テイマーになったはずが女の子が懐くことになってしまいました

ゆに

文字の大きさ
16 / 36

16 土が凄かったみたいです

しおりを挟む
城下町に来たばかりなのにいきなり寄った生鮮食品店の店員に絡まれ? 拠点に戻る事になってしまった。

ナイナはちょっと不機嫌そうだ、予定してた買物ができずにしかも自分の作ったもののことでこんなことになってしまって複雑なのかもな……



「あのメロンは私がずっと交渉してやっと卸して貰った自慢のものなんだ、そう簡単に超えるものがあるもんか」

店員は自信満々だ、店に並んでいたメロンよりも旨いものが、あるなら食べさせてみろと言ったところなのだろう。

「ナイナ……ごめんな、後でまた買物付き合うから」

ナイナは子供のように頬を小さく膨らまして、プイッと反対を向いた。

「いきなり私の作ったフルーツを大人気店のものと比べることになるなんて……恥かくだけじゃないですか……」

「ううん、ナイナおねぇちゃんの作ったフルーツはおいしいもん! 絶対負けないよ!」

「もぉ……フラン、やめて!」

ナイナは耳を塞いで嫌がった、争いごと自体が好きじゃないんだろうな……
店員の挑戦的な態度も怖いのか距離を置こうとしている。

「よっぽど旨いんだろうな、楽しみだよ……」

店員は不敵な笑みを浮かべた。 自信があるんだろうな。

「ついたぞ、ここが畑だ」

拠点の畑までたどり着つき、店員に畑を紹介すると、荒野いっぱいに広がる畑に店員は言葉を失った。

地平線ができるほどの広い土地をナイナ1人で管理してるんだ、驚くのも無理もない。

「あんたファーマーなんだな?」

店員はナイナに尋ねた。

「そっ、そうです」

店員の鋭い視線にナイナは少し怯えている。
ナイナの反応を気にせず、店員は畑の土を確認し始める。

土を手に取り、じっくり観察し、匂いや土の一部を取りじっくりと確認している。

「ナイナ、あの人は何を見てるんだ?」

ナイナからの返事はなかった、店員が土を見ている状況をナイナもかなり集中して見ているみたいだ。

「なぁ姉さん、この土、魔導石を使ってるのか?」

店員がナイナに質問する。

「はい、種と肥料を魔導石で作ってます」

「……」

店員はまた黙り込み土を見だした。

「ねぇ、ロジカおにいちゃん、あの店員さんさっきから何を見てるの?」

確認の長さにフランが退屈そうに聞いてきた……

「俺もよくわからないけど、俺らの畑の大事なところをみてるんだと思うよ」

「ふぅん、そうなんだ……」

フランは露骨に暇そうだ……


結局フランは退屈に耐えきれず遊びに行ってしまった。

さらにしばらくして、ようやく店員は立ち上がった。

「すごい土だ。 この土は宝石以上に価値のあるものだぞ」

この人なんだか凄いこと言いだしたぞ。

ナイナはホッとしたのか嬉しそうにしてる。

「作物ごとに肥料の配合を変えるのはもちろん、栄養価やあらゆるバランスを考えて配置も整えられている、そして、魔導石の使い方が、特にすごい」

「えへへ、そんなこと……」

謙遜してるけど、ナイナはすごく嬉しそうだよっぽど力を入れてるところだったのか。
俺らの知らないところで気にかけていた部分なのかもしれない。

「ファーマーが魔導石を使う時は生産性の向上を目的に使用することが主になるが、この土はそれだけじゃない。 旨味と栄養にも十分に目を向け最高の味が引き出されるように作られている」

「そういえば、私、ニンジン嫌いなのにナイナおねぇちゃんが作ったのなら食べれるよ」

あれ、フランが戻ってきてる。

店員が畑のメロンを手に取った。

「じゃあそろそろ目的のメロンを味見させて貰おうか」

手に持っていたナイフでメロンを一口大に捌く。
捌いた一欠片をナイフで刺し、そのままほうばった。

人が何かを食べているのをここまで真剣に眺めるのは初めてだ。

ナイナが手塩にかけて作ったメロン、どう評価されるんだ……

店員の食べるのを俺たちは息を飲んで見守った……


突然、店員は気を失うかのように、腰を落とし膝をつく。

口を手で抑えている。
まさか口に合わなかったか……?

