2 / 13
第2話 秘密の共有
しおりを挟む
(やばい……隣国の王子に女だとバレた!?)
「リオ王子ーー?! リオ王子ーーー?!」
さらに部屋の外ではリオを探すメイドの声が響く。
部屋には王子、外にはメイド。
すると、フィルがすたすたとリオのほうへと近寄ってくる。
(もう終わりだ……)
そうリオは心の中で思ったが、フィルはリオの腕を引っ張るとベッドの脇にあった机に彼女を隠す。
そして、自身はドアを開けるとメイドに話しかけた。
「リオ王子なら先程あちらのほうに行くのを見た」
「フィル様! かしこまりました、ありがとうございます!!」
メイドはフィルに深く一礼すると、そのまま足早にフィルの指したほうへと向かって行った。
部屋に沈黙が訪れたことにより、リオはようやく頭が回ってフィルが自分を助けてくれたことを理解した。
慌てて持っていた男装用の服に袖を通すと、机の裏からフィルの様子を伺うようにそっと出る。
「フィル……王子ですよね?」
「ああ」
「助けていただき、ありがとうございました」
「別に構わない」
何の興味もないというように椅子にかけるフィルに、リオは近づいていく。
性別のことを聞こうか聞くまいかともぞもぞしていると、言いたいことが分かったのかフィルはリオより先に言葉を発した。
「見たことは誰にも言わない、もちろん父上にもだ」
「──っ!?」
その言葉を言うと、「もういけ」と言って退室を促す。
リオは精いっぱいのお辞儀での礼をしたあと、部屋をあとにした。
リオが先程メイドと分かれた廊下の場所にいくと、ちょうど必死にリオを探しているメイドの姿が映った。
「大変申し訳ない!」
「リオ王子!! よかった!!」
「すみません、お手洗いを探していたら迷子になってしまいまして」
「そうでしたか、何事もなくよかったです。それでは食事の間へ向かいましょうか」
「はいっ!」
こうして何事もなかったかのように食事の間へ移動して、リオは手厚いもてなしを受けて宮殿へと帰った。
◇◆◇
宮殿に戻ると、サンクチュアリの広間にノエル王がいた。
「おかえりなさい! ずいぶん遅かったのね!」
「申し訳ございません、王から手厚い食事のもてなしをしていただきまして」
「まあ! 毒とか盛られなかった?!!!」
「さすがに大丈夫です」
「はあ……キャロルちゃんに何かあったらあのクソ変態王をぶん殴ってやる!」
「よしてください、母上」
ありもしない毒盛り未遂事件で騒ぎ立てる母をなぐさめ、ようやくベッドに入ったリオ。
頭の中では今日のフィルにかばってもらったあの瞬間が思い出される。
(背が高く、綺麗な銀髪の青年。確か年は20歳と聞いていたけど、かなり大人びた感じだった)
リオはごろんと横向きになり、シーツを引っ張って顔をうずめる。
(本当にばらしてないのかしら?)
そう不安に駆られながら、うとうととリオは眠りについた──
翌朝、なんとリオは再び隣国の宮殿に足を運んでいた。
「まあ、フィル様にお会いしたいと」
「はい、同じ年頃だと伺っておりますので、ぜひお話をと」
「それはフィル様も喜びますわ! フィル様には許可をいただいておりますので、自室へご案内いたします」
メイドに案内され、昨日の順路をなぞるように廊下を進みながらフィルの自室へと到着した。
「フィル様、リオ王子がお見えになりました」
「入れ」
「失礼いたします」とメイドが言いながら、ドアを開けるとそこには昨日会ったフィルがいた。
メイドが一礼して去ると、リオはそっとドアを閉める。
「何しに来た」
(さっそく冷たい歓迎だな……)
窓際の椅子で本を読みながらリオに声をかける。
「まあ、おおよそ俺が誰かに秘密をばらしていないか気になって見に来たというところだろう」
(ば、ばれてる)
「ばらさないといったはずだ」
そういって本をぱたりと閉じるとリオに近づき、顔を覗き込む。
「安心しろ、どっからどう見ても『女です』という顔をしている」
「そ、そんなことはありません!」
「これで気づかないまわりがバカだな」
「私は立派な男です!」
そういうリオの顔のすぐ横に手のひらをバンと打ち付けると、身体を密着させる。
「秘密を守る代わりに条件がある」
「条件?」
「毎日俺に会いに来い」
「……はい?」
にやりと笑うフィルの真意がつかめず、呆然と立ち尽くすリオだった。
「リオ王子ーー?! リオ王子ーーー?!」
さらに部屋の外ではリオを探すメイドの声が響く。
部屋には王子、外にはメイド。
すると、フィルがすたすたとリオのほうへと近寄ってくる。
(もう終わりだ……)
そうリオは心の中で思ったが、フィルはリオの腕を引っ張るとベッドの脇にあった机に彼女を隠す。
