あなたに溺れるまで。

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出会いと日常

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いつもと変わらない服装、時間で同じ電車に乗る。

ただ一つ違うことは今日が高校三年生の初日であるということ。

学校に着くとエントランスで大勢の生徒が友達や恋人とクラスの話をしているのを聞き流しながら自分のクラスだけを確認し、早足で新たな教室に向かう。特に仲の良い友達もいない私にとって学校はただの暇つぶしに過ぎない。

教室の席が全て埋まった8時35分。

旧担任から始業式はリモートで行うと告げられ、黒板のまえに垂らされたスクリーンをじっと眺める。淡々と、校長や生活指導の先生の話を右から左へと聞き流してようやくお待ちかねである担任発表に移った。すでに入学式で発表されている1年から、2年、となってようやく私たちのクラスの担任が発表された。名前は榊 美結、今年別の学校から赴任してきた。高身長、ボーイッシュで最初に男性と間違えたくらい。担当教科は現代国語と選択科目の被服らしい。

 始業式も無事終わり新担任が早速教室に入ってきた。そしてクラスメイトの自己紹介が行われていく。ついに私の番が回ってきた。

「黒木 蓮、得意科目は被服です。1年間よろしくです。」とだけ言って座った。他の人の自己紹介もある程度しか聞いていなかった。普通につまらなかった。先生もありきたり事を言って、この日の授業が終わった。授業が終わってすぐはエントランスも駅も混んでいるので、すぐには帰らない。空くであろう時間まで席でスマホをいじる。

趣味で投稿しているコスプレの写真の反応、次にやって欲しいキャラのリクエストなどファンの方からのメッセージに目を通す。参考のメイク動画をみたりもする。気づいたら教室の時計も10時だったはずが12時をさし、私と先生だけの2人になっていた。

「あ、やっと携帯いじるのやめたんだね。何真剣にみてたの?良かったら教えてよ。」どうやらこの人はずっとこをみながら作業をしていたらしい。

「趣味の動画です。さようなら。」とだけ言って席を立ち上がり駅へ向かった。勘違いかもしれないが私はあの人をどこかで見かけた事がある気がする。気のせいだろうか。今どきメイクとかしてれば似てる人だって大勢いるしきっとそうだ。そんなことを考えていたらあっという間に家に着いた。
両親は仕事でいない。
今日はバイトも休み。
家でアニメを見ながらぼーっと過ごす。
次の日曜に併せで撮影する時のために衣装を出し、ほつれなどがないかを確認して、袖を通す。サイズも変わっていなくて安心したところでなんとなく勉強を始めた。予習がてら苦手な数学をひたすら解く。
「夜ご飯だよー!」とお母さんが急に叫ぶのでびっくりした。もうそんな時間なんだと思い教科書、ノートを閉じてダイニングに降りてく。
「新しいクラスはどう?」
「仲の良いお友達と一緒だった?」などの質問をされたが「クラスも友達も良い感じだよ。」と愛想笑いをしつつ応える。その後は今季のアニメの話題に移った。ネットの方が仲良い人も多いし居心地のいいのも事実だ。そんなことはお母さんも承知だと思う。お父さんは元々お母さんのカメラマンだったらしい。コスプレを始めたのもお母さんの影響。でも今は別々のジャンルをしているのも面白い。お互いの誕生日には推しのコスをするのも楽しい。仲の良い普通の家庭だ。食べ終わったらお風呂に入り、自分の部屋に戻ってアプリで生配信をするのが日常になっている。ファンの方との交流が一番楽しい。幸せな時間だ。日付が変わる頃に配信を終え、ベッドに入った。これが私のありふれた日常だ。

 今日も学校について席に座る。そしてスマホに入っている漫画を読む。「れんーー!」廊下を見渡して声の持ち主を探すとオタク仲間で幼馴染の沙耶だった。「どったの?」
「次の併せで撮影させてほしいんだけど良い?」
「ガチで!?」
「ガチ!」
「でもなんで?」
「親に専門学校行きたいならカメラの実力見せてみろって言われたんだよね笑」
「納得。日曜朝8時迎えにきて」
「了解」と会話を終わらせて再度自分の席に着く。沙耶は私がコスプレをしていると知っている唯一の友達だ。私と正反対で友達も多い。時間になって朝のstが始まる。今日は先生との面談とクラスメイトとの交流らしい。面談は廊下で行う。人と関わるの苦手なんだけどな。話しかけてくれる人は数人いるが挨拶程度の私とは長い付き合いになることが中々ない。いつも通り勉強しつつ携帯いじる。そして約1時間過ぎたところで呼ばれた。

