13 / 574
オークの村の救世主になろう
オークの村の救世主になろう 5
しおりを挟む
「ヒレーこの方はムツヤ殿だ」
「ムツヤ様ですか…… 改めまして私はヒレーと申します」
「あ、どうもどうも」
ヒレーは可愛らしく両手でスカートを持ち上げてペコリとお辞儀をする。
それに対してムツヤは頭を掻きながら愛想笑いをしていた。
「ヒレーも元気になりましたし、遅い時間ですが夕飯をごちそうしたいのですが、いかがでしょうかムツヤ殿」
「良いんですか!? ありがとうございます、もうすっかりお腹が減っていたのでありがたいですよ」
促されてムツヤは椅子に座る。
人間にとってはだいぶ大きめの木製椅子だ。モモは別室で鎧を脱ぎ、エプロンに着替えて台所に立つ。
「お姉ちゃん、私も手伝うから」
「ヒレーは病み上がりなんだ、大人しくしていて大丈夫だ」
「もー、ムツヤ様のお薬で本当にもう何ともないってば!!」
「わかったわかった、それじゃ皮むきをしていてくれ」
ヒレーに押され、観念したモモだったがその顔は嬉しそうだった。
ムツヤは椅子に座りボーッと台所を眺める。
人に料理を作って貰うなんていつぶりだろう。
じいちゃんが腰悪くなってからは殆ど自分が作ってたし、そういや勢いで外の世界へ来ちゃったけども、じいちゃんはちゃんと生活できてるのかなと心配にもなる。
まぁ、飲むと元気になるっていうか、あのじいちゃんの腰が真っ直ぐになって走り回れる緑の薬をたくさん置いて来たし大丈夫だろうと自分に言い聞かせた。
「ムツヤ殿? ムツヤ殿、起きて下さい」
ムツヤはモモに体を揺さぶられて目が冷めた。
いつの間にか寝ていてしまったらしい。
あまりに気持ちよさそうに寝ていたからそのままにしておいてくれたのだという。
頭が段々と冴えてくるとムツヤの目の前にはいい香りのする料理が運ばれてきた。
似たようなものは作ったことがあるがそれよりもずっと美味しそうだ。
「お客人が来るとは思わず、普段どおりの食事で申し訳ないのですが……」
モモは少しバツの悪そうに下を向いて言った。
妹を村を救ってくれた客相手にこの様なもてなしが精一杯の自分が恥ずかしい。
「いえいえ、美味しそうでずよ。モモさんありがとう、いだだぎます」
皮肉を言われたのではないかと不安になったが、ムツヤ殿はそのような事は言わないだろうとそのまま感謝の意味としてモモは受け取る事にし、笑顔を作る。
「どうぞ、お召し上がり下され」
ムツヤの目の前に出されたものは多分シチューと、焼き魚にソースが掛かった物。
それと、見知ったものとは形は違うが、細長い物はパンだろう。どれも一応は食べたことがある。
祖父には申し訳なかったが全てが今まで食べた物の数倍美味しそうだ。
シチューを一口食べる。何の乳だろうか。
元の世界では死体の残る怪物を捌いて取り出した薄い味の物しか飲んだことがない。
初めて味わう深いコクとまろやかさ、それと、とても良く合う野菜たちの優しい甘みと食べごたえのある柔らかい肉にムツヤは感動した。
「こんなに美味しいものは生まれて初めて食べました」
「そんな、またまたご冗談を……」
そう言ってモモは笑うが、ムツヤの顔を見ると、あながち冗談でもお世辞でも無いような気もした。
モモは気付いたのだがムツヤは感情の全てがそのまま顔に出る。
「こっちの世界に来て本当に良かっだです、ごんなに美味じいものがあるなら毎日食べたいぐらいですよ」
その言葉を聞いてモモはうっと小さく言うと顔を赤くして……。
「ムツヤ様ですか…… 改めまして私はヒレーと申します」
「あ、どうもどうも」
ヒレーは可愛らしく両手でスカートを持ち上げてペコリとお辞儀をする。
それに対してムツヤは頭を掻きながら愛想笑いをしていた。
「ヒレーも元気になりましたし、遅い時間ですが夕飯をごちそうしたいのですが、いかがでしょうかムツヤ殿」
