別の形で会い直した宿敵が結婚を迫って来たんだが

まっど↑きみはる

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聖女様

聖女様

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「本当に勇者様だったが、こりゃ失礼しましただ」

 その後も話をし、何とか信じて貰えたマルクエン達。男に案内され、村へと向かう。

 鬱蒼うっそうとした森を抜けると、集落が広がっていた。

「ここが村ですだ」

 そのまま村長の家まで連れていかれる。疲れを感じていた一行はすぐにでも休みたかったが、仕方がない。

「村長ー、勇者様だー」

「勇者様!?」

 慌てて老人が軋む体に鞭打って飛び出てきた。

「ほ、本当に勇者様だか?」

「えぇ」

 そう言って自己紹介を始めるマルクエン達。

「信じられねぇが、信じるしかないべか……」

 村長はポツリと言ってから、笑顔を作る。

「ようこそおいでぐださっだ。勇者様。空き家があるんで、そこを使ってくだせぇ」

 どうやらこの村に宿屋は無いらしく、空き家を貸してもらえる事になった。

「ありがとうございます。ありがたいです」

 マルクエンは深々と頭を下げて、その言葉に甘える。

「勇者様、一つお願いがあるんだきっとも。勇者様は回復の魔法ってのを使えねーだか?」

 回復と聞いて、スフィンはピクリと反応した。

「この前魔物がおそっでぎで、村人と雇ってる冒険者が怪我したんで、治して貰えないかっで」

 マルクエンはスフィンを見ると、軽く頷く。

「この能力の実験には丁度いい。案内してくれ」

 スフィンの言葉を聞いて村の男は大いに喜んだ。

 そのまま歩くと、とある家の中に着く。中に通されると、怪我人が並んで寝ていた。

 怪我人の元にしゃがんで、マッサにしてやった時の様に魔物の爪で切られたであろう太ももの傷に触れるスフィン。

 すると、光があふれ、たちまちの内に傷が治っていく。

 手当された本人も、見ていた村人も驚いていた。

「こ、これが勇者様だべか!?」

「いや、私は勇者ではない」

「そうそう、聖女様だ」

 マッサが適当な事を言ったのでスフィンは睨みつける。

「聖女様だべか!!」

「いや、違う私は!!」

「聖女様、私の傷もお願いします!」

 否定を入れる間もなく、呼ばれたスフィンは次の怪我人を治療した。

 全員の手当てが終わると、口々に礼を言われる。

「聖女様! ありがとうございます!!」

「オラもう駄目かと思ってました!!」

 照れくさそうに赤面してそっぽを向くスフィン。

「べ、別に大したことではない」

 そんな時、家のドアがバンっと開く。

 一同がそちらを見ると、杖を付いた男と、それを支える女が立っている。

 マルクエン達は気付く。その男は左足が太ももの先から無かった。

「勇者様!! 俺の足を、足を治してください!!」
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