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第十九話 今とこれからの話①
脱衣所にそっと下ろされて、その瞳を近くで見つめると、鼻先をすりすりとこめかみに擦り付けられる。くすぐったくて身を捩っている間に、着ていたブラウスのボタンをひとつふたつと外されていく。
私も負けじと矢野くんの着ているYシャツのボタンを外す。余白を埋めるように、矢野くんの唇が耳や鎖骨のあたりを掠めていく。
「…ずっと触れたかった」
掠れ声でそんな風に言われて、その色気にぞくぞくする。
「私も…」
矢野くんは首筋を舌でなぞったり、鎖骨を指先で辿ったりする。溶けるようなキスを受け止めながら、はぁっと合間に息をする。
ホックを外されたスカートが脱衣所の床にぱさりと落ちた。タイツの上から太腿やお尻を撫でられて、体にじわじわと甘い痺れが広がる。
「…やばい、今日、大丈夫かな」
「な、にが…?」
「優しく出来ないかも」
独り言のようにそう呟きながら矢野くんは私の肩や背中をゆっくり撫でる。わかりやすく快感に結びつく刺激ではないけれど、緊張で強張った私の体をほぐすように、ただ気遣うように触れている。「優しく出来ないかも」なんて言うくせに、根本的に優しいのだ。だから。
「……矢野くんなら、いい」
そう言って矢野くんが履いていたスラックスのベルトに手をかけると、目の前で一瞬息をのんだのがわかった。
ベルトを外すときに、ちょっと手に当たってしまった矢野くんのものが、既にものすごく硬くなっていて、この後の展開を期待してしまう。
――でも、優しくない矢野くんってどんななんだろう。
下着はまだ身に付けたままだけど、すでにブラウスとスカートは脱がされているので、ちょっと寒くなってきて、小さくくしゃみをする。
「やばい。美緒さんが風邪ひいちゃう」
我に返ったようにそう言って、矢野くんは私の体に残されていた下着を慣れたようにてきぱき脱がせていく。時々不埒な動きをする大きな手から逃れながら、私も一生懸命彼の服を脱がせた。
「あ、ねえ、お願いがあるの」
「何?」
「…電気は消してほしい」
「…暗くするってこと?危なくないですか?」
「足元に気を付ければ大丈夫!」
ふーん?と矢野くんはちょっと思案顔になってから、「わかりました」と同意してくれた。
浴室の電気を消してから、なだれ込むように中に入ると、浴室暖房が体を温めてくれる。濡れないように、適当に髪を結んだ。
シャワーのお湯が温まるのを待ち、ざっと体を流す。すると、いつの間にかもこもこに泡立てたボディーソープを手に広げた矢野くんが、私の肩や腕を当たり前のように洗い始めて、「ぎゃっ」と変な声が出てしまった。
「か、体は自分で洗うから…っ!」
「でもそれ、さっきのお願いの中になかったですよ」
――屁理屈!
「大丈夫、電気ついてないから見えないです。ほとんど」と言いながら、その手を止めない矢野くんは、背後に回って、私のお腹や胸の周りを泡で洗い始める。泡が滑って、マッサージをされているみたいなのに、時々快感につながるような場所をするっと触られるから、そんなつもりはないのに体に熱が溜まっていく。
内腿の間に入り込んだ手が一瞬秘所に触れたとき、出そうになってしまった嬌声をどうにか飲み込む。
「ねぇっ…それ、わざと…?」
「ん?痛かった?」
「痛くは、ないけど…」
「じゃあ、大丈夫ですね」
矢野くんはにっこりと笑って、シャワーで泡を流していく。
自分でやっているわけではないからどこからどんな風にお湯が当たるかわからず、くすぐったいようなじれったいような感覚になる。
しかし、矢野くんは私の体の泡を流し終わると、「体冷えちゃうから先に入ってて」と今度は適当にボディーソープを泡立てて、自分も体を洗い始めた。
なんだか急に手を離されたような気持ちになりながら、そっと浴槽に体を沈める。
暗い世界にだいぶ目が慣れてきた。肩までお湯に浸かりながら浴槽の縁に手をついて、目の前で体を洗うのを眺める。筋肉量が多いわけではないけれど、背が高くて骨格がしっかりしているせいか、矢野くんの体はがっちりして見える。抱き締められたときにすっぽり収まるあの感じが大好きだ。
私の視線に気付いたのか、矢野くんが頭を洗いながら「どうかした?」と尋ねてくる。
「んー……好きだなって思ってた」
「…何ですかそれ」
「矢野くん、体大きくてぎゅってされると安心するから」
「……これが無自覚なんだもんなあ」
全身洗い終えた矢野くんが、困ったように微笑んで、「ちょっと詰めて」と浴槽に入ってきた。
大人二人入るために作られたサイズではないから、体を密着させないと肩まで浸かるのは難しい。後ろから包み込むように抱き締められて、私の背中と矢野くんの胸が密着する。
腰のあたりに、昂ったままの矢野くんのものが当たっているけれど、本人はあまり気にしていないようだ。
「美緒さんに触れてると、浄化されるみたいな気分になります」
