別の形で会い直した宿敵が結婚を迫って来たんだが

まっど↑きみはる

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勇者とは

レモーヌ

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 実に美味そうに肉とスープを食べるレモーヌをにこやかにルサークは見つめていた。

「いやー、ホント助かりましたー」

「そうか」

「そういや、そっちのお子さんは……?」

 レモーヌはすやすやと眠るスパチーを見て尋ねる。

 どう説明するかとルサークは口を開く。

「あぁ、それはその……」

「あ、もしかしてお二人のお子さんですか!?」

 レモーヌの言葉に、ルサークとデルタは顔を赤くして慌てだす。

「い、いや違う!!」

「子供じゃないわ!! まぁ、冒険者をしていると色々あるのよ」

 レモーヌは何かを察して言葉を返した。

「そうでしたか、まぁ、冒険者には秘密は付き物って言いますしねー」

 そう言ってレモーヌは立ち上がる。

「お食事のお礼に私、起きて夜警しとくんで、寝てて下さい!」

「いや、それは俺がやろう。レモーヌも疲れているだろう?」

 ルサークの言葉に、レモーヌは赤みがかった茶髪のポニーテールを揺らし、首を横に振った。

「いえ、自分これぐらいしかお礼出来ないんで!!」

「良いのよレモーヌ。あなた迷子になって疲れたでしょう?」

「あぁ、先輩冒険者に任せな!」

 デルタとルサークに優しい言葉を掛けられ、思わず胸がいっぱいになりながらも、レモーヌは言う。

「ですが……」

「無茶をしないのも、冒険者として大事なことだぞ?」

 フッと笑ってルサークが言うと、うーんと悩んだ後にレモーヌは答えた。

「……。そうっすね……。分かりました! お言葉に甘えさせて頂きます!」





 夜明けの頃、デルタは目を覚まし、しまったと思う。

「ルサーク、ごめん寝すぎたわ」

「あぁ、いいさ」

「起こしてくれれば良かったのに」

 ムスッとして言うデルタにルサークは笑いかける。

「いいんだ、どうせ考え事のせいで眠れなかったしな!」

「何を考えていたの?」

「色々と、な」

「そう、色々ね」

 深く追及はしないデルタ。シンと静まり返った森のそばで、空が薄く色付いていく。

「お茶でも飲むか?」

「えぇ、そうね」




 レモーヌは空が明るくなった頃に目を覚ました。

「んぁ!! 寝すぎた!?」

 日の眩しさに驚くレモーヌを見て、笑いながらルサークは言う。

「おはよう、レモーヌ」

「す、すいません!! 寝すぎました!!」

 その声を聞いて、スパチーがもぞもぞと動き出す。

「んあー、うるさいぞー」

「起きろスパチー」

「何だぁ? 朝か?」

 起き上がるスパチーを見てレモーヌは挨拶をした。

「お嬢さんスパチーって言うの? おはよう! 私はレモーヌ」

「ルサーク! 何だコイツ!」

 レモーヌを指さして言うスパチーにルサークは呆れて言う。

「コイツじゃない、レモーヌお姉さんだ」

「ははっ、良いっすよルサークさん!」

「レモーヌか、私はスパチー! すごく強い魔人だ!」

 いともあっさりと自分の正体を話すスパチーに、ルサークとデルタは焦る。

「おまっ!!」

「へー、スパチーちゃん魔人なんだー」

「あぁ、とっても強いぞ!」

 意外にもレモーヌはニコニコとしていた。

 多分、冗談か何かだと思っているのだろう。

「スパチー、人に魔人だって言ったらダメだって言っただろう?」

「あぁ、そうだっけか?」

「そうよ、相手がビックリしちゃうでしょ?」

 レモーヌはそんな様子を見てあははと笑っていた。
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