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当て馬王子 アディオン 編
第22話 与一、不穏な空気の城に帰る。
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皆様、いつも最後まで読んでいただき、誠にありがとうございます😊
信じられないことに、お気に入り登録が1000を超えました🙀嘘やん、って開いた口が閉じません。こんなにも応援いただけるなんてーー、
めっちゃうれしいで~~~😁
ーーでは、続きをどうぞ😉
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
俺の取り越し苦労であってくれと願いながら、俺達はエウローペー城に急いだ。
「ルーカス、おまえは魔ドラゴンの牙を持って公爵家に行け」
王都に入り指示をした俺にルーカスが首を振る。
「いいえ、まずはテレゼ様の無事な姿を確認すべきだと思います!」
「ルーカス……」
エドアルドの声音がうれしさを含んでいるように聞こえた。彼は帰る道中、一睡もしていない。御者は馬の疲れがひどかったので、近辺の村で雇った業者と交代した。そのため、途中からはちゃんとした幌付きの馬車だ。
王都は特に騒がしい様子もなく、いつも通り活気のある人々や馬車が行き交っている。
ガタッ。
馬車が大きく揺れた。
「すみません!前からすごいスピードの馬車が来たもんでーー」
マナーの悪い馬車だな。
閉じられていた後ろの幌を開き、ちらりと見ると、西へのメインストリートを走っていく黒い馬車が見えた。栗毛の二頭立てでしっかりした箱造り、貴族の馬車だろう。
「お怪我はありませんか?ぶつからないように避けたもので、すみませんーー」
「いや、大事ない」
御者に謝られるがそんなことより問題は、狙ったようにアートレが俺に抱きついてくることだ。ルーカスなんか、眉根が寄りまくっているけど、おまえにそんな顔される覚えはないんだよ。
しかし、西かーー。
エウローペー国から、西にはへブリーズ大公領地、その下にロンドスタット大公領地。大昔はすべてエウローペー国だったのだが、王族が大公となる度に国を分けた。
土地で揉めたのか、へブリーズみたいに海を渡り、隣りの大陸に移住した王族もいたそうだ。
そのふたつは大陸でも有名どころだから、勉強するんだけどさ、この大陸には俺も把握できないぐらいの領地がたくさんある(自分の国だけでもあやしいけど)。
噂でしか聞かないんだけど、ロンドスタット大公領の近くには、盗賊が治める盗賊領なんてのもあるらしい。人買いもいるって聞くし、治安がどうなってるのか、考えるだけで怖くない?親父もよくそんなとことに、息子やったよな。
荘厳なるエウローペー城に近づくにつれ、ひとの音がなくなっていく。代わりに響くのは、ガラガラガラッ、と馬車が石畳を走る音だ。整地された町の地面のほうが振動は少ない気がするんだけど、見た目と埃の少なさは石畳の勝ちだな。
「ーー城門前の衛兵が多い……」
前から外の景色を見ていたルーカスがつぶやいた。
確かめるために、俺も御者の隙間から外を見ようと身体を動かす。
カタンっ、と車輪が跳ねあがり、馬車が揺れたためルーカスとごつんとぶつかった。そのとき、やつと目が合ったんだけど、俺を見るやつの目つきがやらしいのなんのってーー。
……うん、だから抱きとめてくれなくていいんだよ……、うん、ーーなあ……。アートレ、睨まないでくれってーー!
たしかに、見たところ城の前にいつもより倍以上の衛兵がいた。
何かあったのかーー?
