別の形で会い直した宿敵が結婚を迫って来たんだが

まっど↑きみはる

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聖女様

本音

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「あら、死んだかしら?」

 これぐらいで魔人が死ぬわけない事を知っているラミッタは、わざとらしく言う。

「死ぬわけないじゃーん! どう? 脱出ショーだよ?」

「1エンの価値も無いわね」

「言ってくれるねー」

 ミネスは球を取り出してジャグリングを始めた。

「まぁ今日はこの辺でー」

 水色と赤色の球をぶつけると、ボンっと大きな音がして一気に煙が辺りを包み込む。

 ラミッタが風魔法で煙を吹き飛ばすが、それより早く飛んで逃げて行ってしまった。

「またアイツ、厄介な物作ってくれたわね」

 剣を仕舞うと、ラミッタは片目を閉じて、ふぅっとため息を漏らした。

「アザミヤ……。無事で良かった……」

 彼女の上半身を抱きかかえながらタカセは言う。

「タカセ、私は……。私はっ……」

 自分でもどんな感情なのか分からないが、アザミヤは泣いてしまっていた。

「事件が片付いたなら行くぞ。魔物を狩らねばならん」

 そう言ってスフィンはタカセとアザミヤに背を向けて歩き始める。

「そうですね、将軍」

「あのお二人は良いのか!?」

 マルクエンは心配そうに横目で見ていたが。

「良いから来なさい」

 ラミッタに言われ、後ろ髪を引かれる思いでその場を後にする。

 勇者も聖女も消え、残された二人は言葉を交わす。

「タカセ、私の本音聞いちゃったよね。私、最低だよね」

「そんな事はない。お前はずっと足を失った俺の世話をしてくれた」

「その原因だって……。私たちを守ろうとして、それで……」

 アザミヤは目に一杯の涙を貯めて言う。

「違う。俺が不甲斐ないだけだった」

「だけどっ!!」

 アザミヤの言いかけた言葉は、タカセによって遮られた。

「お前の気持ち、聞けて嬉しかったよ」

「だけど、だけど!! 私にタカセを好きになる資格なんてないっ!!」

「アザミヤ。俺も自分の気持ちに嘘はつかない。俺は多分……。いや、お前の事が好きだ」

 思わぬ言葉に固まるアザミヤ。

「でもな。俺は冒険者の夢も諦めきれない。だから、答えはもう少し先延ばししてもいいか?」

 笑顔を向けてタカセは言った。色々と言いたい言葉があったが、詰まってしまったアザミヤは一言だけ頷いて返す。

「うん!!」


 村長に事の経緯いきさつを説明し、魔人がらみの事に巻き込んでしまったことを詫びるマルクエン。

「私達が訪れた事でご迷惑をお掛けしました」

「いえ、謝らねえで下せえ勇者様!!」

「せめて、明日の出発までの余った時間で周辺の魔物でも駆除させて下さい」

「怪我人を治してくだすった上に、魔物まで……。大したお礼はできませんが、宴を準備しておきますので」




 村はずれでラミッタは魔物を呼び寄せる魔法を使い。四人で狩りを行っていた。

 といっても、ラミッタとマルクエンには準備運動にすらならないぐらいだ。

 スフィンも涼しい顔をしていたが、久しぶりに振るう剣にどこか楽しそうだった。

「やっぱ、半端ねぇっスね」

 マッサは仮にもギルドマスターだったが、圧倒的な力で暴れる三人を見て感嘆している。

「あらかた倒し終えたわね」

「なぁ、ラミッタ。あの二人は大丈夫なのだろうか?」

「何言ってんの、大丈夫よきっと」

 日が暮れ始め、いい頃合いかと四人は村へと戻ることにした。

 魔物を狩った事を感謝され、宴が用意されているようだ。
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