡の前で、自分の角を触りながら悩んでいた。
奴隷商に居た頃は悩む事なく過ごしていた。生きる事に必死だったから。
ただその日に出されるものを食べて、何とか自分の命をつなぐだけの日々。
だから、一度も気にする余裕が無かった。

男に買われ、良い家に住まわせて貰い、良い服を着せて貰い、美味しい食事を食べて、自分を見る余裕が生まれていた。
そして、自分自身を振り返った少女は、大きな疑問にぶつかっていた。




この角、何だろう、と。




少女以外に角が付いている人間は、この屋敷には居ない。
いや、正確には、少女と同じ形の角を持っている人間は居ない。

ただ少女も、屋敷の外に出て街に出れば様々な種族が居る事は知っている。
モニターで流れていた映像に、様々な種族が居たからだ。
だがその中に、少女の様な角が生えている種族は見た事が無かった。

頭にある角を撫でながら、私は何なのだろうと首を傾げる少女。
その場で悩んでいてもその疑問が解決される事は無いと思い、少女は男の下へと向かう。
男なら、きっと応えてくれると信じ切って。







「あー、うん、さあ?」

だが、男の答えは少女の希望を打ち砕くものだった。
男はいつもの調子で応え、少女は目に見えて落ち込んでいく。
その様子を見て、男は慌ててフォローを口にしようとする。

「複数の目を持ってる奴とかもうちにいるんだし、個性個性」

だが男の言葉に少女は納得しなかった。
何故なら複眼の人間は、モニターで見た事が有るからだ。
だから少女はアプローチを変える。男に尋ねるのではなく自ら探そうと。
少女は男に街に行きたいと、出かける事を許可してほしいと願った。

「うーん・・・解った。ただし一人じゃ駄目だ」

男の許可の言葉に、満面の笑みでコクコクと頷く少女。
少女は男に深く頭を下げてお礼をし、自室に戻って行った。
その足取りの軽さを見て、男の顔には苦笑が浮かんでいた。

「・・・甘いですね」
「っせーな。人の事言えねーだろ」

実は男の部屋に居た女は、少女の死角から全てを聞いていた。
少女の願いを男がどうするのかも観察していた。
結果は御覧の通りであり、女としても予想通りである。

「私が行きます。その方がよろしいでしょう?」
「すまん、頼む」

二人共何時もの様な軽口ではなく、真剣な口調で少女の事を話し合う。
少女を街に連れて行くという事はそれだけの事なのだと、二人の中では認識されていた。
少女の事情を知る者は少ない。ならば知る者がついて行く方が良いと。

「因みに貴方の為では有りません。あの子の為です」
「あー、はいはい。年増さんはもう子供産める期待薄いもんねー。可愛いよなー」
「童貞を拗らせた方は、その期待すらゼロですし、本当に不憫ですね」
「あ゛?」
「あ゛?」

話し合いが済むと同時に交わされた軽口と、その後に交わされる打撃の応酬。
結局この二人は、何処まで行ってもこの二人のままであった。
だからこその長い付き合いなのだが、傍から見れば異様な光景であることは間違いない。
ともあれ、かくして少女は街に出向く事となる。





ただし、街に出る事が楽しみでしょうがなかった少女は、夜眠れずに寝不足になり、女に後日変更と言われる結果となった。
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