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13 オークの奇襲

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 結構進んだな。

 小道もなくただ広く長い通路が続いている。


 あれからオークも出てこない、脇道もないしこの先に分岐がなければ必ずどこかで出会すはずなのに。


 なによりこの一本道長すぎだろ。

 その先にただならぬものが待ち構えてる雰囲気がプンプン漂っている。

 ゴレアムほどのモンスターがいたらどうしようもない、そのときは素直に引き返そう。

 どれだけ頑張っても勝ち目のない相手っていうのはいるんだ……


 まあオークくらいなら勝てそうだな、攻撃が通って行動が単調な相手はやりやすくていい。

 理想は誰もいないことなんだけどな……





「フゴッ」




 背後からの声だ……やっぱりモンスターが来た!


ポンッ

 突然襲われるのは想定内だ。
 準備はできてる。

「今の声の相手を抑えてくれ!」

「ヌウ!」

 声からするとまたオークに違いない、俺を守ってもらうより相手を近寄せない方が安全なはず。


ガキィィィィィン


 大楯に攻撃が当たった、やっぱり防ぐことは問題なさそうだな。

 オークなら大楯を超えることはできない、ダメージは少ないながらも狩人の攻撃だって効いていそうだった。


 勝てない相手じゃない!


ポポポポン

 例の如く狩人を4体出現させた。

 鉄壁の守りの後方からの遠距離攻撃。これが俺の一番の必勝パターンだ!


「フゴッ!?」

 大楯で前方を塞がれた上での弓での攻撃にオークは戸惑っている。


 これで怒って盾騎士を攻めていけば勝ち確定だ。
 これならCPを9消費するだけでオークに勝てる!

 せっかくだし、また逃げてくれるなよ!

 念のため逃げられた対策で傭兵も1体出しておくか。

ポンッ

「ウオー!」

 コスト1ってのはとりあえず出せて便利だな。
 さっきまではこいつ1体しか出せないのにそれがもうすごく昔のことのように感じる。


「フゴーー!!」 


 ん?

 盾騎士が抑えてるオークとは別の場所から声が……

 まさかもう一匹オークが潜んでたのか!?


「ウオー!」

 出しててよかった……
 傭兵がいきなり飛び出てきたオークに向かっていく。


ブォォォン!

 オークの豪快に振り回す戦斧によって傭兵は何もできず消滅してしまった……


 おいぃぃ! それじゃさすがに出した意味がなさすぎだろっ!
 もうちょっと粘ってくれよぉ……

 くそぉ、逆にオークの攻撃力を侮るなってことか……

 1匹だけかと思って油断してたらこの様だ。


 でもまだいける!

 盾騎士ならオークの攻撃を耐えられるんだ!


ポンッ

 もう1体盾騎士を出せばこんなの解決できる。

「このオークを抑えてくれ!」

「ヌウ!」

 これでもう1匹のオークの行動も防いだ。


 もう隠れてるオークはいないよな……?

 あたりをよく見渡すが、モンスターの気配はもうしない。


 それなら、あとはじっくり狩人がオーク達を倒してくれるのを待つだけだ。


 盾騎士の後ろから狩人は上手に弓を撃っている、これならオークから攻められる心配はないはずだ。

 はじめに奇襲をかけてきたオークへの集中攻撃は続いている。

 ふふふ……悔しいだろ、ジワジワとやられていく感覚はどうだ!

 このままやられて俺のスキルの経験値となれ!


「フゴッ!」

「フゴ、フゴッ!」


 オーク同士で何やらふごふご言い合ってる。何言ってるかはわからないけど、こいつら会話ができるみたいだ。

 後からきたオークが攻撃をやめ引き下がる。
 位置取り的にもう一匹のオークに寄っていく方向だ。


 撤退?

 やっぱりこいつら攻めれないと引き返すのか。
 でも変だ……

 もう1匹のはじめに来た方が逃げていかない。
 狩人から集中を受けているのはこっちなのに。


「フゴ!」

 逃げたと思っていたオークが再度戦斧を振りかぶった。


 しまった! 狙いはもう一匹を抑えてる盾騎士か!


ボシュッ!

 盾を持たない部分に直撃を受けて盾騎士は消滅していく。


 そんな……

 こいつら今までのモンスターと違って頭を使ってくる……


 盾騎士がやられるとまずいぞ……
 というか、盾騎士も盾以外が脆すぎるだろ……傭兵が盾を持っているようなものなのか。


 小瓶ももう無茶な使い方ができるほど残ってない……
 一度撤退だ!


 背後を取られたせいで行くとしたら先に進むしかない……

 とにかく先だ! ここから逃げなきゃ!


 ゴレアムに続いてまた逃げることになるなんて……



 オークは残された兵士を倒すことに夢中で俺は相手にしてなさそうだ。

 今のうちに……




 逃げろ!




 やっぱりもう嫌だ、ダンジョンなんて……

 敵が強い敵は俺のやることを対策してくるし、俺なんかじゃ対応しきれないよ……


 ん……?

 行先に光っている場所がみえる。


 なんかあれ、ダンジョンの入口に似ているような……


 近付くにつれてその疑惑は確信に変わっていった。


 間違いない、あれはダンジョンの入口と同じ異空間への入口だ!

 もしかして外に出れる!



 思わず気持ちが昂った。
 これでこのダンジョンともおさらばだ!

 足取りが軽くなった直後、その気持ちは一気に転落していった。



 異空間への入口で待ち構えてるモンスターがいる。


「ハイオーク……」


 さっき手こずっていたオークの上位種じゃないか……
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