男鹿一樹は愛を知らないユニコーン騎士団団長に運命の愛を指南する?

濃子

文字の大きさ
10 / 22

第10話 騎士団内のルール

 団長達は皆卑怯者のクズだった。
 おれに人参持ってビスタのところに行けって言うんだもん。団長絶対恋人を大事にしない男だよな。 

 愛がないって、それが普通なんだろうか。家族愛はあるんだろうけど、それと似たような感情が人に対してわかないのかね?
「おい、ビスター」
「なんだい、イツキ。風邪は引かなかったか?」
「この時期に湖に落ちても気持ちがいいだけだよ」
 明るく笑うビスタの前に、おれは人参を差し出した。
「ビスタ、人参やる。食えよ」
「…………」
 顔色が変化した。
 おれは少し緊張して尋ねる。
「食えないのか?」
「ユニコーンじゃないんだし、シチューに入れて欲しいよ」
 その返事に、おれは人参を口に入れた。

 ボリッ。

 人参を折って口の中で咀嚼してやる。
「イツキ!」

「うっ」
 ーーっ!痛ったー!刺さったよ!トゲ!結構入ってるのか?
「イツキ!大丈夫か!」
 ビスタがおれの心配をする。
 アホだな、おまえそれ言っちまったらさー。

「おい、ビスタ。おまえどういうつもりだ?」
 いつもは陽気な声のレイン大隊長が、厳しい目をこちらに向けていた。ビスタが怯えた顔になる。
「ビスタ。冗談ではすまされないよ!なんでこんなことしたんだ!」
 ヘイルが吠えた。うるさいヤツは後ろに下がってりゃいいのに。
「はあー、がっかりだぜ」
 クリア大隊長が頭をかきながらビスタに寄っていく。
 ユニコーン騎士団の幹部達は、ビスタを取り囲むように止まった。
 団長に、スノウ副団長、レイン大隊長、クリア大隊長、一番槍のヘイルーー。彼らに逃げられないように挟まれ、ビスタはその場にへたり込んだ。
「どうして、こんなことを?」
 おれが尋ねると、ビスタはクリア大隊長をきっと睨んだ。
「こいつが、こいつがオレをもて遊んだから!」

 え?

「もて遊んだ、って、ようはやられたってことか?」
「そうだよ。そのまま、ポイッだ!」
「うっわー!やり捨てですか!あんたまともに見えてえげつないんですね!」
 おれは素直な感想を述べた。クリア大隊長が顔をしかめた。
「はあ?それでもいいから抱け、って言ったのはこいつだ!」
「生々しいなー」
 おれは呆れる。
「ビスタが男でよかったですね。女だったらあんた妊娠させちゃって責任を取らさせられますよ」
 典型的に騙されるタイプだ。
「クリア、仲間には手を出すなと言っただろう」
 団長は何かがズレている。
「ーー団長、彼らは仲間じゃない。吸った揉んだの間柄です」
「真面目な顔して何言ってんの?」
 ヘイルが呆れた顔になる。
「クリアも、ビスタも謹慎処分だ。後の事は自分達で解決してくれ、イツキ」
「はい」
「救護室に行くぞ」
「大丈夫っす。細かく噛みましたから、ちょっと刺さっただけですよ」
「消毒しなければ」
 律儀な団長だ。
「それより、ビスタ。リゲルを傷つけたらだめだろ。復讐なら何で本人にやらないんだ」
 あいつをいてこましてやれよ。
「ーーーーーだって、好きなんだもん!」
 ビスタは泣き出した。
「だから、リゲルに?恋心はこじらせるとわけのわからない方向に行くよな」
「恋は人を盲目にしますからね」
 おれの言葉にスノウ副団長は頷いた。
「ーーオレにその気はない」
 最低だな。クリア大隊長。
「ビスタ。あいつは血も涙も優しさも、恋人をひとりキープする財力も懐もないんだ。今回はおまえの男を見る目がなかっただけ。次行こうぜ、次はいい男、見つけような!」
 おれが明るく励ますと、レイン大隊長は吹き出した。クリア大隊長は苦い顔だ。
「イツキ。おまえ、いいヤツだなー」
「ああ、よく言われるぜ!」
『いいヤツなんだけどーー。やっぱり無理』、それで30人に振られたがな!

