伎芸天 時を越えた微笑み

小笠原雅

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SNSの話題

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12、SNSの話題

 快速電車が通り過ぎていったのだろう。高架になっている線路を車両が通過する音が頭の上からやってきた駅の改札口。
 文子は急ぎ足で階段を駆け上がって行った。
 あれだけエッチな事をしたのに、大したものだと感心しながら、ちらっと電光掲示板を確認すると通勤電車がこの駅に到着するまであと3分、スムーズに帰れるだろうと思った。
 思いついた様に雄太は携帯を取り出し仲間たちが集まるグループLINEを開けてみた。
 このLINEにはネットやストリートのナンパで出会った女性と会ったときの印象や会うまでの苦労いろいろなテクニックを皆それぞれが思い通りのまま投稿するグループチャットだ。
 気安い気持ちで雄太も書き込みを入れた。
「出会ってすぐにお持ち帰りできました。40代主婦リピート率高いです」
 SNSに書き込んでさっきまで一緒にいた女の下着の写真を貼り付けた。
 栗田悠太は31歳さっきまでネットで知り合った40代の人妻と激しい痴態を思い出していた。
 「痴態だなぁあれが、女って凄い事になるんですね」
 泣きながら喘ぎ声を出して髪の毛を振り乱して何度もお願いされて3回も出してしまった。
 もっとできるだろうけど、その間にあの人妻は何度逝ったんだろうかなと思い出してみてもわからないぐらいとしか答えられない。
 悠太が上になって腰を動かしている時、女が背中に手を回していた。
 あまりに喜ぶので良いおもちゃが出来たと思ったら、立て続けに逝った時に爪を立てられてしまった。
 酷く痛むので皮が剥けたのかもしれない。
 ジムに行くので人前で着替えることがあるので人にはみせられないかもしれない困ったもんだ。
 女の喘ぎ声が大きすぎて家の中で抱くのは危険すぎる。でも3回もやっちゃったから俺も調子に乗りすぎたなぁって反省した。声はでかいし抱きついたときの力はすごい強い。叫びながら背中に爪を立てる、その上に潮まで噴き上げて、あの女のせいでベットが冷たくなってしまったなぁ。今晩寝るのが大変じゃないか。
 リピートはありそうだけど今の気分ではこれからは無しだなと雄太はつぶやきながら自宅に戻った。

 それからいく日が経っただろう。
 俺は会社の後輩を連れて食事に出ていた。
 小さなコンペが上手くいきお疲れ様会となった。課長は喜び機嫌が良い、上質なクライアントと仕事ができるからだ。
 ワイワイと楽しい時間が過ぎていった。
 食事が終わるとも一件となるのだが、今日は珍しくバラバラに意見が分かれてカラオケに行く者、飲み直しに行く物と趣向が分かれてしまい。
 めんど臭くなった課長が今日は解散と叫んだ。
 それは好都合でいつものショットバーが近い歩いて行ける距離だ。スーと離れて消える様に仲間から離れた。

 少し歩いた時に呼び止められた
「栗橋さん」
 紀美子だ
彼女は悠太と同じ部署の後輩でやり手のキャリアウーマン。実はジムも一緒でジム仲間でもある。
 しっかりと鍛えた女性らしいウエストの括れ。しっかと鍛えていて太ももとヒップの突き出しも柔らかい女らしさを持っている。
 最近は効果が出てきて身体の線が綺麗だ、露出の多い服を着るようになっている
 今日もピッタリとしたニットのワンピースで、太ももが露わになるスリットが切れ込んだ服を着ている。
 この女はピンヒールが好きなので俺はS女王と呼んでいる。
 「見つかったなぁ」
 「置いてきぼりは酷いですよ」
 「俺は男とはいきたくないんだよ」
 「誰が男ですって」
 「そりゃそうでしょう、お前バーベルあげる時いつも歯茎丸出しだもん。化粧してそんな服着てもあれをみてるとなぁ」
 「こんな良い女のレオタードをジムで間近にみられるんですから歯茎の話は無しです」
「お前毛の手入れしてるか?レオタードから突き出てたぞ一本」
 「そんなところばかり見てるんだから!」
 「今日は付いて行きますからね、先輩のお気に入りの店。気を許した人しか連れて行かないって言うその店に。
 今から行くんでしょ?」
 そう言いながら紀美子は悠太の背中を強く叩いた。
 その場所は少し前に遊んだ女が爪を立てた場所だ。
 少し面影を思いつつ店への道を歩いた。

 
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