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試練の塔

雪原

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 赤く揺らめく炎と、熱が安心感を与えてくれる。

「後は私がやるわ、おぼっちゃまの騎士様に料理なんて……」

 そう言って立ち上がろうとするラミッタをマルクエンは制した。

「大丈夫だ!! 任せろ!!」

「任せろって……」

 火の近くで毛布に包まり凍えるラミッタは不安そうだ。

 マルクエンは鍋にナイフで細かく刻んだ干し肉と、にんにく、生姜。じゃがいもや大根、人参といった根菜を入れて、煮込み始めた。

 しばらくすると、いい匂いが山小屋の中に充満する。

「よし!! こんなもんか!!」

 マルクエンはスープを取り分けて、ラミッタに渡す。

「これって……」

「初めてラミッタの手料理を食べた時のスープに似ているな」

「やっぱり出来すぎよこんな展開!!」

「まぁ、良いじゃないか。食べよう」

 マルクエンはイタダキマスと言ってスープを口に運ぶ。ラミッタも同じ様に口をつけた。

「どうだ、味は? 中々じゃないか?」

「……、おいしい」

 ラミッタがボソッと言い、マルクエンは喜ぶ。

見様見真似みようみまねで覚えていたんだ」

「どんだけ私のこと見てるのよ、ド変態卑猥野郎」

 スープの優しい味と暖かさが寒い体に染み渡る。

「……、ありがと」

「ん? 何か言ったか?」

「べ、別に!!」

 ラミッタがふと、また呟く。

「アンタは寒くないの?」

「大丈夫だ!!」

「嘘ばっかり、震えているわよ」

 火のお陰で少しは暖かいが、まだ十分ではない。

「毛布、入る?」

 目を伏せながらラミッタが言う。大きめの毛布なので2人で入るには十分だろう。

「いや、えっと、嫌じゃないのかラミッタ?」

「何よ!! アンタこそ嫌なの!?」

「いや、嫌ではないが……」

 何故だか少しドキドキするマルクエン。

「雪中でこういう時は体で温め合うって、軍で習わなかったのかしら? これは……。そう!! 緊急事態だから!!」

「なら、仕方がないな。分かった」

 ラミッタの隣に座り、毛布に入ると、ラミッタの体温の温かさが伝わってくる。

「これで大丈夫か? ラミッタ」

「ん……」

 毛布で顔を隠すラミッタ。マルクエンはそうだと思い出した。

「しまった、こういう時寝たら死ぬんだったな!! まずいぞラミッタ!!」

「騒がしいわね……」

「何か寝ないようにしなくては……」

「話でもしてれば寝ないでしょ」

 それもそうかとマルクエンは何か話題を考える。

「そうだな、この世界に来て色々あったな」

「なにそれ、走馬灯みたいで演技でもないわね」

「まぁ、そう言うな。それじゃこの世界に来る前の事でも話すか?」

「この世界に来る前……」
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