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3-Love doesn't stop-
79高塚くんの愛はとっても重いらしい①
しおりを挟む「やっと、二人きりだ」
マンションに着き家に入るなり内鍵をかけると、高塚くんに腰を引き寄せられて深く唇を奪われた。
「ん……んんっ……!」
長い舌に口内を隅々までなぞられ、もっとくれとばかりに舌を絡められ、ここ数日で慣らされた莉乃はおずおずと自らも絡めにいった。
ふっ、と息を吐き出した高塚くんがさらに奥深くへと侵入し、情熱的なキスで立っていられなくなり莉乃は膝から崩れ落ちてしまう。
「……はぁ、りの」
くちゅりと音を立てた後に名を呼ばれ、すかさず抱きかかえられる。
「はっ、ぁぁ……」
しっかりと腰に回された腕のおかげでその場にへたり込むことは免れたけれど、いきなりのことに息が上がってろくな反応もできない。
口の中から熱が発しているようで、潤んだ瞳で莉乃は高塚くんを見上げた。
そんな莉乃の靴を脱がせてリビングにあるソファまで誘導すると、高塚くんは莉乃を閉じ込めるように座った。
するりと回された長い腕もまた慣らされつつあるもので、恥ずかしいけれどそうされるとなんだか落ち着くようになった。
すりっ、と甘えるように頭の上に顎をおくと、ようやく落ち着いたとでもいうように話し出した。
「りの、出会った時の話をしてもいい?」
「うん。知りたい」
返事をしながら、莉乃もできることなら思い出したいと強く思った。
腕の中に閉じ込めるように莉乃を囲まないとまだ不安定な恋人に、莉乃は苦笑する。自分が不安だった時に相手も不安で、それが伝わってくるから安堵とそしてときめきも感じた。
好きだからこその不安というものを体験した莉乃には、高塚くんのこの行動は心地よい重みとなって莉乃を包み込む。
「正直、それで自分でもここまでりのが好きなのかとか、こんなにのめり込んだのかなんて言葉で説明しずらいんだけど」
「うん。きっかけだったってことだね」
「そう。鮮烈に印象に残って離れていかなくなって、一緒に過ごせば過ごすほど好きになった」
「うん。ありがとう」
ストレートな言葉に、莉乃は心の底から微笑んだ。
これだ、あれだ、って言われるよりは、信用できる。莉乃も少しずつ少しずつ気になって知って好きだと思うようになった。
いいな、って思うところも、ちょっとな、って思うところも含めて高塚くんで、そういうものが重なり合い積み重なったものが愛おしい。
最初のころの伝え方はどうかと思うけれど、今思えばすべてが真っ直ぐだったとは思う。
そうやって伝えてくれていたから、不安になりながら疑いながらも惹かれていったのだ。
あのまますれ違っていたら、こんな愛おしいという気持ちもわからなかったまま。高塚くんがずっと莉乃を見てくれて諦めなかったから、こうしていられる。
そのことがとても尊くて、この温もりが愛おしくて、求められていることに心地よく感じる。
高塚くんに抱きしめられながら耳を傾ける。とくとくとく、と高塚くんの少し早めの心音が心地よい。
「りのは春休み前までは髪が腰のあたりまで長かったよね?」
「なんで知ってるの?」
「その現場にいたから」
「えっ?」
「あの時はごめん。相手が刃物だして、りのに髪を切らせることになって」
高塚くんが話しているのは、春休み前に男性たちが喧嘩をしていた時のことだ。
どういったことで揉めているとかわからないけれど、あの時はたまたま通りかかった時に彼らの近くにいた老夫婦があまりにも困って見えたので、莉乃は思わず出てしまったのだ。
「その中にいたの?」
「中っていうか、仲間が喧嘩に巻き込まれたっていうから呼ばれて行ったら、りのが出てきた」
「そうなんだ」
全く意識していなかった。出された刃物と、どうやら驚いてこけて捻挫したらしいおじいさんと、心配するおばあさんしか目に入っていなかった。
「あの時、りのがあいつらをけん制するように睨み上げ、なんのためらいもなく自分の髪を切り落としたのを見て、なんかぞくっと内から這い上がってきて。落ちていく髪とかすっごく悔しくて。りのが大切にしないなら俺が大切にしたいって。今思えば、もうあのときに惚れたんだと思う」
「その時に?」
すりっ、と頬をすり寄せられ高塚くんの吐息が耳にかすめる。
「そう。その場を言葉ではなくて行動で諌めようとした莉乃がただただ格好よくて、目が離せなかった」
「でも、あれはちょっと無謀だったし。それにおじいさんたちをなんとか離そうって思っただけで、喧嘩を止めようとかそんなことは考えてなかったよ」
今から考えると、危ないことをしたって思う。結果何もなかったから良かったものの、怪我する可能性もあったのだ。
高塚くんもそう感じたのか少し苛立つように声を低めると、前に回した左手はそのまま、右手で莉乃の髪をすくい取った。
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