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「だるい…」
「大丈夫か?」
「んー、へいき……」
甘い空気の中でベッドに向かい合って横になっていると、今にも寝てしまいそうな咲が俺の喉仏をなぞるように触ってくる。されるがままにしながら、俺も彼女の頬をつんつんと指先でつついた。
情事の後、俺はボクサーパンツ、咲はショーツに俺のTシャツを着ていた。もちろん、ちゃんと洗濯してあるのを出した。
いつも寝る時にかけている大きなタオルをその華奢な体に掛け直す。
「ねー…千晃…」
「ん?」
「ほんとに初めてだったんだよね…?」
「え?」
「さっき、『奥手な童貞エースくん』って言われてたって…」
「あー…」
なかなか自分の気持ちが伝わらない苛立ちから、余計なことを口走ってしまったことを思い出す。
背も高いし筋肉もつきやすい体質だったからか、見た目的にも結構目立っていたかもしれない。そんなわけで、正直、高校で毎日バスケに打ち込んでいるときにはそれなりにモテた。中身は、初恋の幼馴染みに恋心を募らせ過ぎてわけがわからなくなっている残念なヤツだったのだが。
「…なんでゴム持ってたの?」
「え?」
「これまでに、使うこと考えるような相手がいたのかなって」
いや、お前のことが好きだってあんなに言ってんだからそんなわけねえだろ!使いたいとしたらお前だわ!
…と言いたいところだったけれど、そういうことではないのだろうと思い、正直に答える。
「今度同窓会あるって仲良いゼミの先輩に言ったら、くれたんだよ」
「なんで?」
「…同窓会ってことは、ずっと好きだって言ってた幼馴染みの子も来るはずだろって言われて」
「……私のこと?」
「そうだよ。ワンチャンあるかもしんねえぞって」
「大学の人にも話してたんだ…」
驚いたように、なんなら若干引いたような反応を返されてちょっと凹む。まあ、これまでもいろいろな人にそんな感じで反応されてたからもう慣れたけれど。
しかし、咲はその後、「でもね」と嬉しそうに笑う。
「私、今までえっちなこと、怖かったんだけど」
「えっちなこと…」
彼女の口から「えっち」なんて聞くだけで勃ちそうになるけれど、(電話口で言われたときにもヤバかった)そろそろ本当に寝落ちしそうなテンションで一生懸命話しているようなので自重しながらその先を待つ。
「千晃となら、怖くなかった…」
吐息が鎖骨のあたりにあたる。
「……またしたい?」
「うん、しよー…」
寝惚けているのか、言っていることの意味などあまり理解していないのではないかと思いつつ、もぞもぞと体をすり寄せてくる彼女の肩を抱き寄せると、まもなくすぅすぅと寝息が聞こえ始めた。
「可愛くて怖いんだけどまじで…」
普段は意地っ張りだったり、照れて誤魔化したりすることも多いのに、さっきからものすごく素直で、正直堪らない。
でも、体力に自信がある俺とは違い、初めてで疲れさせてしまっているだろう。髪の匂いを鼻いっぱいに吸い込みながら、俺も静かに目を閉じる。
「…次起きたときいなくなってたら本気で怒るからな」
俺が小さく呟くと、彼女は夢でも見ているのか、目を閉じたまま幸せそうに微笑んだ。
「大丈夫か?」
「んー、へいき……」
甘い空気の中でベッドに向かい合って横になっていると、今にも寝てしまいそうな咲が俺の喉仏をなぞるように触ってくる。されるがままにしながら、俺も彼女の頬をつんつんと指先でつついた。
情事の後、俺はボクサーパンツ、咲はショーツに俺のTシャツを着ていた。もちろん、ちゃんと洗濯してあるのを出した。
いつも寝る時にかけている大きなタオルをその華奢な体に掛け直す。
「ねー…千晃…」
「ん?」
「ほんとに初めてだったんだよね…?」
「え?」
「さっき、『奥手な童貞エースくん』って言われてたって…」
「あー…」
なかなか自分の気持ちが伝わらない苛立ちから、余計なことを口走ってしまったことを思い出す。
背も高いし筋肉もつきやすい体質だったからか、見た目的にも結構目立っていたかもしれない。そんなわけで、正直、高校で毎日バスケに打ち込んでいるときにはそれなりにモテた。中身は、初恋の幼馴染みに恋心を募らせ過ぎてわけがわからなくなっている残念なヤツだったのだが。
「…なんでゴム持ってたの?」
「え?」
「これまでに、使うこと考えるような相手がいたのかなって」
いや、お前のことが好きだってあんなに言ってんだからそんなわけねえだろ!使いたいとしたらお前だわ!
…と言いたいところだったけれど、そういうことではないのだろうと思い、正直に答える。
「今度同窓会あるって仲良いゼミの先輩に言ったら、くれたんだよ」
「なんで?」
「…同窓会ってことは、ずっと好きだって言ってた幼馴染みの子も来るはずだろって言われて」
「……私のこと?」
「そうだよ。ワンチャンあるかもしんねえぞって」
「大学の人にも話してたんだ…」
驚いたように、なんなら若干引いたような反応を返されてちょっと凹む。まあ、これまでもいろいろな人にそんな感じで反応されてたからもう慣れたけれど。
しかし、咲はその後、「でもね」と嬉しそうに笑う。
「私、今までえっちなこと、怖かったんだけど」
「えっちなこと…」
彼女の口から「えっち」なんて聞くだけで勃ちそうになるけれど、(電話口で言われたときにもヤバかった)そろそろ本当に寝落ちしそうなテンションで一生懸命話しているようなので自重しながらその先を待つ。
「千晃となら、怖くなかった…」
吐息が鎖骨のあたりにあたる。
「……またしたい?」
「うん、しよー…」
寝惚けているのか、言っていることの意味などあまり理解していないのではないかと思いつつ、もぞもぞと体をすり寄せてくる彼女の肩を抱き寄せると、まもなくすぅすぅと寝息が聞こえ始めた。
「可愛くて怖いんだけどまじで…」
普段は意地っ張りだったり、照れて誤魔化したりすることも多いのに、さっきからものすごく素直で、正直堪らない。
でも、体力に自信がある俺とは違い、初めてで疲れさせてしまっているだろう。髪の匂いを鼻いっぱいに吸い込みながら、俺も静かに目を閉じる。
「…次起きたときいなくなってたら本気で怒るからな」
俺が小さく呟くと、彼女は夢でも見ているのか、目を閉じたまま幸せそうに微笑んだ。
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