許可のない馬車が近付いてきたことを察したのか、城門前からはざわざわとした声が聞こえてくる。俺は御者の後ろに立ち、大声をあげた。
「アディオンだ!門を開けてくれ!」
ルーカスが当然のように俺の身体を支えている。助かるよ、邪な気持ちがないならね。
「で、殿下ーー!」
「門を開けろーー!!」
「しばしお待ちください!」
すまん、先触れがだせなくてーー。
大慌ての衛兵達にすまないと思いながら、俺は顔を知っている衛兵隊長に声をかけた。
「キッコロ、今日は何かあったのか?」
「あっ……、王太子殿下が、すぐそちらにおられます!」
「兄上がーー、こちらに?」
エドアルドの目がすっと細められた。馬車の中が凍りついていくような、ぞっとする気が彼から発せられる。
城門の中に入ると、まず目につくのが赤いバラの通路だ。その長い通路を抜けて、城に辿り着くのだが、俺の住んでる王宮はさらにすんごい奥。
兵舎、使用人室とか、城で働いてくれてる人々の住居エリアを抜けないと行けない場所にある。普段用事でもなければ王族はここにはいない。通るときも馬車か馬だ。
なのに、俺の兄である王太子リディアンが、赤いバラの通路にいる。
「!」
その人物を見てエドアルドに緊張が走る。彼の伴侶のサキナが、リディアンの側で泣いていたからだ。
「サキナ!」
「旦那様!ーーテレゼがーー!」
馬車から飛び降り、エドアルドがサキナの側に急いで近寄る。
「テレゼがどうした!?」
「どこにもいないのですーー」
泣き腫らしたサキナを落ち着かせるために、抱きしめながらエドアルドが言う。
「いつからだ?」
「ーーつい、先ほどだ」
リディアンの言葉にエドアルドが眉を寄せた。
「先ほど?」
「私と中庭にいたはずなのに、一瞬で目の前からいなくなったのだーー」
「一瞬?隠れているのではないのかーー?」
城は広いんだし小さな子供が隠れたのなら、すぐにはわからないだろうーー、エドアルドが訝しがるのも無理のない話だ。
「テレゼの気配が近くにないのです!アザ花種同士の感情共有にも応えてくれません!!」
「そんな馬鹿な!リディアン殿下、どういうことです!」
いまにも兄につかみかかろうとするエドアルドを、俺とルーカスは後ろから引っ張った。しかし、なんて力だ、二人がかりでも引きずられるよ。
「ーー私も自分の目が信じられない。隣りにいたはずなのに、いま城外を捜索しようとしているのだがーー」
真っ青になり倒れてしまいそうな兄の背後を、俺はすばやく見まわした。
案の定、あいつがいない。
ふっ、出し抜いたつもりだろうが、俺は知ってるんだぜ!おまえにしかこんなことはできないってことをなーー!
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俺の取り越し苦労であってくれと願いながら、俺達はエウローペー城に急いだ。
「ルーカス、おまえは魔ドラゴンの牙を持って公爵家に行け」
王都に入り指示をした俺にルーカスが首を振る。
「いいえ、まずはテレゼ様の無事な姿を確認すべきだと思います!」
「ルーカス……」
エドアルドの声音がうれしさを含んでいるように聞こえた。彼は帰る道中、一睡もしていない。御者は馬の疲れがひどかったので、近辺の村で雇った業者と交代した。そのため、途中からはちゃんとした幌付きの馬車だ。
王都は特に騒がしい様子もなく、いつも通り活気のある人々や馬車が行き交っている。
ガタッ。
馬車が大きく揺れた。
「すみません!前からすごいスピードの馬車が来たもんでーー」
マナーの悪い馬車だな。
閉じられていた後ろの幌を開き、ちらりと見ると、西へのメインストリートを走っていく黒い馬車が見えた。栗毛の二頭立てでしっかりした箱造り、貴族の馬車だろう。
「お怪我はありませんか?ぶつからないように避けたもので、すみませんーー」
「いや、大事ない」
御者に謝られるがそんなことより問題は、狙ったようにアートレが俺に抱きついてくることだ。ルーカスなんか、眉根が寄りまくっているけど、おまえにそんな顔される覚えはないんだよ。
しかし、西かーー。
エウローペー国から、西にはへブリーズ大公領地、その下にロンドスタット大公領地。大昔はすべてエウローペー国だったのだが、王族が大公となる度に国を分けた。
土地で揉めたのか、へブリーズみたいに海を渡り、隣りの大陸に移住した王族もいたそうだ。
そのふたつは大陸でも有名どころだから、勉強するんだけどさ、この大陸には俺も把握できないぐらいの領地がたくさんある(自分の国だけでもあやしいけど)。
噂でしか聞かないんだけど、ロンドスタット大公領の近くには、盗賊が治める盗賊領なんてのもあるらしい。人買いもいるって聞くし、治安がどうなってるのか、考えるだけで怖くない?親父もよくそんなとことに、息子やったよな。
荘厳なるエウローペー城に近づくにつれ、ひとの音がなくなっていく。代わりに響くのは、ガラガラガラッ、と馬車が石畳を走る音だ。整地された町の地面のほうが振動は少ない気がするんだけど、見た目と埃の少なさは石畳の勝ちだな。
「ーー城門前の衛兵が多い……」
前から外の景色を見ていたルーカスがつぶやいた。
確かめるために、俺も御者の隙間から外を見ようと身体を動かす。
カタンっ、と車輪が跳ねあがり、馬車が揺れたためルーカスとごつんとぶつかった。そのとき、やつと目が合ったんだけど、俺を見るやつの目つきがやらしいのなんのってーー。
……うん、だから抱きとめてくれなくていいんだよ……、うん、ーーなあ……。アートレ、睨まないでくれってーー!
