テイマーになったはずが女の子が懐くことになってしまいました

ゆに

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20 山登りを開始しました

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剛力豚は前のめりで倒れている。

意識が戻るかすらわからない……

「何も、見えなかった……強すぎる……」

「チュ~……」

パルマとマウスマンがヤヨイの強さに怯えていた。

「いきなりやりすぎだぞ、ヤヨイ……気を失わなせないくらいに倒せれば、情報が聞けたかもしれないのに」

「……そうだな、ちょっとやりすぎた……」

「私が回復させようか?」

そうか、その手があった。

フランに頼み、剛力豚を回復してもらうと、すぐに目を開けた。

「グ……俺は、やられた筈じゃ……?」

剛力豚は何事もなかったかの様に起き上がり、俺達を確認した。

俺は剛力豚と目を合わし、話しかけた。

「仲間を探してるんだ、猿みたいなモンスターにさらわれたって事しかわからないんだけど……何か知ってたら教えてくれないか?」

剛力豚は俯いて少し考える様なそぶりをして、俺に顔を向けた。

「まぁ別に俺が隠すことじゃないか」

やけに素直に話を始めた、
見た感じもう剛力豚に敵意はなさそうだ。

「女は猿が連れってたぞ」

猿……パルマが言っていた奴か。

「そいつはどこにいる?」

パルマがかなりの勢いで剛力豚に迫り問いかけた。

「この山道をまっすぐ行ったところだ」

「ノリスを、その猿って奴が俺たちの仲間をさらった理由は何だ?」

「フン……俺だってこんなことしたい訳じゃなかったんだがな……うぐっ」

答え始めた剛力豚が突然苦しみ出した。

「なんだ? 急にどうした!?」

服だ、剛力豚の着ている服が縮み出し、締め付けている。

「や、やめろ……グ……グガッ……」

剛力豚は泡を吹いて気を失った。
やめろと言っていた……誰かにやられたようだ。

「また回復させようか?」

フランが剛力豚に近づく。

「やめてやれ、またこいつが苦しまなきゃいけなくなる」

パルマはフランが回復しようとするのを止めた。

「きっとこの豚に、俺らと戦う様に命令した奴がいる」

「目的はわからないけどな……」

「ここを進めばいるんだろ、それがわかっただけでも十分だ、さっさと進むぞ」

「よーし、山の探検にしゅっぱーつ!」

まだ、ノリスの安否がわからない、ゆっくりはしてられない。
俺達は休む間も無く、次に向け進むことにした。



この山はまれに人が通ることがあるのか、一部草が踏み倒され、それが通路の様に続いている、道といえば道だが、通りづらい険しい通りだ。

「私こんな歩きにくい場所苦手ぇ……」

山登りを始めてさっそく、フランがギブアップしそうになっていた。

「嬢ちゃん大丈夫か? おんぶするぞ?」

パルマが気を使ってフランに声をかけた。

「ありがと、でも大丈夫、まだがんばれるよ」

励まされて、フランはちょっとやる気が出たみたいだ。

「道がどんどん険しくなっていくな……」

ヤヨイもこの舗装されていない、足場の悪い山道を嫌がった。

パルマは山を登りながらマウスマンに話をしていた。
「さっきのパンチ中々よかったぞ、倒せはしなかったが、この調子だ」

ボクシングのセコンドのようにマウスマンに檄を飛ばしている、内容を理解してるのかはわからないが、マウスマンは真面目な顔でパルマの話を聞いている。

テイマーってこういうことだよな。
俺のあこがれてたテイマーの理想の姿だ。

モンスターをテイムして育てて、一緒に苦労する、なんか羨ましいな……

昔からいつも何かと俺の一歩先をいくパルマには憧れと嫉妬を抱いてたような気がする。

「誰かいるよ」

フランが、奥にいるモンスターに気付いた。

まるで俺達を待っているかのように道の途中でモンスターが一匹待機している。

「あれは法力河童か」

パルマもモンスターに気付いた、法力河童はさっきの剛力豚と同じくDクラスのモンスターだが、川辺に生息しているモンスターなのにこんな山道にいるのは何故だ?

「あの豚をあっさりと倒したらしいな……しかしだ、俺を奴と同じだと思うなよ」

剛力豚のことを知ってるみたいだ。
何かの集団なのかもしれないな……

「なぁ、パルマ、法力河童が、剛力豚とつるむなんて聞いたことあるか?」

「ないな、剛力豚もそうだけど誰かにやらされてるような気がするんだよな……」

「ねぇ今度は私がやっていい?」

フランが法力河童と戦いたいみたいだ。

「大丈夫かフラン? 回復魔法専門じゃないのか?」

「私もちょっとは攻撃魔法を使えるんだよ、セリルほどじゃないけどね」

フラン、セリル共に使える魔法はすごいから、攻撃魔法が使えるようなら任しても平気か。

「嬢ちゃん平気か? 法力河童はDクラスにしたら相当な魔力を持ってるって聞くぞ、俺は戦ったことないけど、怪我じゃ済まないかもしれないんだぞ……」

パルマがフランが戦うということを心配した。

「大丈夫だよ、私も攻撃魔法使えるところ見せなきゃ」

「こんな子供が俺とやる気か、舐められたもんだ」

フランが戦う気だと、知り法力河童はいらだった。

「ほら、相手怒り出したぞ、あの子まずいだろ! 俺が戦うぞ」

パルマはフランのことをさっきなら何度も心配している。

「フランは立派な魔導師だ、信頼していい」

そうはいってもパルマは心配なようで、ウズウズしている。

「子供相手でも俺は手加減なんてしないからな」

法力河童は両手を合わせ、魔力をため出した、攻撃してくる気だ。

フランも追いかけるように顔の前で両手を組んで祈り出す。

「水流をくらえ!」
法力河童の前に魔法陣が現れ、魔法陣から大量の水が洪水の様に流れフランに向かってきた。

フランは動揺することなく魔法陣を発動させる。
「ライトニング、お願い!」

フランの前に大きい魔法陣が現れる。

フランの身体全体を丸々包み込むほどの大きさの魔法陣が周りが見えなくなるほど発光しだした。

ものすごい光で辺り一面が覆われた。

「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉ」

光の中から法力河童の叫び声が聞こえる。

光が収まってきた。

ぼんやり見えてきたのは、光の通った焦げた跡だった。

フランの魔法陣からレーザーの様に光が放射され、奥が見えないほど遠くまで、山肌が焦げている。

法力河童もそれに巻き込まれ、焼け焦げ倒れている。

「ちょっとやりすぎちゃったかな……」

フランは焦げた山を見て苦笑いした。

パルマはマウスマンとともにまた口をあんぐりと開け驚いていた。
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