別の形で会い直した宿敵が結婚を迫って来たんだが

まっど↑きみはる

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田舎町

田舎に宿泊しよう!

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 ラミッタは食事の片づけをしながら遠くの街を見る。

「ここでこうしていても仕方ないから、あの街へ行くわ」

「あぁ『スナドリ』って名前の街だっけか」

 マルクエンも了承し、二人は山から撤収して歩き始める。

 馬車は冒険者のレモーヌに預けていて、馬を街で世話してもらっているので、重たい荷物はマルクエンが背負う。

 街へ辿り着くと、衛兵に挨拶をした。

「おぉ! お待ちしておりました勇者様!!」

 街というには少し寂しい場所だったが、冒険者ギルドを目指して二人は歩く。

 ギルド前に着き、ドアを開けるとちょうど見覚えのある顔が椅子に座っていた。

 彼女にマルクエンは声を掛ける。

「おっ、レモーヌさん!」

「あー! 勇者様!!」

 その言葉にギルドはざわつき始めた。もうマルクエンとラミッタには慣れたものだったが。

「お待ちしてたッス!! ギルドマスターが待っていますよ!」

 レモーヌは受付に話をして、それからマルクエンとラミッタを応接室に案内した。

 中には中年の男性が立っており、深々と頭を下げる。

「初めまして勇者様、ようこそおいでくださいました。ご挨拶が遅れ申し訳ございません」

 マルクエンも礼を返して言った。

「いえ、お気になさらず」

 ギルドマスターは挨拶もそこそこに、早速本題へと入る。

「勇者様のお時間を頂戴しては申し訳がない。森の中での事は私にも詳細を知らされてはいませんでした」

 その言葉を聞いて、申し訳なさそうにマルクエンは返す。

「どうしても、国の重要な秘密に関わる事でしたので……」

「いえ、承知しております。深い詮索はいたしません」

 ギルドマスターというだけあり、何かを察してはいるのだろうが、深くは聞いてこなかった。

 そこで、身を縮こまらせていたレモーヌが声を出した。

「あ、あのー。勇者様、ルサークさんとデルタさん、あとスパチーちゃんはどうなったんすか? それだけ聞いてもいいっすか?」

 マルクエンはラミッタと目配せをした後に、要所は隠して言う。

「三人は、国の使者に身柄を引き渡しましたが、悪いようにはならないでしょう」

 それだけ聞いてレモーヌはほっとし、ふぅっと目を閉じた。

 今度はラミッタがギルドマスターに話しかける。

「私達は国から命令があるまで、この街に滞在しようと思います」

「かしこまりました。何もない田舎町ですが、休息には良い場所ですよ。レモーヌ、勇者様をご案内しなさい」

「あ、はい!」

 会話は終わり、マルクエンとラミッタの二人は冒険者ギルドを出て、その後をレモーヌも付いてきた。

「勇者様、宿屋にご案内するっす!」

 マルクエンは緊張しているレモーヌに笑顔を向けた。

「えぇ、助かります」

 ここ数日、テントで寝ていたので屋根のある部屋のベッドが恋しい。

 しばらく歩くと、平屋の民泊が見えてきた。

「田舎なんで、ホテルとかないんすけど……。良い宿屋なんで!」

 申し訳なさそうに言うレモーヌだったが、マルクエンは気にしていなかった。

「そうですか、ありがとうございます」

 レモーヌが建て付けの悪いドアを開けると、小奇麗にした室内が見える。

「こんにちはー!」

「あらあら、レモーヌちゃん。また冒険者さんを連れてきてくれたのかしら?」

 宿屋のおかみがこちらへ歩いてやって来た。

「いや、冒険者っていうか、なんていうか……」

「冒険者さんじゃないの? 行商人さん? それとも……」

「あの、勇者様っす」
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