たしかに、見たところ城の前にいつもより倍以上の衛兵がいた。
何かあったのかーー?
許可のない馬車が近付いてきたことを察したのか、城門前からはざわざわとした声が聞こえてくる。俺は御者の後ろに立ち、大声をあげた。
「アディオンだ!門を開けてくれ!」
ルーカスが当然のように俺の身体を支えている。助かるよ、邪な気持ちがないならね。
「で、殿下ーー!」
「門を開けろーー!!」
「しばしお待ちください!」
すまん、先触れがだせなくてーー。
大慌ての衛兵達にすまないと思いながら、俺は顔を知っている衛兵隊長に声をかけた。
「キッコロ、今日は何かあったのか?」
「あっ……、王太子殿下が、すぐそちらにおられます!」
「兄上がーー、こちらに?」
エドアルドの目がすっと細められた。馬車の中が凍りついていくような、ぞっとする気が彼から発せられる。
城門の中に入ると、まず目につくのが赤いバラの通路だ。その長い通路を抜けて、城に辿り着くのだが、俺の住んでる王宮はさらにすんごい奥。
兵舎、使用人室とか、城で働いてくれてる人々の住居エリアを抜けないと行けない場所にある。普段用事でもなければ王族はここにはいない。通るときも馬車か馬だ。
なのに、俺の兄である王太子リディアンが、赤いバラの通路にいる。
「!」
その人物を見てエドアルドに緊張が走る。彼の伴侶のサキナが、リディアンの側で泣いていたからだ。
「サキナ!」
「旦那様!ーーテレゼがーー!」
馬車から飛び降り、エドアルドがサキナの側に急いで近寄る。
「テレゼがどうした!?」
「どこにもいないのですーー」
泣き腫らしたサキナを落ち着かせるために、抱きしめながらエドアルドが言う。
「いつからだ?」
「ーーつい、先ほどだ」
リディアンの言葉にエドアルドが眉を寄せた。
「先ほど?」
「私と中庭にいたはずなのに、一瞬で目の前からいなくなったのだーー」
「一瞬?隠れているのではないのかーー?」
城は広いんだし小さな子供が隠れたのなら、すぐにはわからないだろうーー、エドアルドが訝しがるのも無理のない話だ。
「テレゼの気配が近くにないのです!アザ花種同士の感情共有にも応えてくれません!!」
「そんな馬鹿な!リディアン殿下、どういうことです!」
いまにも兄につかみかかろうとするエドアルドを、俺とルーカスは後ろから引っ張った。しかし、なんて力だ、二人がかりでも引きずられるよ。
「ーー私も自分の目が信じられない。隣りにいたはずなのに、いま城外を捜索しようとしているのだがーー」
真っ青になり倒れてしまいそうな兄の背後を、俺はすばやく見まわした。
案の定、あいつがいない。
ふっ、出し抜いたつもりだろうが、俺は知ってるんだぜ!おまえにしかこんなことはできないってことをなーー!
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