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箱の中身は

VS翼竜

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「あの竜はどうすれば良い!? ラミッタ!!」

「そんなの私も知らないわよ!!」

 二人は魔物達を殲滅しながら空をちらりと見る。

 竜は上空を旋回しているだけだが、いつこちらに来るとも分からない。

「街に向かったら危険ね、注意を引き付けるわ。宿敵、覚悟は良いかしら?」

「おう!!」

 マルクエンが返事をすると同時に、ラミッタは宙に向かって極太の氷柱を打ち出した。

 竜が怯み、氷柱が片翼を貫いた。飛行能力を失い、地面へと落ちる。

 両足で立ち上がり、咆哮をする翼竜を見据えてマルクエンは走った。

 相手が吐き出す火の玉を剣で薙ぎ払い、速さを緩めることの無いまま突っ込んだ。

 筋力強化魔法を最大にして剣を頭に叩きつける。

 翼竜は頭が縦に真っ二つになり、絶命した。

 それを見た冒険者たちは歓声を上げるでもなく、ただただ圧倒的な戦いにぽかんとしていた。

「案外、翼竜って大したことないのね。私一人でも充分だったかしら」

 マルクエンの近くに走ってきたラミッタが言う。

「あぁ、そうかもしれんな」

 そう言葉を交わすと、ラミッタは魔物を斬りに、マルクエンは箱を壊して回る。

 マルクエンが箱を壊し終わるのと、周りの魔物を殲滅したのは、ほぼ同時だった。

「やっと、終わったんですか……?」

 戦いに参加していたシヘンは疲れ果て、杖を支えにその場に座り込んでしまう。

「はぁはぁ、きっつかったー……」

 ケイもそんな事を言いしゃがみこんだ。



 翼竜との戦いから二日後、ようやく街に軍の配備が出来たらしい。

「此度のご活躍。流石です」

 冒険者ギルドでマルクエン達はギルドマスターと向かい合っていた。

 マルクエン達は『竜殺しのパーティ』として、称賛され、同時に恐れられる。

「いえ、軍も配備出来ましたし。私達は旅を続けたいと思うのですが」

 マルクエンの言葉に、ギルドマスターは目を伏せる。

「魔王討伐……。でしたか」

「えぇ」

 本来であれば応援をしたいところだが、魔王討伐とは死を意味する様なものだ。

 とても「頑張ってください」と送り出すことなど出来ない。

「今回の件は、それこそAランクの冒険者の活躍に匹敵しますが。私に出来るのはマルクエンさんとラミッタさんのランクをCに上げることぐらいです」

 冒険者が飛び級でランクを上げるには、ギルドの本部で特別な許可がいる。

「ありがとうございます。充分です」

 そう言ってマルクエン達は部屋を後にした。

 街を出る際、大勢の人がマルクエン達を惜しみながら送り出してくれる。

「何か恥ずかしいですね」

「私も照れくさいッス……」

 むず痒いものを覚えるシヘンとケイをよそ目に、ラミッタは澄ました顔をし、マルクエンは街に手を降って旅路を歩んでいった。
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