そして、自身はドアを開けるとメイドに話しかけた。
「リオ王子なら先程あちらのほうに行くのを見た」
「フィル様! かしこまりました、ありがとうございます!!」
メイドはフィルに深く一礼すると、そのまま足早にフィルの指したほうへと向かって行った。
部屋に沈黙が訪れたことにより、リオはようやく頭が回ってフィルが自分を助けてくれたことを理解した。
慌てて持っていた男装用の服に袖を通すと、机の裏からフィルの様子を伺うようにそっと出る。
「フィル……王子ですよね?」
「ああ」
「助けていただき、ありがとうございました」
「別に構わない」
何の興味もないというように椅子にかけるフィルに、リオは近づいていく。
性別のことを聞こうか聞くまいかともぞもぞしていると、言いたいことが分かったのかフィルはリオより先に言葉を発した。
「見たことは誰にも言わない、もちろん父上にもだ」
「──っ!?」
その言葉を言うと、「もういけ」と言って退室を促す。
リオは精いっぱいのお辞儀での礼をしたあと、部屋をあとにした。
リオが先程メイドと分かれた廊下の場所にいくと、ちょうど必死にリオを探しているメイドの姿が映った。
「大変申し訳ない!」
「リオ王子!! よかった!!」
「すみません、お手洗いを探していたら迷子になってしまいまして」
「そうでしたか、何事もなくよかったです。それでは食事の間へ向かいましょうか」
「はいっ!」
こうして何事もなかったかのように食事の間へ移動して、リオは手厚いもてなしを受けて宮殿へと帰った。
◇◆◇
宮殿に戻ると、サンクチュアリの広間にノエル王がいた。
「おかえりなさい! ずいぶん遅かったのね!」
「申し訳ございません、王から手厚い食事のもてなしをしていただきまして」
「まあ! 毒とか盛られなかった?!!!」
「さすがに大丈夫です」
「はあ……キャロルちゃんに何かあったらあのクソ変態王をぶん殴ってやる!」
「よしてください、母上」
ありもしない毒盛り未遂事件で騒ぎ立てる母をなぐさめ、ようやくベッドに入ったリオ。
頭の中では今日のフィルにかばってもらったあの瞬間が思い出される。
(背が高く、綺麗な銀髪の青年。確か年は20歳と聞いていたけど、かなり大人びた感じだった)
リオはごろんと横向きになり、シーツを引っ張って顔をうずめる。
(本当にばらしてないのかしら?)
そう不安に駆られながら、うとうととリオは眠りについた──
翌朝、なんとリオは再び隣国の宮殿に足を運んでいた。
「まあ、フィル様にお会いしたいと」
「はい、同じ年頃だと伺っておりますので、ぜひお話をと」
「それはフィル様も喜びますわ! フィル様には許可をいただいておりますので、自室へご案内いたします」
メイドに案内され、昨日の順路をなぞるように廊下を進みながらフィルの自室へと到着した。
「フィル様、リオ王子がお見えになりました」
「入れ」
「失礼いたします」とメイドが言いながら、ドアを開けるとそこには昨日会ったフィルがいた。
メイドが一礼して去ると、リオはそっとドアを閉める。
「何しに来た」
(さっそく冷たい歓迎だな……)
窓際の椅子で本を読みながらリオに声をかける。
「まあ、おおよそ俺が誰かに秘密をばらしていないか気になって見に来たというところだろう」
(ば、ばれてる)
「ばらさないといったはずだ」
そういって本をぱたりと閉じるとリオに近づき、顔を覗き込む。
「安心しろ、どっからどう見ても『女です』という顔をしている」
「そ、そんなことはありません!」
「これで気づかないまわりがバカだな」
「私は立派な男です!」
そういうリオの顔のすぐ横に手のひらをバンと打ち付けると、身体を密着させる。
「秘密を守る代わりに条件がある」
「条件?」
「毎日俺に会いに来い」
「……はい?」
にやりと笑うフィルの真意がつかめず、呆然と立ち尽くすリオだった。
1
あなたにおすすめの小説
王女様は温かいごはんが食べたい ~冷えた王宮料理を変えたら、オープンキッチンと政略婚約がついてきました~
しおしお
恋愛
異世界の王女リリアーヌは、前世の記憶を持つ転生者。
豪華絢爛な王宮で暮らし始めた彼女だったが、ひとつだけどうしても耐えられないことがあった。
――食事が、冷めているのだ。
どれほど立派な料理でも、ぬるいスープや冷めた肉ではホッとできない。
「温かいごはんが食べたい」
そのささやかな願いを口にしたことから、王宮ではなぜか大騒動が巻き起こる。
地下厨房からの高速搬送。
専用レーンを爆走するカートメイド。
扉の開閉に命をかけるオープナー。
ついには食堂に火を持ち込むオープンキッチンまで誕生して――!?
