裏庭が裏ダンジョンでした@完結

まっど↑きみはる

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ここをキャンプ地としよう

ここをキャンプ地としよう 1

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「いただきまーす」

 いつも通りユモトの美味しい手料理を堪能しながら会話をする。

「今日は流石に夜の見張りを付けるぞ、魔物の心配は無いだろうが、キエーウの夜襲が心配だ」

「それじゃあ見張りはアシノがやってよね、昼間ずっと寝てたんだから!!」

 ルーに何か言い返そうとしたが、バッチリ眠くないし、ずっと眠っていたのは事実なので何も言い返せなかった。

「ずっとという訳にはいかないが、しばらくは私がやる。その後は交代で見張るぞ、寝落ちや不測の事態に備えて私の後は2人1組だ」

 アシノが言い終えると、意外にも最初に名乗りを上げたのはヨーリィだった。

「私は魔力の維持があるからお兄ちゃんと一緒のほうが合理的」

「それもそうだな、よし、私の次はムツヤとヨーリィだ」

 それを聞いたモモが少し残念そうな顔をしたのをリースは見逃さなかった。

「私はユモトちゃんに色々教えながら起きてるわ」

「え、あっはい!!」

「何よー、私じゃ不満なの? 特別にイケないこと教えてあげようと思ったのに」

「い、イケないことって何ですか!?」

「そんじゃルーとユモト、モモとリースで決まりでいいな」

 アシノがルーをスルーしてその場を取りまとめた。構っていたらこのまま夜が明けてしまう。

「はい、私は構いません。リースはどうだ?」

「わ、わたすも別に大丈夫だけど……」

 食事の後はそれぞれ寝る準備をするだけだ、アシノは1人家の外で椅子に座っている。

 アシノは夜空を見上げて風を感じていた。全てを失ってから感情が鈍くなったと思っていたが、今は心地よさを感じている。

 思えばこの数ヶ月間とんでもない目に会い続けていた。

 あのクソ女神のせいでビンのフタをスッポーンと飛ばす能力しか使えなくなり、酒場で荒れた生活をしていた。

 そうかと思えば突然、裏世界に住む人間が現れて、魔人とではなくキエーウと戦うことになり。

 自分はムツヤの事をどう思っているのだろうか、アホだとは思うが。

 不謹慎かもしれないが、死んだように生きていた時とは違い、毎日刺激のある日々を送れている。

 冒険者になりたての頃の希望と期待に満ち溢れた感情には程遠いが。

 ムツヤに巻き込まれる形でこんな所まで来てしまったが、それが良かったのか悪かったのかはよく分からない。

 私は何がしたいのだろう。今度はそんな事を自分に問いかけてみる。

 一番したいことと言ったら能力を取り戻すことだ。

 だが、おそらくそれは出来ない。だとしたら私には何ができて何をしたいのか。

 そこまで考えてアシノは自嘲する。こんな事を考えるなんて飲みすぎたかと。

 丸く光る月に思わず手をかざしてみた。
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