「私も今矢野くんに癒されてるー」
背中を後ろに預けて、ふぅ…と息を吐くと、耳の後ろに唇を押し当てられた。
私も負けじと矢野くんの着ているYシャツのボタンを外す。余白を埋めるように、矢野くんの唇が耳や鎖骨のあたりを掠めていく。
「…ずっと触れたかった」
掠れ声でそんな風に言われて、その色気にぞくぞくする。
「私も…」
矢野くんは首筋を舌でなぞったり、鎖骨を指先で辿ったりする。溶けるようなキスを受け止めながら、はぁっと合間に息をする。
ホックを外されたスカートが脱衣所の床にぱさりと落ちた。タイツの上から太腿やお尻を撫でられて、体にじわじわと甘い痺れが広がる。
「…やばい、今日、大丈夫かな」
「な、にが…?」
「優しく出来ないかも」
独り言のようにそう呟きながら矢野くんは私の肩や背中をゆっくり撫でる。わかりやすく快感に結びつく刺激ではないけれど、緊張で強張った私の体をほぐすように、ただ気遣うように触れている。「優しく出来ないかも」なんて言うくせに、根本的に優しいのだ。だから。
「……矢野くんなら、いい」
そう言って矢野くんが履いていたスラックスのベルトに手をかけると、目の前で一瞬息をのんだのがわかった。
ベルトを外すときに、ちょっと手に当たってしまった矢野くんのものが、既にものすごく硬くなっていて、この後の展開を期待してしまう。
――でも、優しくない矢野くんってどんななんだろう。
下着はまだ身に付けたままだけど、すでにブラウスとスカートは脱がされているので、ちょっと寒くなってきて、小さくくしゃみをする。
「やばい。美緒さんが風邪ひいちゃう」
我に返ったようにそう言って、矢野くんは私の体に残されていた下着を慣れたようにてきぱき脱がせていく。時々不埒な動きをする大きな手から逃れながら、私も一生懸命彼の服を脱がせた。
「あ、ねえ、お願いがあるの」
「何?」
「…電気は消してほしい」
「…暗くするってこと?危なくないですか?」
「足元に気を付ければ大丈夫!」
ふーん?と矢野くんはちょっと思案顔になってから、「わかりました」と同意してくれた。
浴室の電気を消してから、なだれ込むように中に入ると、浴室暖房が体を温めてくれる。濡れないように、適当に髪を結んだ。
シャワーのお湯が温まるのを待ち、ざっと体を流す。すると、いつの間にかもこもこに泡立てたボディーソープを手に広げた矢野くんが、私の肩や腕を当たり前のように洗い始めて、「ぎゃっ」と変な声が出てしまった。
「か、体は自分で洗うから…っ!」
「でもそれ、さっきのお願いの中になかったですよ」
――屁理屈!
「大丈夫、電気ついてないから見えないです。ほとんど」と言いながら、その手を止めない矢野くんは、背後に回って、私のお腹や胸の周りを泡で洗い始める。泡が滑って、マッサージをされているみたいなのに、時々快感につながるような場所をするっと触られるから、そんなつもりはないのに体に熱が溜まっていく。
内腿の間に入り込んだ手が一瞬秘所に触れたとき、出そうになってしまった嬌声をどうにか飲み込む。
「ねぇっ…それ、わざと…?」
「ん?痛かった?」
「痛くは、ないけど…」
「じゃあ、大丈夫ですね」
矢野くんはにっこりと笑って、シャワーで泡を流していく。
自分でやっているわけではないからどこからどんな風にお湯が当たるかわからず、くすぐったいようなじれったいような感覚になる。
しかし、矢野くんは私の体の泡を流し終わると、「体冷えちゃうから先に入ってて」と今度は適当にボディーソープを泡立てて、自分も体を洗い始めた。
なんだか急に手を離されたような気持ちになりながら、そっと浴槽に体を沈める。
暗い世界にだいぶ目が慣れてきた。肩までお湯に浸かりながら浴槽の縁に手をついて、目の前で体を洗うのを眺める。筋肉量が多いわけではないけれど、背が高くて骨格がしっかりしているせいか、矢野くんの体はがっちりして見える。抱き締められたときにすっぽり収まるあの感じが大好きだ。
私の視線に気付いたのか、矢野くんが頭を洗いながら「どうかした?」と尋ねてくる。
「んー……好きだなって思ってた」
「…何ですかそれ」
「矢野くん、体大きくてぎゅってされると安心するから」
「……これが無自覚なんだもんなあ」
全身洗い終えた矢野くんが、困ったように微笑んで、「ちょっと詰めて」と浴槽に入ってきた。
大人二人入るために作られたサイズではないから、体を密着させないと肩まで浸かるのは難しい。後ろから包み込むように抱き締められて、私の背中と矢野くんの胸が密着する。
腰のあたりに、昂ったままの矢野くんのものが当たっているけれど、本人はあまり気にしていないようだ。
「美緒さんに触れてると、浄化されるみたいな気分になります」
「私も今矢野くんに癒されてるー」
背中を後ろに預けて、ふぅ…と息を吐くと、耳の後ろに唇を押し当てられた。
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