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第17話 彼女の決意
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「なんで本当に付いてくるのよ」
エアルが一戦を交えて少し、リザが口を開く。
視線を向けたのは──隣の人物だ。
「フフフッ、いいじゃない別に」
その先にいるのはレリアだ。
どうやら本当にエアル達に付いてきている。
「大丈夫。レリアは悪い人じゃないと思う」
「あら、エアル君は物分かりがいいのね」
彼女の提案には、エアルが許可をしたようだ。
謎に説得力のある言葉に、リザも渋々了承。
だが、未だに懐疑の目は向けている。
「そうかねえ……」
性格上とも言えるが、これは使命感のようなものも起因する。
人を信じるのがエアルの役目ならば、疑うのは自分の役目だと感じているのだろう。
それでも、エアルなりの根拠も一応あるよう。
「そうだよ。だってレリアさん、さっきは一瞬火を出したでしょ?」
「あら、バレてたかしら」
それはレリアが魔法を宿した時の事。
ほんの一瞬の出来事をエアルは見逃さなかった。
「でも、火が自然に燃え移っちゃうことを考えて引っ込めた。そんなの優しい人にしかできないよ」
「フフフッ」
肯定も否定もせず、レリアはただ視線を逸らした。
「エアルがそう言うならいいけど……」
そうして、リザは最後に彼女へたずねる。
「あの攻略組がこんな場所に何の用かしら」
「別にいいじゃない。あなたも私のことは多少知っているのではなくて?」
「……まあ」
レリアは攻略組の中でも最も謎が多い。
出身は不明。
武器・装備も詳しくは知られていない。
そして、一番の謎が彼女の活動だ。
レリアは最前線に潜る攻略組にもかかわらず、固定パーティーを持たない。
それどころか、ソロで潜る姿すらよく見かけられるという。
一歩進めば危険が降ってくるような最前線において、そんな者はまずいない。
ゆえに不審であり、煙たがられる存在でもある。
そんな背景もあり、“不敵のレリア”の他、鬼の探索者、悪魔の単独探索者など、様々な呼ばれ方をされている。
どれもあまり良い意味ではないのはたしかだ。
「疑り深いのね、リザさんは」
「あなただからよ」
そんなこんなで、一行はキリが良い所までの探索を終える。
予定していた時間となり、一度ツヴァイへ戻るのだった。
★
「……ただいま」
とある暗い部屋の中、レリアが帰ってくる。
エアルと会った時とは違い、フードを深く被っているようだ。
ここへ来る際、顔を見られたくないのかもしれない。
「ま、返事はないわよね」
フっと乾いた笑いを浮かべたレリアは、ベッドで横たわる人に目を向ける。
「お母さん」
そこにいたのは年配の女性だ。
レリアが帰ってきても目を閉じたままだが、彼女はそのまま語りかける。
「今日はいいカモを見つけたわ。ワタシと同等の実力か、それ以上の奴よ。あんなの攻略組にもいないわ」
フフフっと不敵な笑みを浮かべるレリア。
だが、その表情はどこか寂し気にも見える。
「あいつに付いて行けば、“何でも願い”が叶う最下層も見えてくるかもしれない」
思い出しているのは、エアル達のことだろう。
エアルの実力を直計ったのは、強さを確かめるためだったようだ。
「ワタシは絶対にお母さんを元気にするから」
レリアは崩れていた毛布を女性にかける。
そうして次に覗かせたのは、ギロリとした目付き。
彼女なりの覚悟を持った目だ。
「たとえ鬼と呼ばれようと、悪魔と呼ばれようとも……ね」
エアルが一戦を交えて少し、リザが口を開く。
視線を向けたのは──隣の人物だ。
「フフフッ、いいじゃない別に」
その先にいるのはレリアだ。
どうやら本当にエアル達に付いてきている。
「大丈夫。レリアは悪い人じゃないと思う」
「あら、エアル君は物分かりがいいのね」
彼女の提案には、エアルが許可をしたようだ。
謎に説得力のある言葉に、リザも渋々了承。
だが、未だに懐疑の目は向けている。
「そうかねえ……」
性格上とも言えるが、これは使命感のようなものも起因する。
人を信じるのがエアルの役目ならば、疑うのは自分の役目だと感じているのだろう。
それでも、エアルなりの根拠も一応あるよう。
「そうだよ。だってレリアさん、さっきは一瞬火を出したでしょ?」
「あら、バレてたかしら」
それはレリアが魔法を宿した時の事。
ほんの一瞬の出来事をエアルは見逃さなかった。
「でも、火が自然に燃え移っちゃうことを考えて引っ込めた。そんなの優しい人にしかできないよ」
「フフフッ」
肯定も否定もせず、レリアはただ視線を逸らした。
「エアルがそう言うならいいけど……」
そうして、リザは最後に彼女へたずねる。
「あの攻略組がこんな場所に何の用かしら」
「別にいいじゃない。あなたも私のことは多少知っているのではなくて?」
「……まあ」
レリアは攻略組の中でも最も謎が多い。
出身は不明。
武器・装備も詳しくは知られていない。
そして、一番の謎が彼女の活動だ。
レリアは最前線に潜る攻略組にもかかわらず、固定パーティーを持たない。
それどころか、ソロで潜る姿すらよく見かけられるという。
一歩進めば危険が降ってくるような最前線において、そんな者はまずいない。
ゆえに不審であり、煙たがられる存在でもある。
そんな背景もあり、“不敵のレリア”の他、鬼の探索者、悪魔の単独探索者など、様々な呼ばれ方をされている。
どれもあまり良い意味ではないのはたしかだ。
「疑り深いのね、リザさんは」
「あなただからよ」
そんなこんなで、一行はキリが良い所までの探索を終える。
予定していた時間となり、一度ツヴァイへ戻るのだった。
★
「……ただいま」
とある暗い部屋の中、レリアが帰ってくる。
エアルと会った時とは違い、フードを深く被っているようだ。
ここへ来る際、顔を見られたくないのかもしれない。
「ま、返事はないわよね」
フっと乾いた笑いを浮かべたレリアは、ベッドで横たわる人に目を向ける。
「お母さん」
そこにいたのは年配の女性だ。
レリアが帰ってきても目を閉じたままだが、彼女はそのまま語りかける。
「今日はいいカモを見つけたわ。ワタシと同等の実力か、それ以上の奴よ。あんなの攻略組にもいないわ」
フフフっと不敵な笑みを浮かべるレリア。
だが、その表情はどこか寂し気にも見える。
「あいつに付いて行けば、“何でも願い”が叶う最下層も見えてくるかもしれない」
思い出しているのは、エアル達のことだろう。
エアルの実力を直計ったのは、強さを確かめるためだったようだ。
「ワタシは絶対にお母さんを元気にするから」
レリアは崩れていた毛布を女性にかける。
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「たとえ鬼と呼ばれようと、悪魔と呼ばれようとも……ね」
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