ド田舎からやってきた少年、初めての大都会で無双する~今まで遊び場にしていたダンジョンは、攻略不可能の規格外ダンジョンだったみたい〜

むらくも航

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第52話 三位一体

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 「あそこだ」

 エアル達を連れたガレアが、物陰の方から指を差す。
 その先にいるのは──多くの魔物。

「グオオオオオオッ!」
「シャアアアアアッ!」
「グルウウウウウッ!」

 本来は水に生息するイメージの生物が、雲の上に跋扈ばっこしている。
 『クラウディア雲上』全体で見ても、おそらく一魔物が番多い地帯だろう。
 それを前に、ガレアは今一度エアルに問う。

「エアル君、本当に行くのか」
「もちろん!」

 だが、エアルは一秒たりとも迷わない。
 それは周りの者も同じのようだ。

「あんなことがあったらね」
「ええ、そうね」
 
 彼らは『マグメル火山』で学んでいるのだ。
 人が寄り付かない、本来ならば避けるべき場所の先にこそ、“未知”が存在すると。
 その先を目指してこその探索者だと。

 すると、ガレアも強くうなずいた。

「わかった。ならば俺も全力でついて行く!」
「うん!」

 全員が覚悟を決めたところで、エアルは隣の二匹を覗き見る。
 近くでちょこんとお座りしている、ラフィとフレイだ。

「二人とも、準備はいい?」

 ここへ来る前、エアル達は作戦を立てていた。
 もし仮説通り、雲の下からここへ魔物が上ってきているなら、どれだけ倒してもキリがないからだ。

 そこで彼らが考えたのは──“一点突破”。
 魔物を倒しながら徐々に進むのではなく、超威力で一気に下まで突き抜けてしまおうというのだ。
 その作戦には二匹の力が必須ひっすである。

 そして、ラフィとフレイは元気に返事をした。

「わふっ!」
「ぼぉっ!」
「よし!」

 二匹とも気合いは十分。
 これで準備は万端だ。

「今よ!」

 態勢を整えた彼らは、指示役のリザの号令で行動を開始する。
 大半の魔物がこちらを向いていない一瞬のすきを狙ったようだ。

「「「ギャオオオオオオッ!」」」

 リザの声に反応を示し、魔物は一斉にエアル達の方を向く。
 対して、指示と共に前に出たのは、ガレアとレリアだ。

「どりゃあああああ!」
「はああああああッ!」

 ガレア自慢の拳と、レリアの“無数の斬撃”。
 それぞれが魔物へ先制攻撃を浴びせる。

「「「ギャオオオオオオッ!」」」

 攻撃が遠目だったせいか、それほどダメージは入っていない。

 しかし、これは予定通り・・・・だ。 
 二人の役目はあくまで牽制けんせい
 本番はである。

「ラフィ! フレイちゃん!」

 リザが声を上げた後方には、ラフィとフレイ。
 フレイが炎を翼を広げ、ラフィが飛び立つ寸前の構えを取っている。
 少し前にも見せた“頂上種”コンビネーションだ。
 
 ──だが、今回はそれだけではない。

「溜まったー!」

 エアルは天へとエクスカリバーを掲げていた。
 剣は存分に上へと伸び、さらに雷をまとっている。
 『ダンダン丘』での事を彷彿ほうふつとさせるような、ダンジョンをぶった斬ったあの形態だ。

「行くよ!」

 そしてそのまま、エアルはフレイに飛び乗った。
 三人はそれぞれ呼吸を合わせ、一気に力を発揮する。

「うおおおおおおおおお!」
「わふうううううううう!」
「ぼおおおおおおおぉっ!」

 横に伸びるは“炎の翼”、縦に伸びるは“エクスカリバー”。
 両方合わせて、圧倒的攻撃力の十字が浮かび上がる。
 そこでラフィが地面を蹴ることで、三人は神速に達する。
 
 まさに三位一体──“神速の十字”だ。

「いっけえええええええ!」

 ラフィの蹴り出しと共に、エアルはエクスカリバーを振り下ろした。
 リザ・レリア・ガレアはフレイが広げた翼で捕まえている。

「「「ギャオオオオオオッ!」」」

 “神速の十字”は見事に魔物群を貫き、雲に突入する。
 雲の性質上、衝撃が大きければ大きいほど、下に潜ることができる。

「くっ! うぅッ!」

 エアルは前方を斬り裂き続ける。
 体力依存で伸びるエクスカリバーで、先を切りひらくように。

 だが、視界がおおわれているのもあって苦しそうだ。
 ここで負けてしまえば、また雲の上に放り出されてしまう。

「エアル!」
「頼むわ!」
「エアル君!」

 リザ達もフレイに掴まりながら、必死に声をかける。
 それに応えるよう、エアルも刀身を伸ばしていく。

「うりゃあああああああ!」

 過去で一番苦しいはずなのに、なぜか楽しそうな表情を浮かべながら。
 その姿を目にしてリザは思い至る。

(エアル、あなたは……)

 今までも、どんなピンチになっても、エアルは笑っていた。
 その力はどこか来るのだろうと思っていたが、ようやく気づいたのだ。

(あなたこそが、一番の探索者だったのね)
 
 エアルの力の源は“好奇心”。
 狂気にも似たその心を持つことで、エアルは数々の困難を乗り越えて来た。
 そして、きっとこれからも。

 そんなエアルは、ようやく声を上げた。

「出口だ!」
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みんなの感想(7件)

TW  nabe
2024.10.31 TW nabe

面白くて、一気に読んでしまいました。続きはどうなるのでしょ?もし、続きを書いて頂ければ、読んでみたいです。よろしくお願いします。

解除
マイン
2024.06.24 マイン

3話 誤字

ライオンの上に立つ街→建つ街

解除
マイン
2024.06.24 マイン

1話

プロセス?

プロレスと言いたかったのかな?

解除

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