温かさは、ホッとさせてくれる。
それは料理だけではなく、人との距離まで少しずつ変えていくものだった。
冷えた王宮に湯気と笑顔を取り戻す、
食と温かさをめぐる宮廷日常コメディ!
-
大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!
古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。
その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。
『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』
昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。
領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。
一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――
【大賞・完結】地味スキル《お片付け》は最強です!社畜OL、異世界でうっかり国を改革しちゃったら、騎士団長と皇帝陛下に溺愛されてるんですが!?
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
【第18回ファンタジー小説大賞で大賞をいただきました】→【規約変更で書籍化&コミカライズ「確約」は取り消しになりました。】
佐藤美佳子(サトウ・ミカコ)、享年28歳。死因は、過労。連日の徹夜と休日出勤の果てに、ブラック企業のオフィスで静かに息を引き取った彼女が次に目覚めたのは、剣と魔法のファンタジー世界だった。
新たな生を受けたのは、田舎のしがない貧乏貴族の娘、ミカ・アシュフィールド、16歳。神様がくれた転生特典は、なんと《完璧なる整理整頓》という、とんでもなく地味なスキルだった。
「せめて回復魔法とかが良かった……」
戦闘にも生産にも役立たないスキルに落胆し、今度こそは静かに、穏やかに生きたいと願うミカ。しかし、そんな彼女のささやかな望みは、王家からの突然の徴収命令によって打ち砕かれる。
「特殊技能持ちは、王宮へ出仕せよ」
家族を守るため、どうせ役立たずと追い返されるだろうと高をくくって王都へ向かったミカに与えられた任務は、あまりにも無謀なものだった。
「この『開かずの倉庫』を、整理せよ」
そこは、数百年分の備品や資材が山と積まれ、あまりの混沌ぶりに探検隊が遭難したとまで噂される、王家最大の禁足地。
絶望的な光景を前に、ミカが覚悟を決めてスキルを発動した瞬間――世界は、彼女の「お片付け」が持つ真の力に震撼することになる。
これは、地味スキルでうっかり国のすべてを最適化してしまった元社畜令嬢が、カタブツな騎士団長や有能すぎる皇帝陛下にその価値を見出され、なぜか過保護に甘やかされてしまう、お仕事改革ファンタジー。
ブスすぎて嫁の貰い手がないから閨勤侍女になれと言われたので縁を切ります、完全に!完全縁切りの先にあったのは孤独ではなくて…
ハートリオ
恋愛
ルフスは結婚が決まった従姉の閨勤侍女になるよう父親に命令されたのをきっかけに父に無視され冷遇されて来た日々を終わらせようとブラコン父と完全に縁を切る決意する。
一方、従姉の結婚相手はアルゲンテウス辺境伯とのことだが、実は手違いがあって辺境伯が結婚したいのはルフス。
そんなこんなの異世界ファンタジーラブです。
読んでいただけると嬉しいです。
2/26 番外編を投稿しました。
読んでいただけると嬉しいです。
思っていたよりずっとたくさん読んでいただいていてとても嬉しいです。
とてもとてもありがとうございます!!