「お、お口に会いませんでしたか……?」

慌ててナイナは店員に声をかけた。

店員がナイナをゆっくり見上げる。

「脱帽だ……こんな旨いメロン始めてだ……」

あまりの旨さに店員は目が潤んでいる。
ナイナがようやく顔が緩んだ、ずっと緊張してたみたいだ。

「お口にあってよかった、他にも色々作ってるんで食べてみてください」

「ああ、是非味見させてくれ!」
店員は目を輝かせている。

その後も店員は野菜を食べ、その度に疲れそうなくらい大きなリアクションを取ってナイナの作ったものを味わっていった。

「いやぁ、私の負けだ! こんな畑があったなんてな!」

店員はここにくる時とは別人のように笑顔ではしゃいでいる、負けたと言いながらすごく嬉しそうだ。

「ね、おねえちゃんのメロン美味しかったでしょ!」

「あぁ、最高のメロンだった! なによりな、この野菜達すごくあんたらの事を考えて作られているな」

えっ? 俺らのことが考えられている?

「えっ、いや……そんな大それた事してるわけじゃ……」

「元々魔導石の使い方が上手い事もあるだろうが、この繊細な身の付け方や味はただ作ってできるものじゃない、きっとこの土を研究して試行錯誤した結果の賜物だそれもこれを食べるみんなのことを考えてな」

「そうだったのか……」
ナイナ……ファーマーだから土いじりが好きなのかなってくらいに思ってたけど、そこまで苦労してたのか……

店員はナイナに近寄り、手を握った。

「えっ、なに? なんですか?」

「私の名前はクリーナ。 是非この野菜達を私に販売させて貰えないか?」

商売人なだけあってタダでは起きないか……
これだけ広い畑で俺らだけじゃ余るだろうし、全然いいことだと思うけど。

「さんせーい! こんなに美味しいんだもん色んな人に食べてもらおうよ!」
フランもクリーナの提案にぴょんぴょん飛び跳ね手を挙げて賛成している。

「こんなもので、いいなら私は構わないですけど……」

「ナイナ、俺は賛成だ、クリーナさんがこれだけ褒めてくれるんだ、この野菜をみんなに味あわせてやろうよ」

「……はい、わかりました」

ナイナの許可を聞き、クリーナは蔓延の笑みを浮かべた。



バタバタしていたまま、クリーナは野菜の販売の契約をあっという間に取り付けた。

クリーナは定期的に野菜を受け取りに来て、販売代金と、プラスここでの生活に必要な品々を持ってきてくれることになった。

なんでもクリーナの家系は代々流通をしてきたようで、市場の簡単なものならなんでも関わって持ってこれるらしい。

「突然押し入ってしまって悪かったな、これからもよろしくな!」

「クリーナさんまたね、また遊びきてね!」

「ああ、フランまた遊ぼうな!」

フランもいつの間にかクリーナと仲良くなったようだ。

さっぱりした様子でクリーナは帰っていった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

義妹の嫌がらせで、子持ち男性と結婚する羽目になりました。義理の娘に嫌われることも覚悟していましたが、本当の家族を手に入れることができました。

石河 翠
ファンタジー
義母と義妹の嫌がらせにより、子持ち男性の元に嫁ぐことになった主人公。夫になる男性は、前妻が残した一人娘を可愛がっており、新しい子どもはいらないのだという。 実家を出ても、自分は家族を持つことなどできない。そう思っていた主人公だが、娘思いの男性と素直になれないわがままな義理の娘に好感を持ち、少しずつ距離を縮めていく。 そんなある日、死んだはずの前妻が屋敷に現れ、主人公を追い出そうとしてきた。前妻いわく、血の繋がった母親の方が、継母よりも価値があるのだという。主人公が言葉に詰まったその時……。 血の繋がらない母と娘が家族になるまでのお話。 この作品は、小説家になろうおよびエブリスタにも投稿しております。 扉絵は、管澤捻さまに描いていただきました。

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

英雄一家は国を去る【一話完結】

青緑 ネトロア
ファンタジー
婚約者との舞踏会中、火急の知らせにより領地へ帰り、3年かけて魔物大発生を収めたテレジア。3年振りに王都へ戻ったが、国の一大事から護った一家へ言い渡されたのは、テレジアの婚約破棄だった。 - - - - - - - - - - - - - ただいま後日談の加筆を計画中です。 2025/06/22

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです

NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた

他国から来た王妃ですが、冷遇? 私にとっては厚遇すぎます!

七辻ゆゆ
ファンタジー
人質同然でやってきたというのに、出されるご飯は母国より美味しいし、嫌味な上司もいないから掃除洗濯毎日楽しいのですが!?

処理中です...