裏庭が裏ダンジョンでした@完結

まっど↑きみはる

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水面下

水面下 9

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 朝日が昇り、しばらくするとイタヤ達が街へやってきた。アシノが対面して挨拶をする。

「こんにちは、イタヤさん」

「どうも、アシノさん。皆、元気そうだな!!」

 ハッハッハと笑うイタヤ。これから魔人との戦いになるというのに呑気な男だなとモモは思う。

 イタヤの仲間である魔剣士のウリハ、魔法使いのサワもそれぞれ軽く挨拶を交わして街を後にする。

 馬車を並走させて、例の貴族の城へと向かうアシノ達。

「それで、アシノさん作戦は?」

 イタヤのみアシノ達の馬車に乗って作戦を練る。

「そうですね、軍の目もあるので、ムツヤに『青い鎧の冒険者』になって貰い。我々はその支援をしたいと思っています」

「確かに、ムツヤくんだったら安心だな」

 そう言われ、ムツヤは少し照れる。アシノは構わずに話を続けた。

「相手は魔物を操るとの話でしたが、どの程度の魔物を操れるのか、どんな魔物まで操れるのか、まだ力が未知数です」

「何でも翼竜を操っていたって噂もありますが……」

 翼竜と聞かされ、少し不安になるが、それを一撃で真っ二つにしたムツヤがこちらには居る。アシノはそれを踏まえて話した。

「魔物相手の攻城戦となると、昼に攻めた方が良さそうですね」

 魔物は夜目が効く。視界が不自由な夜に戦うのは危険だ。

「そうですね、俺もそう考えていました」

 当たり前だが、イタヤも同じことを考えていた。貴族の城へは2日で着く。

 やがて夜になり、野営を始める。

「今のうちに飲めるだけ飲んどきましょー!!」

 ルーがおちゃらけて言う。皆の緊張をほぐすためだとアシノは思っていたが、だんだん酔いが酷くなってきた。

「イタヤさーん飲んでるー?」

「あぁ、飲んでるぜー!! お前達サイコーだぜー!!」

 幼馴染のウリハははぁっとため息を付いて、妹のサワはクスクスと笑っていた。

「やーん、ムツヤっち大好きー!!」

 一人浮かない顔をしていたムツヤを見つけ、ルーは抱き着いていた。

「やめろ!!」

 アシノによって、理不尽でなく吹き飛んだルーは地面に倒れる。

「ごりん終、だな」

 むーっと膨れてみていたモモがルーに駆け寄った。

「る、ルー殿大丈夫ですか?」

「やーん。モモちゃんやさぴー!!」

 今度はモモに抱きつくルー。

「コイツに酒を与えるのはもうやめよう……」

 アシノはワインをゆっくり飲みながら言った。



 翌日ルーは見事に二日酔いだった。

「む、ムヅヤっぢ……、二日酔いの薬出して。だめ、出ちゃう、出ちゃう……」

 吐きそうにしているルーに薬を飲ますと奇声を上げてシャッキリとするルー。

「ふぅー……。よーし出発よー!!!」

「お前、禁酒確定な」

 アシノはそう言ってデコピンをお見舞いし、馬車は走っていった。
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