別の形で会い直した宿敵が結婚を迫って来たんだが

まっど↑きみはる

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勇者とは

偽物

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「俺達に付いてくるか? 飯を食わせてやるぞ?」

「おう! 付いて行くぞ!」

 ルサークが言うとスパチーは二つ返事で決めたみたいだ。

「ただ、二つ約束をしてくれ。人を傷つけない事。お前が魔人だってのは内緒にすることだ」

 諭すようにルサークは言うが、スパチーはいまいち理由が分からないみたいだった。

「どうしてだ?」

「魔人は人に狙われる。魔人だってバレたら一緒に飯が食えなくなるぞ?」

「それは嫌だ!!!」

 ルサークの言葉に、身を乗り出してスパチーは返した。

「嫌だったら、約束を守るんだな」

「わかったぞ!」

 本当に分かっているのか不安なぐらいあっけらかんとした返事だが、ふぅっとため息を一つ吐いてルサークは旅の準備を進めた。




 ロットオセの街で待機するマルクエンとラミッタ。その元へ奇妙な話が舞い込んだ。

「その話、本当なのですか?」

 思わず、マルクエンは聞き返す。

「えぇ、マルクエン様とラミッタ様が近くの村で魔人を撃退したと」

 だが、ギルドマスターの話は、この街に居たマルクエンとラミッタには当然見覚えの無い事だった。

「勇者様をかたる偽物はいつの時代も珍しい話ではありませんが、魔人を退けるとしたら相当な実力者であると推測できます」

 ラミッタも考えを口にする。

「何者なのでしょうか……」

「わかりません。しかし、魔人の痕跡とその者たちの調査をお願いしたいと、お達しが来ました」

「承知しました。行こうラミッタ」

「えぇ、そうね」

 二人は準備を整え、街をった。





 道中、馬車の中で、ラミッタは手を頭の後ろに回しながら言う。

「しっかし、自分の偽物が居るなんて良い気分はしないわね」

「まぁ、そうだな」

 運転しているマルクエンは苦笑しながら返した。

「笑っているけど、シヘンの心配はもう大丈夫なの?」

「あぁ、リッチェさんもケイさんも居る。それに王都に着けばスフィン将軍のあの魔法があるんだ。大丈夫だろう」

「そう」

 ラミッタは短く返事をして目を瞑る。





 ルサークとデルタは魔人スパチーを連れて勇者を探す旅をしていた。

 道中、泣いたり笑ったり、拗ねたり喜んだりするスパチーを見て、こいつは本当にあの残虐な魔人なのかと疑う時もあったが。

「おい、ルサーク!! 別の勇者はどんな奴なんだ!?」

 スパチーは興味津々で聞いてくる。そんな事はルサーク自身が知りたい。

「どんなって……。強いぞ」

「お前よりもか!?」

「あぁ」

 そう言うと目を輝かせるスパチー。

「私、そいつと戦いたいぞ!!!」

「やめておけ、めっちゃ強いぞ」

「大丈夫だ!!」

 やはり、魔人としての闘争本能なのか、スパチーは自信満々に言っていた。
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