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第1話 イツキ、神様に頼み事をされる
よし!完璧だ。
おれはセンター試験の会場に、開始時間の40分前に着いた。天候は晴れ、電車もサクサク動いてくれた。何という試験日和、残念ながら志望校は下げたが、もうすぐ憧れのキャンパスライフというやつだ。
「大学でこそ、彼女を作るぞ!」
いくら何でも大学生というブランドがあれば、彼女のひとりはできるはず。
いざ試験!
ドアを開けて足を踏み入れると、中は妙に暗かった。電気もついていない。
「早すぎたのか?」
突然、おれに光があたる。
「うへっ、まぶしい!」
「よく来てくれました!イツキさん!」
何だ?試験官がもうおれのことを知っているのか!不思議な顔で声がする方を見ていると、向こうが話を進めてくれた。声の主は光っててよく見えない。
「あなたにはこれから、この異世界であるミッションをこなしてもらいます」
ははーん。これあれだ。こんなときあなたはどうする!のドッキリだ。マジに答えた途端、引っかかった!ってダチが出てくるんだよ、きっと。
いやいや、うまいことのってやれば、動画配信の数字が稼げるかもしれないな。
「えー!本当ですか!ミッションって、おれは勇者になって世界を救うんですか!」
オーバーに言ってやると声の主が、おっほん!と咳払いをした。
「ある意味、勇者です!」
「ある意味?」
こけかける。
「あなたには、愛を知らないユニコーン騎士団団長、クロウド・フォン・ヘリベルトを、運命の愛におとしていただきます!」
はい?
いやいやいや、イタイって。何て言いましたか?運命の愛におとす?誰を?まず、何人なのよその人は。
「ええっと。無理ゲーのようなので他をあたっていただきたくお願いいたします」
「いえいえ、謙遜はいいですよ。いままでに告白した人99人、フラれた人も99人。それでもまだ諦めていない、あなたは勇者です!」
「ほう。おれのすごさに気づく奴がいたとはな」
やれやれ、ようやく時代がおれに追いついたか。
「その調子でクロウドに、愛を教えてあげてくださいね!」
「おう!と言いたいところだが、おれにはセンター試験がある!」
「あっ、大丈夫ですよ。落ちますから」
ズコーッ、とおれは転けた。
「ま、マジなのか!」
「はい!答えの欄の書き間違いです!」
「あらー、おれってうっかりさん!」
「けど、ミッションを成功したあかつきにはセンター試験を合格させてあげましょう」
「え!それはマジか!」
「はい。だって、答えの欄の書き間違いって教えてあげたんだから、もう大丈夫でしょ?」
それはそうだ。
「何だよ、そいつすごいブサイクとかか?」
「超イケメンの騎士団長様ですよ。水色の髪がとっても綺麗ですよ」
「じゃあ、性格が悪いのかー」
おれ性格悪い奴は嫌いだな。
「誠実にして人望もあつい人格者です」
そこまで聞いておれは首を傾げた。
「おれ、いる?」
このたいした容姿でもない、平平凡凡なおれが。しかも、イケメンってことは男だよな。女子がいないのか?
「ここだけの話ですよ。私は運命の愛の神なのですが、彼が生まれるとき加護を渡し忘れたんですよ。これって厄介でね、人って運命の人に会ったら勝手に恋に落ちるんですけど、加護がないから落ちないんです」
はあ。おれにも寄こせよ運命の人。
「だから、自力でがんばるか他力でなんとかするしかないんですけど、彼、どっちもダメだったんですよ」
それを何とかしろと?
「そこでどれだけ振られようと冷たくされようとポジティブなあなたの出番なんです!彼が愛というものを意識すればミッションは成功です!ここに帰って来れますよ」
「なるほど!ようはそいつが恋愛ができるようになればいいんだな!」
相手は別におれでなくてもいいんだよな。
「その通りです!本当に頼みますよ。これが上にバレると減給されるんですよ」
おれは頷いた。給料が減るのはつらいもんな。
「それはそうとおれの姿はどうなるんだ?もちろん綺麗なお姉さんになるんだろうな?」
「いいえ、そのままです!」
はい。いきなり座礁したぞ。どうすんだよ。
「あのな、自慢じゃないが、タイプの顔じゃないで69人に振られてるんだよ。そのおれの顔をそのまま採用とはやる気がなさすぎだろ!」
「私、そういう神じゃないんですみません。では、詳しい話はあなたの頭に書き込みましたから、いってらっしゃいー。ああ、ひとつだけ言っときます」
光がぼやけていく。
「何だよ」
「彼が愛を知ると時間が動き出しますからね」
ふーん。知ると同時に帰れるのかな。
「帰りのタイミングはあなたが決めてくださいー。彼が愛を知った後なら『帰りたい。運命の愛の神』、と叫べば帰って来れますから」
光が消えて、おれは目を覚ました。
おれはセンター試験の会場に、開始時間の40分前に着いた。天候は晴れ、電車もサクサク動いてくれた。何という試験日和、残念ながら志望校は下げたが、もうすぐ憧れのキャンパスライフというやつだ。
「大学でこそ、彼女を作るぞ!」
いくら何でも大学生というブランドがあれば、彼女のひとりはできるはず。
いざ試験!