身代わりで呪いの公爵に嫁ぎましたが、聖女の力で浄化したら離縁どころか国一番の溺愛妻になりました〜実家が泣きついてももう遅い〜
しょくぱん
恋愛
「お前のような無能は、死神の生贄にでもなっていろ」
魔力なしの無能と蔑まれ、家族に虐げられてきた伯爵令嬢レティシア。 彼女に命じられたのは、近づく者すべてを病ませるという『呪いの公爵』アレクシスへの身代わり結婚だった。
鉄格子の馬車で運ばれ、たどり着いたのは瘴気に満ちた死の城。 恐ろしい怪物のような男に殺される――。 そう覚悟していたレティシアだったが、目の前の光景に絶望よりも先に別の感情が湧き上がる。
(な、何これ……汚すぎるわ! 雑巾とブラシはどこ!?)
実は、彼女が「無能」と言われていたのは、その力が『洗浄』と『浄化』に特化した特殊な聖女の魔力だったから。
レティシアが掃除をすれば、呪いの瘴気は消え去り、枯れた大地には花が咲き、不気味だった公爵城はまたたく間にピカピカの聖域に塗り替えられていく。 さらには、呪いで苦しんでいたアレクシスの素顔は、見惚れるほどの美青年で――。
「レティシア、君は一体何者なんだ……? 体が、こんなに軽いのは初めてだ」
冷酷だったはずの公爵様から、まさかの執着と溺愛。 さらには、呪いが解けたことで領地は国一番の豊かさを取り戻していく。
一方で、レティシアを捨てた実家は、彼女の『浄化』を失ったことで災厄に見舞われ、今さら「戻ってきてくれ」と泣きついてくるが……。
「私は今、お城の掃除と旦那様のお世話で忙しいんです。お引き取りくださいませ」
これは、掃除を愛する薄幸令嬢が、その愛と魔力で死神公爵を救い、最高に幸せな居場所を手に入れるまでのお話。
行き遅れのお節介令嬢、氷の公爵様と結婚したら三人娘の母になりました
鳥柄ささみ
恋愛
お節介焼きで困っている人を放っておけないシアは、数多のご令嬢達から人気の令嬢だ。毎日ファンレターが届き、社交界に出れば令嬢に取り囲まれるほどである。
けれど、それに反比例するように男性からの人気はなく、二十七だというのに嫁の貰い手もないため、毎日母から小言をもらっていた。
そんなある日のこと、突然公爵家から縁談の話が。
シアは公爵家がなぜ自分に縁談など持ち掛けるのかと訝しく思いつつ話を受けると、なんと公爵の後妻として三人の娘の母代わりになれと言われる。
困惑するも、自分へ縁談を持ちかけた理由を聞いて、お節介なシアは嫁ぐこと決めたのだった。
夫になるレオナルドはイケメンなのに無表情で高圧的。三人の娘も二女のアンナを除いて長女のセレナも三女のフィオナもとても反抗的。
そんな中でもお節介パワーを発揮して、前向きに奮闘するシアの物語。
※他投稿サイトにも掲載中
【完結】魔力ゼロと捨てられた私を、王子がなぜか離してくれません ――無自覚聖女の王宮生活――
ムラサメ
恋愛
伯爵家で使用人同然に扱われてきた少女、エリナ。
魔力も才能もないとされ、義妹アリシアの影で静かに生きていた。
ある日、王国第一王子カイルの視察で運命が動き出す。
誰も気づかなかった“違和感”に、彼だけが目を留めて――。
【完結】「異世界に召喚されたら聖女を名乗る女に冤罪をかけられ森に捨てられました。特殊スキルで育てたリンゴを食べて生き抜きます」
まほりろ
恋愛
※小説家になろう「異世界転生ジャンル」日間ランキング9位!2022/09/05
仕事からの帰り道、近所に住むセレブ女子大生と一緒に異世界に召喚された。
私たちを呼び出したのは中世ヨーロッパ風の世界に住むイケメン王子。
王子は美人女子大生に夢中になり彼女を本物の聖女と認定した。
冴えない見た目の私は、故郷で女子大生を脅迫していた冤罪をかけられ追放されてしまう。
本物の聖女は私だったのに……。この国が困ったことになっても助けてあげないんだから。
「Copyright(C)2022-九頭竜坂まほろん」
※無断転載を禁止します。
※朗読動画の無断配信も禁止します。
※小説家になろう先行投稿。カクヨム、エブリスタにも投稿予定。
※表紙素材はあぐりりんこ様よりお借りしております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる