角持ち奴隷少女の使用人。

四つ目

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142、騒動時の猫と犬

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騒動の当時、犬は何処にいたのか気になっている方も居たのではないだろうか。
そして猫も当時その場に居なかった事も。
ただ二匹は住人達がのんびりしている事からも解る通り、ちゃんと無事である。

ならば一体、当時は何処に居て、何をしていたのか。
実は二匹は裏から避難し、畑の方に居たのである。

少女は蝙蝠男の言葉から、自分に用が有るという事を察した。
なので女が戦っている間に現れた犬に、猫の事を頼んで逃げる様にお願いしたのだ。
犬もその場を離れたくはなかったが、少女と離れようとしない猫を見て首をパクッと咥え、ぶなー!ぶなー!と抗議し続ける猫を畑まで連れて行った。

裏の畑に来ると犬は猫を下ろし、猫は犬に向けて気に食わなそうにぶなぶなと鳴いていた。
完全に抗議の声を上げてているのだが、あの場に居ては危険だったので仕方ない。
犬は落ち着いてとペロペロと舐めるが、猫はご立腹の様でぶなー!と怒るばかりだ。
まあ猫は怒った所で迫力は無いし、猫パンチは爪を立てていないので優しいのだが。

だが暫く怒ってすっきりしたのか、猫は屋敷の中へ戻ろうとした。
犬は慌てて追いかけようとして、追いかけなくて良い事に気が付く。

何故なら戻るには扉を開いて屋敷に入らなければいけない。
お忘れかもしれないが、犬は自力で扉を開く事が出来る。そして当然の様に閉めていく。
猫は閉まった扉を必死に開けようと、カリカリカリカリ爪でひっかいていた。
猫の体格ではどう頑張っても扉が開かないのだ。

どう足掻いても開かないので、猫はとうとうぶなー!と犬に怒りだす。
早く開けてと言っている様子だが、逃げてきた以上開ける訳にはいかない。
そもそも猫の避難の為に来たのだから、そんな事をしては本末転倒だ。

そこから暫くの間、犬は猫にぶちぶちと文句を言われる様にぶなぶな鳴き続けられた。
合間合間にまた扉を開けようと試みて、やっぱり開かなくてぶなー!と怒る猫。
犬は少女の事が好きなんだなぁとほんわかした気分であったが、猫はそれがご立腹だった様でまたぶなぶなと犬に怒りだす。

実を言うと屋敷の周りをぐるっと回れば庭に出れるのだが、猫はそれに気が付いていない。
というのも基本屋敷の中を通っての移動しかした事が無いので、猫は庭と繋がっているという事を知らないのだ。
そちらからならば猫でも行けなくはないが、当然犬は教える気はない。
優しい犬は猫が危険な所に行くのが解っているから、甘んじで文句を受け入れる事でここで抑えているのだ。

だが暫くすると、猫の様子が少し変わって来た。
ぶなぶなという鳴き声が怒っている物ではなく、弱弱しく泣く様な鳴き声になっている。
猫はこのまま少女が居なくなるのではと、心配で堪らなくっていた。
そのせいで段々と扉をひっかく力も無くなり、びゃーんと寂しそうに鳴き声を上げる。

犬はオロオロしながら猫を舐めて慰めるが、それでも猫は泣き止まない。
そうして暫く時間が過ぎ、ふと静かになった事に二匹が気が付く。
猫はぶなぶな鳴きながら慌てて扉をひっかき出し、犬は行くか行くまいか悩んだのだが、ぐっと堪えて誰かが来るのを待った。

そうして暫く待ち――――やって来たのは羊角であった。
人を運ばねばいけないのも考えて庭は単眼に任せ、犬と猫の事を迎えに来たらしい。

「お疲れ様。天使ちゃんの言いつけをちゃんと守ってたね。偉い偉い」

扉が開いた瞬間飛び出そうとした猫を掴まえながら犬を褒める羊角。
まあ飛び出したと言ってもこの猫なので、簡単に掴まえられてしまうのだが。
犬は羊角の様子から大丈夫な事を察し、ほっとした様子で手にすり寄る。
ただ猫はぶなーと抗議の声を上げるが、羊角はしっかりつかんで離さない。

「天使ちゃんの傍に行きたいだろうけど、今は寝かせてあげようねー」

羊角はそう言って犬と猫を屋敷に連れて入るが、猫は暫く抗議の声を上げるのであった。
少女の事を考えれば仕方ないのだが、猫は少しだけ羊角の事が嫌いになった様だ。
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