ドアを開けて足を踏み入れると、中は妙に暗かった。電気もついていない。
「早すぎたのか?」
突然、おれに光があたる。
「うへっ、まぶしい!」
「よく来てくれました!イツキさん!」
何だ?試験官がもうおれのことを知っているのか!不思議な顔で声がする方を見ていると、向こうが話を進めてくれた。声の主は光っててよく見えない。
「あなたにはこれから、この異世界であるミッションをこなしてもらいます」
ははーん。これあれだ。こんなときあなたはどうする!のドッキリだ。マジに答えた途端、引っかかった!ってダチが出てくるんだよ、きっと。
いやいや、うまいことのってやれば、動画配信の数字が稼げるかもしれないな。
「えー!本当ですか!ミッションって、おれは勇者になって世界を救うんですか!」
オーバーに言ってやると声の主が、おっほん!と咳払いをした。
「ある意味、勇者です!」
「ある意味?」
こけかける。
「あなたには、愛を知らないユニコーン騎士団団長、クロウド・フォン・ヘリベルトを、運命の愛におとしていただきます!」
はい?
いやいやいや、イタイって。何て言いましたか?運命の愛におとす?誰を?まず、何人なのよその人は。
「ええっと。無理ゲーのようなので他をあたっていただきたくお願いいたします」
「いえいえ、謙遜はいいですよ。いままでに告白した人99人、フラれた人も99人。それでもまだ諦めていない、あなたは勇者です!」
「ほう。おれのすごさに気づく奴がいたとはな」
やれやれ、ようやく時代がおれに追いついたか。
「その調子でクロウドに、愛を教えてあげてくださいね!」
「おう!と言いたいところだが、おれにはセンター試験がある!」
「あっ、大丈夫ですよ。落ちますから」
ズコーッ、とおれは転けた。
「ま、マジなのか!」
「はい!答えの欄の書き間違いです!」
「あらー、おれってうっかりさん!」
「けど、ミッションを成功したあかつきにはセンター試験を合格させてあげましょう」
「え!それはマジか!」
「はい。だって、答えの欄の書き間違いって教えてあげたんだから、もう大丈夫でしょ?」
それはそうだ。
「何だよ、そいつすごいブサイクとかか?」
「超イケメンの騎士団長様ですよ。水色の髪がとっても綺麗ですよ」
「じゃあ、性格が悪いのかー」
おれ性格悪い奴は嫌いだな。
「誠実にして人望もあつい人格者です」
そこまで聞いておれは首を傾げた。
「おれ、いる?」
このたいした容姿でもない、平平凡凡なおれが。しかも、イケメンってことは男だよな。女子がいないのか?
「ここだけの話ですよ。私は運命の愛の神なのですが、彼が生まれるとき加護を渡し忘れたんですよ。これって厄介でね、人って運命の人に会ったら勝手に恋に落ちるんですけど、加護がないから落ちないんです」
はあ。おれにも寄こせよ運命の人。
「だから、自力でがんばるか他力でなんとかするしかないんですけど、彼、どっちもダメだったんですよ」
それを何とかしろと?
「そこでどれだけ振られようと冷たくされようとポジティブなあなたの出番なんです!彼が愛というものを意識すればミッションは成功です!ここに帰って来れますよ」
「なるほど!ようはそいつが恋愛ができるようになればいいんだな!」
相手は別におれでなくてもいいんだよな。
「その通りです!本当に頼みますよ。これが上にバレると減給されるんですよ」
おれは頷いた。給料が減るのはつらいもんな。
「それはそうとおれの姿はどうなるんだ?もちろん綺麗なお姉さんになるんだろうな?」
「いいえ、そのままです!」
はい。いきなり座礁したぞ。どうすんだよ。
「あのな、自慢じゃないが、タイプの顔じゃないで69人に振られてるんだよ。そのおれの顔をそのまま採用とはやる気がなさすぎだろ!」
「私、そういう神じゃないんですみません。では、詳しい話はあなたの頭に書き込みましたから、いってらっしゃいー。ああ、ひとつだけ言っときます」
光がぼやけていく。
「何だよ」
「彼が愛を知ると時間が動き出しますからね」
ふーん。知ると同時に帰れるのかな。
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光が消えて、おれは目を覚ました。
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