「待ってたよ。座って。」
「どうも」
「蓮ちゃんで良いのかな?」
「なぜ下の名前なんですか?」
「苗字だと距離感覚えられるのが嫌だからね。女クラだから何かあった時に相談できる存在でいたいから」と言われてすごく納得してしまった。
「で、何話すんですか?」
「好きなことでいいよ。今日はお互いを知ることが目的だからね」
「じゃあ戻っても良いですか?」
「いやなんで!?」
「勉強中なんで」
「それでもダメだから笑んじゃ逆質問いくね」
「はい」
「誕生日は?」
「4月24日」
「後ちょっとだね。」
「趣味は?」
「音楽聴くことです」
「どんなジャンル聞くの?」
「流行りのやつとかです」
「んじゃラストクラスで仲良くできそうな子はいる?」
「いないけれど問題ないです。」
「どうしてなのか答えられるんだったら教えてほしいな」
「学校に友達を作りにきているわけではないから。そしてネットの方が居心地がいいからです。」
「そうなんだ。んじゃまず私に興味持ってもらうことからだな。長い時間ありがとう。戻っていいよ」
と言われたので素直に戻る。にしても声は可愛いし、まつ毛長くて肌白かったな。私に興味を持ってもらうか、、少しだけ頑張ってみようかな。そう思わされた。席に戻ると再び携帯をいじり宅コスの写真を見返していた。すると
「今日は終わりだから帰っていいよ!!」と言われた。その瞬間に教室が一気ににぎやかになった。携帯のカレンダーの予定を確認してバイトということを確認し、お昼をどうするかを悩みつついつものように教室で過ごす。今日の面談のおかげか先生は陽キャに囲まれているのを横目にメイクを始める。バイト先でやるのもめんどくさいから時間ができたからやる。日曜の併せ本当に楽しみだな、あのキャラはこんな感じのメイクだななんて考えながらやっていた。メイクがひと段落したところで携帯をいじり始めた。そんなタイミングで先生が向かいあう感じで座ってきた。なんで私なんか構うんだろうな。これも仕事のうちってやつか。すごいな。
「メイクすると違う可愛さになるのってすごいよね。」
「そうですね」
「常にメイクするの?」
「結構しますよ」
「私にも今度教えてよ。私全然わかんなくてさ」
「良いですよ。」
「えっいいの?」
「まぁ今のままでも好きですけどね」
「そうなの、ならいいか笑」なんなんだこの会話は、流石に私は馬鹿か、、先生にメイク教えるとか何言ってるんだ、、
「先生はお昼ご飯どうするんですか?」
「私は今日近くのファミレスかな。どうして?」
「お昼ご飯どうするか決めてなかったので」
「んじゃ一緒に行く?」
「流石に教師と生徒はまずくないですか?」
「確かに!時間あるならコンビニで買ってきてここで食べる?」
「あ、いやそこまで食べたいわけでもないので大丈夫です」
「そかそか」
「んじゃ気をつけて帰るんだよ?また来週」
「はい。さよなら」なんか私にだけすっごい親しげなのなんだ本当に。陽キャに囲まれてる時あんなに喋る人ではなかった。さて欲しいメイク用品見に行きますか。と切り替え主要駅周辺をぶらぶらする。
そんなことをしているうちに時間が近づいてきたのでバイト先のメイドカフェに向かう。接客しながらコミュニケーションを取るのは少し疲れるがだんだん慣れていき今では楽しくなっていた。4時間働き今日のやることは終了。そして帰路についたところで仕事帰りのお父さんの車にあったから乗せてもらう。会話はほぼカメラについて。30分くらいで家に着いた。その後はいつも通り。明日はバイトとパッキングだなと予定をたててすぐに眠りにつく。
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