「団長」
「そうだな。どうやら、非はクリアの方にありそうだ」
 スノウ副団長と団長の会話を聞いて、クリア大隊長の顔色が変わっていく。
「謹慎処分はクリアだけとする。軽率な行動は今後はやめるようにーー」
「はいはい、わかりましたよ」
 うるせぇな、と悪態をついて、クリア大隊長はこの場から離れていった。恥ずかしいよな、実際。いい役職についてる人がーー。
「クリア大隊長……」
 ビスタが悲しそうにクリア大隊長の後ろ姿を、見ている。
「なんだ、未練があるのか?」
「そんな簡単に忘れられないんだよ!」
「でも、ビスタ。騎士団内は恋愛禁止だろ?」
 アイドルみたいだな。
「そんなの誰も守ってないよ!」
 ビスタの言葉に団長は目を丸くした。スノウ副団長も、レイン大隊長も視線をそらした。あの2人は黒確定だな。ヘイルは「えー!」っと叫んだから違うんだろうけど。

 うん、なんかあいつは仲間はずれにされるタイプだ。

「心当たりがありそうだな、スノウもレインも」
 団長が溜め息をつく。
「そもそもその決まりがおかしいんだよ。恋愛なんか自由なはずだろ?」 
 レイン大隊長の目が泳いでいる。
「騎士団内でするな、と言われているだけだ。町娘などいくらでもいるだろう」
 団長はひどい発言が多い。恋愛感情がないからか、淡々としすぎている。
「はいはい。気をつけますよ」
 レイン大隊長が不満気に顔をしかめる。

 あちゃー。これでおれと団長も付き合いずらくなっちまったなーー。
 どうしようかなー。

「なんだよ、みんなー」
 ヘイルが俯いた。
「オレはバカみたいに規則を守ってたんだな」
「ヘイル……」
 レイン大隊長が心配そうに、ヘイルの肩に手を置いた。ヘイルはそれを振り払い、団長の顔を真っ直ぐに見た。
「団長!オレはあんたの事が好きだ!ずっと好きだったんだ!オレと付き合ってくれ!オレを団長の一番槍にして欲しい!」

 下ネタだぁぁぁぁぁぁぁぁぁーー!

 あいつ団長の穴を確実に突く気でいるぞ。いつも冷静なスノウ副団長が、顔をゆがませてんぞ!
感想 1

あなたにおすすめの小説

忘れた名前の庭で

千葉琴音
BL
【凍てついた記憶を溶かすのは、不器用な守護者の体温】 「俺のことはルーカスでいい」 目覚めると、僕は自分の名前すら忘れていた。 唯一の肉親である兄・テオドールの死と同時に失われた記憶。無愛想な兄の友人ルーカスと共にゆっくりと兄の足跡を辿っていく。 厳格で甘いものが嫌いだった亡き兄・テオドール。彼が密かに弟のために植物図鑑を読み、内緒で菓子を買い与えていたという、口にされることのなかった真実。 ルーカスの語る「かつての自分」と、今の自分が少しずつ重なっていく中、アルノは因縁の魔獣の住む森へと足を踏み入れる。そこで彼が思い出したのは、独りで耐える術ではなく、誰かに抱きしめられて「息をする」方法だった。 孤独な少年と、彼を見守り続けた騎士。二人が雪解けの庭で見つける、新しい絆の物語。

『2度目の世界で、あなたと……』 ― 魔法と番が支配する世界で、二度目の人生を ―

なの
BL
Ωとして生まれたリオナは、政略結婚の駒として生き、信じていた結婚相手に裏切られ、孤独の中で命を落とした。 ――はずだった。 目を覚ますと、そこは同じ世界、同じ屋敷、同じ朝。 時間だけが巻き戻り、前世の記憶を持つのは自分だけ。 愛を知らないまま死んだ。今度こそ、本物の愛を知り、自ら選び取る人生を生きる。 これは、愛を知らず道具として生きてきたΩが、初めて出会った温もりに触れ、自らの意思で愛を選び直す物語。 「愛を知らず道具として生きてきたΩが転生を機に、 年上αの騎士と本物の愛を掴みます。 全6話+番外編完結済み!サクサク読めます。

執着

紅林
BL
聖緋帝国の華族、瀬川凛は引っ込み思案で特に目立つこともない平凡な伯爵家の三男坊。だが、彼の婚約者は違った。帝室の血を引く高貴な公爵家の生まれであり帝国陸軍の将校として目覚しい活躍をしている男だった。

