角持ち奴隷少女の使用人。

四つ目

文字の大きさ
35 / 247

34、真剣な慰め。

しおりを挟む
「ああくそ・・・!」

ある日、男は苛々していた。少女が思わず遠巻きにじっと様子を窺う程に。
それは仕事で些細なミスをしたいせいなのだが、何気に男は仕事「では」ほぼミスをしない。
日常生活では割と間の抜けた所も多くポカもやらかす男であるが、皆の生活がかかっている責任感からか仕事では優秀であった。

普段はそういった様子を表に出さない男なのだが、今日はどうにも上手く行かなかったらしい。
そういう男なので苛々した様子を見せても何かにあたる様な事はしていないのだが、女はそんな男の様子に内心少しイラッとしていた。
なのでいつも通りのすまし顔で男に向かって口を開く。

「自分の間抜けさを棚上げして周囲にあたるとは、はなはだ見下げ果てた男ですね」
「てめえこそ、あの子に嫌われたと思った時後輩に怒鳴ってやがったらしいじゃねえか」
「「・・・あ?」」

女の言葉に男もカチンと来て言い返し、睨み合いに発展する。
ただ普段と違い二人共が本当に怒っている様に見えて、少女はあわあわしていた。

そしていつも通り始まる殴り合いはいつも通り女が勝利して鬨の声を上げ、男が倒れたのを放置して女は何事も無かったかのようにその場から去って行った。
少女は困った顔で女が去って行くのを見送り、はっとした顔で男に視線を戻す。
男はうつ伏せに倒れた体をごろんと転がし、仰向けになって息を深く吐いている。
そしてそのまま動かなくなったので少女は心配になって男に近寄った。

「ん、ああ、起き上がらないから心配させたか?」

男は近づいて来る少女に気が付くと、普段通りのぽけっとした顔でそう言った。
少女はいつも通りの男の様子にほっとした顔になり、男はそれに苦笑してしまう。
苛々していた自分を見て困っていたのに、それでも心配になって近寄って来た少女の優しさに。
そう思うと、自分が情けなくなってくる男だった。女の一発よりもよほど目が覚める程だ。

先程の女との殴り合いは、ただ女が苛ついたから起きた出来事ではない。
苛ついている男のガス抜きに女が手を貸してやった所もあったのだ。
古い付き合いであり特殊な関係の二人であるからこその行動であるが、それですっきりする二人はいささかおかしい事は間違いないだろう。

「ごめんな苛々して怖がらせて。ちょっとすっきりしたからもう大丈夫だ」

男は体を起こし、少女の頭をくしゃくしゃと撫でながら謝った。
少女はほんの少し首を傾げた後に首を横に振り、逆に男の頭を優しく撫で始める。
男はきょとんとしながら少女の行為を見て、すぐにどういう事か思い至った。
そういえば以前にも似た様な事があったなと。

「もしかして怖がってたんじゃなくて、心配してたのか?」

男の言葉に少女はコクコクと頷いた。
少女は苛つく男に怖がっていたのではなく心配していたのだ。
どうにかしてあげられないかなと思いながらも、男の様子に困惑するだけで何も出来かった。
普段苛々する様子など女個人にしか向けない男なので、どうしたら良いのか解らなかったのだ

「ははっ、大丈夫だよ。もう平気だ」

男は苛々していた自分を少女に慰められている状況に少し恥ずかしくなって、微妙な表情で少女にそう言ってしまった。
少女はそんな男の顔を見てちょっと悲しそうな表情になる。これでは駄目かと。
そして少女はそのまま少しばかり悩み、男は動かなくなった少女を首を傾げながら見つめる。

「おーい、どうし―――」

動かなくなった少女に声をかけようとした瞬間、少女は男の頭をぎゅっと抱きかかえた。
頭を包むように抱きかかえる少女に驚き、男は開いた口を閉じてしまう。
そして少女はそのまま暫く男の頭を抱えながら頭を撫でた。まるで子供をあやす様に。

「・・・大丈夫だよ。本当に。ありがとな」

どうにか元気づけようとしてくれている少女の真剣さに、男は恥ずかしさなど何処かに消えていた。
心からの礼を少女に伝え、背中をポンポンと軽く叩いてから離れさせる。
そうしていつも通りの顔を見せると、少女は笑顔で男に応えたのだった。





因みに他の使用人がその様子を見ており、男は暫くロリコン疑惑をかけられた。
羊角はそのシーンを撮れなかった事に悔しがっていたが、男は撮られてなくて本当に良かったと心の底から安堵している。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話

