男鹿一樹は愛を知らないユニコーン騎士団団長に運命の愛を指南する?

濃子

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第15話 呪いをかけてなんていません。


「団長はー」
 おれの声のトーンが落ちた。
「恋人のおれを、そんな扱いするんだー」

 何だか悲しくなって、おれは泣いてしまった。

「イツキー」
 団長が近づいてきた。
「来んなよ。どうせ目から水が出てるとか言うんでしょ?団長のバカたれ!」

 おれは顔をあげて涙をふこうとした。

 くそっ!


 ………えっ?

 おれの涙を団長が指で払った。ペロリと舐めて一言。
「しょっぱい水だな」

 ほひゃゃゃゃゃーーー!!!

 何ですか、その不意打ちぃぃぃ!

「ちょっと何ですか!そんなのイケメンだから許されるんですよ!」

 ぷんぷん怒るおれに団長は言った。

「泣かれるのは、嫌だからな」

 ーー毎日泣いてやろう。

「団長~。彼女達に団長を紹介してもいいですか?」
「それはかまわないが、イツキはそんなにはっきりとユニコーンの言葉がわかるのか?」
「おれ血が混じっているみたいです」
「え?」
「彼女達が教えてくれましたーー。みんな、紹介するぜ、おれの恋人のクロウド団長だ」

『ーー悪くはないと思うんだけど……』
『王子はどうするの?』
「いやいや。会ったこともないから、どうもしないよ」
『会いに行きなさいよ。村の果てにお城があるわ』
「果て、って」

 ユニコーンの果てはおれが思う果てではないだろう。

「いいの!おれは団長と付き合ってるんだから!」
 そうきっぱり言い切ったおれの耳に、ユニコーンの泣き声が聞こえた。
「ヒヒヒーン」

 見るとデネブが、泣いていた。涙って出るんだ。

「デネブ……。まっ、そういう事だから」
 おれの言葉を聞いてデネブが団長を睨んだ。
「どうしたんだ、デネブ?」

 団長は首を傾げた。デネブの方が人間らしい感情してるな。

「団長のことを恋敵と思っていますよ」
「迷惑な話だ」

 さらっとひどい事いうなぁ。

「で、おれを村に連れてきて結論は?」
「イツキがユニコーンの牝なのはわかった」
「そんなわけないでしょ!」
「分類があるなら、イツキはヒト科ユニコーン族だな」
 おれは目を丸くした。
「そんなのがいるんですか?」
「人類でもレアケースだ。何で騎士団にいるのだろうな?」
「それは設定で……」
「設定?」
「あっ、いや、積極的に騎士団に入りたかったんですよ!」
「その弱さでか」

 団長は不思議そうな顔をした。

「どちらかと言えば、神殿に行く人間だろうが」

 神殿ーー。自分達は神の使いだという神官達が、わらわらいるとこね。おれもそうです、って言ったらどんな反応するのかなーー。

「一度神殿に行くか?」
「痛いことされませんよね?」
「……………………………ああ」
「されるんでしょ!絶対されるんだよ!」

 断固お断りです!

「あっ、アンタレスですよ。お別れしたんじゃ」
 レイン大隊長のユニコーンが湖の牝ユニコーンをめがけて突進して行った。牝は蜘蛛の子を散らすように逃げて行く。
「嫌われてますねーー」
「普通はあんなものだ」
「もっと真摯に誘わないと。女性は嫌がりますよ」
「ーー詳しいな」

 団長が意外そうな目でおれを見た。

「ふふふ。観察力だけは優れてるんです」
「なぜ?」
 えらいつっ込んでくるわね。

 とは言え、99人の女子に振られ続ける中で身につけたスキルだからな。結局まとはずれだったのか、誰にもかすりもしなかったし。

 あっ、そうだ。

「どうしてだと思います?」
 おれは団長の目をしっかりと見た。

 1、2、3、4、5、6、7、8秒ーー、数えておれは視線をアンタレスに戻した。

 お、おい。団長と8秒間目を合わせてやったぜ!これはもう科学的には進展アリだぞ!

「誰か~!悪いけどアンタレスと付き合ってやってよ!」
『えー!』
『やだあー』
「頼みまーす!」
『まあ、いっかぁ』

 1頭がアンタレスの側に行き、2頭は角を擦り合わせてどこかへ走って行った。挨拶か、手順なのかな。
「アンタレス、がんばれ!」

 アンタレスは「ヒヒーン!」、と元気に鳴いた。おれは何を応援してるんだか。



「イツキ」
「ん?はい?」
 団長がおれを見ていた。
 その真剣な目におれはドキリとした。
「な、何ですか?」
「おまえ、呪いをかけるつもりだったのか?」

 の、呪い?

「人の顔をじっと見て呪いをかけていたな?」
 真面目に何言い出すんだ。
 
 ほんま、この人あっかんわーー!
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