恋人に好きな人が出来たと思ったら、なにやら雲行きが怪しい。

めっちゃ抹茶
BL
突然だが、容姿も中身も平凡な俺には、超絶イケメンの王子と呼ばれる恋人がいる。付き合い始めてそろそろ一年が経つ。といってもまだキスもそれ以上もした事がない健全なお付き合い。王子は優しいけど意地悪で、いつも俺の心臓を高鳴らせてくる——だけどそれだけだ。この前、喧嘩をした。それきり彼と話していない。付き合っているのか定かじゃない関係。挙句に、今遠目から見つけた王子の側には可憐な女の子。彼女が彼に寄り掛かって二人がキスをしている。 その瞬間、目の前が真っ黒になった。もう無理だ。俺がスイッチが切れたようにその場に立ち尽くした、その時だった。前にいる彼から聞いたこともない怒声が俺の耳に届いたのは。 ⚪︎佐藤玲央……微笑みの王子と呼ばれ、常に笑顔を絶やさない。物腰柔らかな姿勢に男女問わずモテる ⚪︎中田真……両親の転勤で引っ越してきた転校生。平凡な容姿で口が悪いがクラスに馴染めず誰とも話さないので王子しか知らないし、これからも多分バレない ※全四話、予約投稿済み。 本編に攻めの名前が出てこないの書き終わってから気が付いた。3/16タイトル少し変更しました。 ※後日談を3/25に投稿予定←しました。Rを書くかはまだ悩み中

家に帰ったら、妻は冷たくなっていた。突然シングルファザーになった勇者パーティーの治癒師は家族を修復したい

八朔バニラ
ファンタジー
勇者パーティーに所属し、魔王討伐した治癒師(ヒーラー)のゼノスは街の人々の歓声に包まれながら、3年ぶりに家に帰った。家族が出迎えてくれると思ったが、誰も出迎えてくれない。ゼノスは不満に思いながら家に入ると、妻の身体は冷たくなっていた。15歳の長男ルミナスはゼノスの代わりに一家の柱として妹を守り抜き、父に深い拒絶のこもった瞳を向けていた。そして、8歳の長女ミリアは父の顔も忘れていた。 ゼノスは決意する。英雄の肩書きを捨て、一人の不器用な父親として、バラバラになった家族の心を繋ぎ合わせることを。 これは世界最強の治癒師が家族を修復する物語である。

【完結】巷で噂の国宝級イケメンの辺境伯は冷徹なので、まっっったくモテませんが、この度婚約者ができました。

明太子
BL
オーディスは国宝級イケメンであるにも関わらず、冷徹な性格のせいで婚約破棄されてばかり。 新たな婚約者を探していたところ、パーティーで給仕をしていた貧乏貴族の次男セシルと出会い、一目惚れしてしまう。 しかし、恋愛偏差値がほぼ0のオーディスのアプローチは空回りするわ、前婚約者のフランチェスカの邪魔が入るわとセシルとの距離は縮まったり遠ざかったり…? 冷徹だったはずなのに溺愛まっしぐらのオーディスと元気だけどおっちょこちょいなセシルのドタバタラブコメです。

2度目の異世界移転。あの時の少年がいい歳になっていて殺気立って睨んでくるんだけど。

ありま氷炎
BL
高校一年の時、道路陥没の事故に巻き込まれ、三日間記憶がない。 異世界転移した記憶はあるんだけど、夢だと思っていた。 二年後、どうやら異世界転移してしまったらしい。 しかもこれは二度目で、あれは夢ではなかったようだった。 再会した少年はすっかりいい歳になっていて、殺気立って睨んでくるんだけど。

転生DKは、オーガさんのお気に入り~姉の婚約者に嫁ぐことになったんだが、こんなに溺愛されるとは聞いてない!~

トモモト ヨシユキ
BL
魔物の国との和議の証に結ばれた公爵家同士の婚約。だが、婚約することになった姉が拒んだため6男のシャル(俺)が代わりに婚約することになった。 突然、オーガ(鬼)の嫁になることがきまった俺は、ショックで前世を思い出す。 有名進学校に通うDKだった俺は、前世の知識と根性で自分の身を守るための剣と魔法の鍛練を始める。 約束の10年後。 俺は、人類最強の魔法剣士になっていた。 どこからでもかかってこいや! と思っていたら、婚約者のオーガ公爵は、全くの塩対応で。 そんなある日、魔王国のバーティーで絡んできた魔物を俺は、こてんぱんにのしてやったんだが、それ以来、旦那様の様子が変? 急に花とか贈ってきたり、デートに誘われたり。 慣れない溺愛にこっちまで調子が狂うし! このまま、俺は、絆されてしまうのか!? カイタ、エブリスタにも掲載しています。