別の形で会い直した宿敵が結婚を迫って来たんだが

まっど↑きみはる

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勇者とは

行動

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「シヘンさん!! シヘンさん!!」

 マルクエンはシヘンを抱きかかえながら叫び続ける。ケイも同じく声を掛け続けた。

「シヘン!! しっかりしろ!!」

 そこへ、衛生兵がやって来て止血と痛み止めの回復魔法を掛ける。

「シヘンさん!!」

「落ち着きなさい宿敵!! まだ息はあるわ!!」

 ラミッタに言われ、少しだけ冷静さを取り戻すマルクエン。

「勇者様!! 他の箱も動き始めたようです!!」

 東と西の箱も動き始め、マルクエン達は感傷に浸る間も無かった。

「宿敵!! 私は東に行くわ!!」

「あぁ、分かった!! ケイさん、シヘンさんを頼む!!」

「わかりました!!」

 まずは街を守らねばならない。マルクエンとラミッタは二手に分かれ、箱を破壊しに行く。

 残されたケイは気を失ったシヘンを抱きかかえて、病院まで向かった。




 ほぼ同時刻に箱の元へと到着したラミッタとマルクエンは、魔物と戦い、難なく箱を破壊する。

 そして、勝利の余韻に浸る間もなく、シヘンの元へと急ぐ。



 先に戻ったマルクエンは、近くの病院を訪ねた。

 先ほどの襲撃で出た怪我人で大忙しだったが、何とか看護師を捕まえてマルクエンは聞く。

「あの、ここにシヘンという方は来ませんでしたか?」

「シヘンさんですね! あちらの処置室に……」

 言葉を聞き終える前にマルクエンは手を向けられた部屋へ急ぐ。

 部屋の中は怪我人たちのうめき声が響いていた。そこでマルクエンはベッド横の椅子に座るケイとリッチェを見つける。

「シヘンさん!!」

 その声に気付いたケイはハッと顔を上げた。

「あ、マルクエンさん!!」

「ケイさん!! シヘンさんは!?」

「睡眠魔法で眠ってるッス。起きていても苦しいだろうってお医者さんが……」

 荒い息をしながら目を閉じているシヘンを見てマルクエンはふぅーっと息を吐いた。

 ひとまず、辛うじて命があって良かったと。

 そこに慌ただしく、ラミッタもやって来た。

「ラミッタ……」

「こっちも終わったわ」

 ラミッタはシヘンの顔を見て、少し安堵した。

 そこに、ケイは泣きそうな顔をしながら二人へ言う。

「シヘンの腕、戦いでぐちゃぐちゃになっちゃって……。元に戻すのは難しいって……」

「腕の事なら心配ないわ。命があればだけどね……」

 ラミッタの言葉にマルクエンはハッと思い出した。

「スフィン将軍か!!」

「えぇ、そうよ」

 あぁそうだ。スフィン将軍の待つ王都まで行けば、こんな怪我一瞬で元通りだと。

「い、今すぐ行こう!! 馬車を持って……」

 そこまで言いかけたマルクエンにラミッタは言葉を掛ける。

「待ちなさい。私達は勇者よ。勝手な行動は許されていないわ」

「だが!! それではシヘンさんが!!!」

「身内であっても特別扱いは出来ないわ。宿敵も軍に国に仕えていたのならばわかるでしょう?」

 そこまで言われてマルクエンは思わず声を荒げる。

「じゃあシヘンさんはこのままで良いと!?」

「良い訳ないじゃない!!」

 ラミッタも声を大にして言い返した。

「でもね、私達が勝手な行動を取れば、魔人によって多くの人が危険に晒されるかもしれないわ」

「それは、分かっている……」

 お互いしばらく沈黙し。

 その後マルクエンが口を開く。

「すまない。冷静さを欠いた」
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