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5.歳上の女の子泣かせた…って俺のせい?!
しおりを挟む「ま、《シールド》だけなら調子に乗らないし前勇者よりはマシかもしれないわね」
俺を睨みながらラータは呟いた。
マシって…もっとほかの表現をして欲しい。
てかそんなに頼りなく見えるなら、魔王討伐なんて止めた方が良いとか言ってくれませんかね?
…ん?
なんで俺魔王倒す気満々なんだろ?
前勇者って言葉が出てくるんだからその勇者に倒して貰えば良くね?
「前勇者…様は魔王を討伐してくれたのですが…いや、前魔王はそれを考えるどまだマシな方だったんです!」
俺の気持ちを察したのかハルが説明する。
「ただ…魔王を倒した後…前勇者様はそのまま魔王城を乗っ取り魔王になってしまって…」
…は?
「倒して欲しいっていう魔王は前勇者さんなんです…」
申し訳なさげにハルがこちらを見てきた。
「いや、無理だろ」
即答。
「どうせその前勇者…現魔王はチート持ちなんだろ?《シールド》だけでどう倒せと…」
ハルは少し考えた後、自信満々に答える。
「…作戦を練れば!きっと!」
いやいやいや…
「ちーと…?よく分からぬが、勝算はない事はないじゃろう」
長老まで何を…
「シールドは全攻撃を防げるから便利なんですよ!耐久値は…まぁありますけど鍛えればなんとかなりますし、別に勇者様一人で倒してなんて言ってません!」
ハルが身を乗り出す。
なんかよく喋るなー。
長老がまだ喋りたげな顔をしている。
「…じゃあ他に手伝ってくれる人が…?」
ハルは待ってましたというように手を挙げた。
「私がお供します!」
『は?』
ハルを除く全員が声を上げた。
「ハル、…本気で言ってるの?」
まず、ラータがハルを軽く睨む。
「ほ、本気だよ?!足手まといになんかならないもんっ!召喚魔法も使えるし!」
必死に言い募るハル。
次に長老が口を開いた。
「じゃがのぅ…いくらハルが《召喚》のスキルが使えると言っても…まだ半人前じゃろう?」
…半人前なのか……
でも俺召喚できてるし前勇者も召喚したんだろ?
「勇者様を召喚した時は2回とも成功したから良かったものも…その他に召喚したのは小動物や昆虫だけじゃろう?」
なんと。
成る程、召喚と言っても色々規模があるのか。
「ゔっ…!で、でもでも!弓だって使えるし!それに…」
少し涙目で駄々をこねるハルにラータがさらに口を挟んだ。
「じゃあ言いますけどね?何回命中した?魔獣に刺さった矢の威力が無くて殺されかけてたのは誰?!あれから上達した?」
「ゔぐっ……勇者様~」
涙目で今度は俺に助けを求めて来た。
「…いや、あのな?俺はまだ行くって決めてないというか…その…」
ラータ達の目線が怖い。
許可したらあとで何されるか分からない。
「この件は、とりあえず保留でお願いします、ね?」
これならどちらの味方って訳でもないだろう。
そう思いそーっとまずラータを見る。
ラータの顔は険しいままだ。
一方ハルを見ると肩を震わせている。
どうやらハルは自分を必要ないと思われたと勘違いしたようだ。
「~っ!!ラータとドゥアさんのバカバカバカッ!あと勇者様もバカ~っ!」
「?!」
ハルは泣きながら長老ドゥアの家を飛び出して行った。
そして訪れる束の間の静寂。
「…ドゥアさん、私ハル探しにいってくるわー…」
ラータはもう長老に対しても敬語で話すのが疲れたようでタメ口で話しハルの後を追う為に出て行った。
…
「あの…ハルさんって何歳なんですか?」
後に長老に聞くと。
「確か…18くらいだったかのぅ」
衝撃の事実、ハルは俺より年上だった。
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