裏庭が裏ダンジョンでした@完結

まっど↑きみはる

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水面下

水面下 2

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 ムツヤ達がレイード地方へ向かう数日間の間、魔物を召喚し、操る杖を手にしたナツヤ達は激動の時間を過ごすこととなった。

 別の鉱脈で強制的に働かされていた鉱夫達も開放し、何人かはナツヤ達の組織『黎明の呼び手』に加わる。

「さて、これからどうしよう」

 フユミトが言うと、ナツヤは答えた。

「決まってる。弱い立場の人々を解放して、最終的に国を、優しい国に変える」

「いいね、ナツヤ。でも、その為にはもっと仲間を集めなくちゃいけない」

 確かにそうだとナツヤは思う。

「ここから近い貧しい街へ行ってみようか。賛同者が現れるかもしれないよ」

「わかった」

 魔物に引かせた荷車に乗り、ナツヤ達はその街へとやって来た。

 大勢の魔物の襲来により街はパニックになったが、ナツヤは大声で話す。

「皆さん、心配いりません!! この魔物は俺達の仲間です!!」

 そして荷車から取り出した金や金目の物を地面に広げた。

「こちらを差し上げますので、どうかお話を聞いて下さい」

 置かれた財宝に何人かの住民は目が眩んだ。そして、人が集まりだす。

「僕達は、貴族の城を襲い、この財宝を奪いました」

 フユミトもナツヤと同じく大声で話した。

「こちらのナツヤは、選ばれた者です。この魔物達を操ることが出来ます」

 いつの間にか人々が数十人も集まり、話を聞いている。フユミトはそれらを眺めて言う。

「皆さん、生活に不満はありませんか? 金持ちが憎くはありませんか?」

「我々は『黎明の呼び手』というレジスタンスです。生活を、人生を変えたくありませんか?」

 次にナツヤがたたみ掛ける。

「俺達と一緒に国を変えたい人が居たら着いてきて下さい。俺達は明日の朝までここに留まります」

 そこまで言って、ナツヤは続けた。

「仲間に加わるのが恐い方は、俺達の組織『黎明の呼び手』の事を広めるだけでも良いです! 一緒に国を変えましょう!!」

 演説に拍手は起こらなかった。だが何人かの心には突き刺さったらしい。

「お疲れ様、ナツヤ」

 フユミトは笑顔でナツヤをねぎらう。そして夜が明けて朝になると。

「あの、アンタ達ちょっと良いか?」

 若者が数十人集まってきた。

「俺達は、俺達はこんな生活もう、うんざりだ。アンタ達と一緒に、このチャンスに賭けてみたい」

「俺も、もう限界だ!!」

 俺も俺もと声が上がる。ナツヤは仲間が増えた事に胸が満たされた。

「はい!! 一緒に革命を起こしましょう!!」
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