「良いんですか!? ありがとうございます、もうすっかりお腹が減っていたのでありがたいですよ」
促されてムツヤは椅子に座る。
人間にとってはだいぶ大きめの木製椅子だ。モモは別室で鎧を脱ぎ、エプロンに着替えて台所に立つ。
「お姉ちゃん、私も手伝うから」
「ヒレーは病み上がりなんだ、大人しくしていて大丈夫だ」
「もー、ムツヤ様のお薬で本当にもう何ともないってば!!」
「わかったわかった、それじゃ皮むきをしていてくれ」
ヒレーに押され、観念したモモだったがその顔は嬉しそうだった。
ムツヤは椅子に座りボーッと台所を眺める。
人に料理を作って貰うなんていつぶりだろう。
じいちゃんが腰悪くなってからは殆ど自分が作ってたし、そういや勢いで外の世界へ来ちゃったけども、じいちゃんはちゃんと生活できてるのかなと心配にもなる。
まぁ、飲むと元気になるっていうか、あのじいちゃんの腰が真っ直ぐになって走り回れる緑の薬をたくさん置いて来たし大丈夫だろうと自分に言い聞かせた。
「ムツヤ殿? ムツヤ殿、起きて下さい」
ムツヤはモモに体を揺さぶられて目が冷めた。
いつの間にか寝ていてしまったらしい。
あまりに気持ちよさそうに寝ていたからそのままにしておいてくれたのだという。
頭が段々と冴えてくるとムツヤの目の前にはいい香りのする料理が運ばれてきた。
似たようなものは作ったことがあるがそれよりもずっと美味しそうだ。
「お客人が来るとは思わず、普段どおりの食事で申し訳ないのですが……」
モモは少しバツの悪そうに下を向いて言った。
妹を村を救ってくれた客相手にこの様なもてなしが精一杯の自分が恥ずかしい。
「いえいえ、美味しそうでずよ。モモさんありがとう、いだだぎます」
皮肉を言われたのではないかと不安になったが、ムツヤ殿はそのような事は言わないだろうとそのまま感謝の意味としてモモは受け取る事にし、笑顔を作る。
「どうぞ、お召し上がり下され」
ムツヤの目の前に出されたものは多分シチューと、焼き魚にソースが掛かった物。
それと、見知ったものとは形は違うが、細長い物はパンだろう。どれも一応は食べたことがある。
祖父には申し訳なかったが全てが今まで食べた物の数倍美味しそうだ。
シチューを一口食べる。何の乳だろうか。
元の世界では死体の残る怪物を捌いて取り出した薄い味の物しか飲んだことがない。
初めて味わう深いコクとまろやかさ、それと、とても良く合う野菜たちの優しい甘みと食べごたえのある柔らかい肉にムツヤは感動した。
「こんなに美味しいものは生まれて初めて食べました」
「そんな、またまたご冗談を……」
そう言ってモモは笑うが、ムツヤの顔を見ると、あながち冗談でもお世辞でも無いような気もした。
モモは気付いたのだがムツヤは感情の全てがそのまま顔に出る。
「こっちの世界に来て本当に良かっだです、ごんなに美味じいものがあるなら毎日食べたいぐらいですよ」
その言葉を聞いてモモはうっと小さく言うと顔を赤くして……。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。
タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。
しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。
ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。
激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。
雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった〜
霞杏檎
ファンタジー
祝【コミカライズ決定】!!