登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

疎遠だった叔父の遺産が500億円分のビットコインだった件。使い道がないので、隣の部屋の塩対応な美少女に赤スパ投げまくってる件

月下花音
恋愛
貧乏大学生の成瀬翔は、疎遠だった叔父から500億円相当のビットコインが入ったUSBメモリを相続する。使い道に困った彼が目をつけたのは、ボロアパートの薄い壁の向こうから聞こえる「声」だった。隣人は、大学で「氷の令嬢」と呼ばれる塩対応な美少女・如月玲奈。しかしその正体は、同接15人の極貧底辺VTuber「ルナ・ナイトメア」だったのだ! 『今月ももやし生活だよぉ……ひもじい……』 壁越しに聞こえる悲痛な叫び。翔は決意する。この500億で、彼女を最強の配信者に育て上げようと。謎の大富豪アカウント『Apollo(アポロ)』として、5万円の赤スパを投げ、高級機材を即配し、彼女の生活を神の視点で「最適化」していく。しかし彼はまだ知らなかった。「金で買えるのは生活水準だけで、孤独は埋められない」ということに。500億を持った「見えない神様」が、神の座を捨てて、地上の女の子の手を握るまでの救済ラブコメディ。

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

魁!断筆姉さん!!

西洋司
ファンタジー
「異世界ファンタジーは、日本政府が仕掛けた『機密解除』への布石だった――!?」 1999年、東京・江古田。 美大卒、無職、貯金なし。 大藪英子(おおやぶ・えいこ)は、異世界を描き続ける絵描き見習い。 バイト漬けでカツカツの生活の中、人生を賭けた公募に落選し、彼女はまさに「断筆」の瞬間を迎えていた。 そんな絶望の淵に現れたのは、謎の「後援者」と噂されるスーツ姿の公務員・斎木茂吉。 彼が提示したのは、あまりに荒唐無稽な国家機密だった。 「政府は異世界に関する機密解除を行います。そのために、あなたに『本物の異世界』を見て描いてほしいのです」 導かれた先は、現実の異世界「ヤムント国」。 これは、筆を折った一人の女性絵描きが、国家規模のプロジェクトに巻き込まれ、本物の異世界を「記録(アート)」で無双していく物語。

俺様上司に今宵も激しく求められる。

美凪ましろ
恋愛
 鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。  蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。  ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。 「おまえの顔、えっろい」  神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。  ――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。 **2026.01.02start~2026.01.17end**

盾の間違った使い方

KeyBow
ファンタジー
その日は快晴で、DIY日和だった。 まさかあんな形で日常が終わるだなんて、誰に想像できただろうか。 マンションの屋上から落ちてきた女子高生と、運が悪く――いや、悪すぎることに激突して、俺は死んだはずだった。 しかし、当たった次の瞬間。 気がつけば、今にも動き出しそうなドラゴンの骨の前にいた。 周囲は白骨死体だらけ。 慌てて武器になりそうなものを探すが、剣はすべて折れ曲がり、鎧は胸に大穴が空いたりひしゃげたりしている。 仏様から脱がすのは、物理的にも気持ち的にも無理だった。 ここは―― 多分、ボス部屋。 しかもこの部屋には入り口しかなく、本来ドラゴンを倒すために進んできた道を、逆進行するしかなかった。 与えられた能力は、現代日本の商品を異世界に取り寄せる 【異世界ショッピング】。 一見チートだが、完成された日用品も、人が口にできる食べ物も飲料水もない。買えるのは素材と道具、作業関連品、農作業関連の品や種、苗等だ。 魔物を倒して魔石をポイントに換えなければ、 水一滴すら買えない。 ダンジョン最奥スタートの、ハード・・・どころか鬼モードだった。 そんな中、盾だけが違った。 傷はあっても、バンドの残った盾はいくつも使えた。 両手に円盾、背中に大盾、そして両肩に装着したL字型とスパイク付きのそれは、俺をリアルザクに仕立てた。 盾で殴り 盾で守り 腹が減れば・・・盾で焼く。 フライパン代わりにし、竈の一部にし、用途は盛大に間違っているが、生きるためには、それが正解だった。 ボス部屋手前のセーフエリアを拠点に、俺はひとりダンジョンを生き延びていく。 ――そんなある日。 聞こえるはずのない女性の悲鳴が、ボス部屋から響いた。 盾のまちがった使い方から始まる異世界サバイバル、ここに開幕。 ​【AIの使用について】 本作は執筆補助ツールとして生成AIを使用しています。 主な用途は「誤字脱字のチェック」「表現の推敲」「壁打ち(アイデア出しの補助)」です。 ストーリー構成および本文の執筆は作者自身が行っております。

処理中です...