「使えん者はいらん……よって、正式にお前には戦力外通告を申し立てる。即刻、このギルドから立ち去って貰おう!! 」
回復術士なのにギルド内で雑用係に成り下がっていたフールは自身が専属で働いていたギルドから、何も活躍がないと言う理由で戦力外通告を受けて、追放されてしまう。
フールは回復術士でありながら自己主張の低さ、そして『単体回復魔法しか使えない』と言う能力上の理由からギルドメンバーからは舐められ、S級ギルドパーティのリーダーであるダレンからも馬鹿にされる存在だった。
しかし、奴らは知らない、フールが【魔力無限】の能力を持っていることを……
途方に暮れている道中で見つけたダンジョン。そこで傷ついた”ケモ耳銀髪美少女”セシリアを助けたことによって彼女はフールの能力を知ることになる。
フールに助けてもらったセシリアはフールの事を気に入り、パーティの前衛として共に冒険することを決めるのであった。
フールとセシリアは共にダンジョン攻略をしながら自由に生きていくことを始めた一方で、フールのダンジョン攻略の噂を聞いたギルドをはじめ、ダレンはフールを引き戻そうとするが、フールの意思が変わることはなかった……
これは雑用係に成り下がった【最強】回復術士フールと"ケモ耳美少女"達が『伝説』のパーティだと語られるまでを描いた冒険の物語である!
(160話で完結予定)
元タイトル
「雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜でも、ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった。噂を聞いたギルドが戻ってこいと言ってるがお断りします〜」
スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~
深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】
異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!
~唯一王の成り上がり~ 外れスキル「精霊王」の俺、パーティーを首になった瞬間スキルが開花、Sランク冒険者へと成り上がり、英雄となる
静内燕
ファンタジー
【カクヨムコン最終選考進出】
【複数サイトでランキング入り】
追放された主人公フライがその能力を覚醒させ、成り上がりっていく物語
主人公フライ。
仲間たちがスキルを開花させ、パーティーがSランクまで昇華していく中、彼が与えられたスキルは「精霊王」という伝説上の生き物にしか対象にできない使用用途が限られた外れスキルだった。
フライはダンジョンの案内役や、料理、周囲の加護、荷物持ちなど、あらゆる雑用を喜んでこなしていた。
外れスキルの自分でも、仲間達の役に立てるからと。
しかしその奮闘ぶりは、恵まれたスキルを持つ仲間たちからは認められず、毎日のように不当な扱いを受ける日々。
そしてとうとうダンジョンの中でパーティーからの追放を宣告されてしまう。
「お前みたいなゴミの変わりはいくらでもいる」
最後のクエストのダンジョンの主は、今までと比較にならないほど強く、歯が立たない敵だった。
仲間たちは我先に逃亡、残ったのはフライ一人だけ。
そこでダンジョンの主は告げる、あなたのスキルを待っていた。と──。
そして不遇だったスキルがようやく開花し、最強の冒険者へとのし上がっていく。
一方、裏方で支えていたフライがいなくなったパーティーたちが没落していく物語。
イラスト 卯月凪沙様より
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
チート魅了スキルで始まる、美少女たちとの異世界ハーレム生活
仙道
ファンタジー
ごく普通の会社員だった佐々木健太は、異世界へ転移してして、あらゆる女性を無条件に魅了するチート能力を手にする。
彼はこの能力で、女騎士セシリア、ギルド受付嬢リリア、幼女ルナ、踊り子エリスといった魅力的な女性たちと出会い、絆を深めていく。
攻撃魔法を使えないヒーラーの俺が、回復魔法で最強でした。 -俺は何度でも救うとそう決めた-【[完]】
水無月いい人(minazuki)
ファンタジー
【HOTランキング一位獲得作品】
【一次選考通過作品】
---
とある剣と魔法の世界で、
ある男女の間に赤ん坊が生まれた。
名をアスフィ・シーネット。
才能が無ければ魔法が使えない、そんな世界で彼は運良く魔法の才能を持って産まれた。
だが、使用できるのは攻撃魔法ではなく回復魔法のみだった。
攻撃魔法を一切使えない彼は、冒険者達からも距離を置かれていた。
彼は誓う、俺は回復魔法で最強になると。
---------
もし気に入っていただけたら、ブクマや評価、感想をいただけると大変励みになります!
#ヒラ俺
この度ついに完結しました。
1年以上書き続けた作品です。
途中迷走してました……。
今までありがとうございました!
---
追記:2025/09/20
再編、あるいは続編を書くか迷ってます。
もし気になる方は、
コメント頂けるとするかもしれないです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる