(完結)主人公の当て馬幼なじみの俺は、出番がなくなったので自分の領地でのんびりしたいと思います。

濃子

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その舞踏会、ちょっと待ったぁ〜!編

第15話 ま、待てよ……(赤面)。

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「ーーキサラーーー!!こっち、こっち~~♡」
「ま、待てよ……」
「待たないよ~~♡」
 と、荒々しい波打ち際を、バカップルやってる俺達が走る。キサラの顔が引きつってるけど、わがままに付き合うのも婚約者の使命だよな。

「つ、つかまえた」
「つかまっちゃった~~~♡」
 腕をつかまれ、俺はキサラの胸のなかに入る。戸惑いながらも俺を抱きしめてくれる、つき合いのイイやつだ。

 ーーすっごいぎこちないけどなーー。もっと情熱的に来いや。


「はい!ここで押し倒す!」
「波がかかるぞ」
「冷静になるな!この世界には俺達ふたりしかいないんだーーッ!!」
 そう、どうせどうにもならないんだから、いちゃいちゃしなくちゃ損だろ?

「よし!今度はバックハグでつかまえてくれ!」
「バック、ハグ?」
「後ろからガバッとやるんだよ!」
「わかった……」
 いちいち照れた顔がご馳走だな。


「ーーそしたらさ……」
「?」
「………プロポーズしてよ」
「…………」
 モジモジしながら言うと、キサラの目が大きく開かれた。

「プロポーズ……」
「……うん…………」
「ーー、ーーーしてないか……?」
「父上達に言っただけじゃん」
「……、」
 あー、照れてる顔がほんとにカワイイな……。

 ふたりで目を合わせたり、逸らしたりーー、挙動不審な動きになりながら、時間だけが過ぎていく。

「ーーあ……」
 うんうん、何言ってくれるのかなーー。ドキドキ……。
「いや…、、あ、アディーー」
 キサラが覚悟を決めたように、俺に顔を向けた。

「う、うん……」
 本気で照れてる……。そんな顔見てたら、俺はどうしたらいいんだろーー……。


「ーー俺は、ーーいつもおまえの側にいないし、いて欲しいときにだっていられない薄情な伴侶だ……」
「キサラ……」
「ーーーけど、俺の心には、おまえしかいない……」
 
 何だってーー?

「……気持ちなら、誰にも負けないーー」
「キサラ……」
 おれの顔、いまどうなってるの?ニヤけてないか?真面目な顔できてるかーー?


「今世で足りない幸せは、来世でなんとかするーー。だから、………ーーー俺と結婚してくれ」

 言葉が心にしみてくる。じわっと、俺の全部があったかくなるような言葉に、自然に涙があふれてきた。

「ーーーじま゙ず!じま゙ず!絶対に゙じま゙じゅ゙ーーーッ!!」
 涙だけならよかったのに、鼻水まで垂らしながら俺はキサラに抱きついた。



「ーー俺が必ず、キサラを幸せにずる゙ーー……」
「……」
 赤くなった顔を覗き込むように見ると、キサラがそっぽ向いた。もう、テレ屋さん過ぎへん?
「ーー本当に、いいんだな?」
「何が?」
「俺と一緒になって、本当にいいのか?」
「いいよ。キサラもしつこいなーー」
 これだけイケメンなのに、自己肯定感低めだよな。

「ーー顔が好みなだけじゃ、長くはもたないだろ?」
「あー、カッコいいから好きなのは、マジの話だけど……」
 前に言ったやつか……。しっかり覚えてるなーー。

「ーーそれよりもさーー……」
「?」
 語尾が小さくなった俺が気になったのか、キサラが顔を戻した。訝しげに眉を寄せ、じっと俺の目を見る。何を言うんだろーー、って表情だな。

「ーーキサラは違うっていうかもしれないけどさーー」
「……?」
「俺、ーーはじめて見たときに感じたんだーー。このひとは俺の運命のひとかもーーってーー」








「………」
「あははっ、兄上とテレゼが引き合うところを見たから、それにあてられたたけだと思うんだけどさーー。ふふっ、あんな状況だったのに、おかしいだろーー?」
 くしゃくしゃに笑って、真剣にならないように言う。うん、聞き流してくれて、大丈夫だぞーー。


「運命……」
「ああ、そんな真面目な話じゃないけど……、願望があったんだよーー」

 ーーたしかなものがわかるリディアンが、うらやましいと思った。運命だったらいいのに、一生離れなくてすむんだろーー?って、思っただけ……。


「ーーいいな、それ」
「うん?」
「運命だと思うぐらい、俺が好き、ってことなんだろ?」
 顔をぎりぎりまで近づけてきたキサラに、俺は真っ赤になるしかない。


 ーーあー、この不敵な顔ーー、好きだなーー。そうだよ、おまえはもっと自信満々な顔で、俺に愛されてろよなーー。


「……」
 唇を重ねて誓いのキスーー。潮の味しかしないなーー。
「しょっぱい~~」
「ーーいや、おまえは甘さもある」
「それって甘じょっぱいのかーー、最強だな」
「ふっ、ははっーー」
 キサラがおかしそうに笑った。めずらしくて俺の目は丸くなってるだろう。

 ーー笑うと歳より若く見えるなーー。


 じんわりと照れている俺の頬を、キサラが撫でた。
「ーー高台を見ろ。エド兄が飛竜で来てくれている」
 その言葉に俺は眉を盛大にしかめた。あ、あの鳴き声って、飛竜だーー。
「うぎゃー!早いよ~~~!」
 くそっーー!めっちゃいいとこだったのに~~~!




「ーーへブリーズの海岸にも景色が良いところがある」
「え?」
「ーー今度、行こう」

 俺の心が、ぐわっと燃える。


 ーーそれって、デート、だよな………。


 で、で、で、デート~~~、キサラとデート~~~♫やだ、当日は何着てこ~~。勝負パンツは履いていったほうがいい?持っていってシャワーの後ーー?


 俺が妄想を膨らませている間に、キサラが俺を抱えて洞窟まで運ぶ。
「花を持ってきてくれ」
「ーーあっ!わかった」

 俺は採取したスカーレットペタルを包んだ服を取りに行く。見つけたのは洞窟の奥、通路の入り口付近にあったんだよ。あのときは暗くて気づかなかったけどな。







「ーーエド兄が服をくれた」
「気がきく~」
 潮がふいた服は着れなかったから、パンイチのままなんだ。この場合、アザ花種の俺は非常にまずいんだろうなーー。エロマスターのくせに、わりと紳士でおどろいちゃうね。





「ーーなんで、裾が花びらのやつなんだよ……」
 文句をいう立場ではないことはわかっているけど、着替えてびっくりダンス用だ。
「似合っている」
「このまま舞踏会へどうぞ、ってか!?まずは風呂だ」
「ふっ」
「あー、もう。ーーキサラ、髪の毛金髪に戻っちゃったな」
「強い色粉だったんだけどな」

 キサラが着たのは白の騎士服だ。こりゃ、俺の顔が熱くなるのも無理ないぜ。


「エド兄ーー」
 キサラが飛竜に手を振ると、飛竜からロープが垂らされた。
「降りてこないの?」
「草食の飛竜は、海水に弱いんだ」
 そうなんだ。無理させて悪いなーー。


 身体にロープを結ぶとキサラが俺を強く抱き、上に合図する。
「え?ふたりいっぺんに?」
「エド兄だからなーー」
 あがっていく身体に俺は引きつるしかない。やっぱりあのひとは、化け物なんだなーー。


















 俺達が島にいた間に、事件は解決に向かっていた。ガルナバ大公ヒッカリエは、エウローペー魔法科学センターの監視下に置かれることになったらしい。

 かなり前からあの島に、スカーレットペタルがあることに気づいて、極秘に研究してたそうだ。キサラは大公をマークしてたけど、実際に研究と売買をやってたのはマリエルで、ムサ達が薬の売買現場を押さえたんだって。張り込んだかいがあってよかったよな。

 花を採取してたやつも捕まえたそうだ。俺の宿泊部屋にいたふたり組ね。あのときはいつもより時間がかかったみたい、マリエルも本気で驚いてたもん。

 よく考えたら、あのひとはそこに俺達の気がいかないようにしてたんだろうなーー。けど、俺達を宿泊させることで、あやしまれないようにしたかったみたいだ。

 
 それでこの薬、妊娠の確率があがることがわかったそうなんだけど、高確率で花が産まれてしまう結果だったそうだ。なんだよな、こんなの知ってて売るってアウトだろ!

 たしかに、『必ず妊娠はする』、嘘は言ってないーー、っていうのが大公側の言い分だ。それでボロもうけしてたらしく、リディアンが苦い顔をしてたよ。

 しかし、大公が監視下に置かれるなんて、当然異例の事態だ。マリエルは投獄の身になるそうだけど、研究は続けるらしい。ちゃんと心を入れ替えて、本物の薬が完成できたらいいよなーー……。


 ーーちなみに、俺があの夜に見たのは、マリエルとロンドスタット大公ラジードだったらしい。ラジードが、薬を買ったって、ーーー誰に使うつもりだったんだろうーー。魔神馬と交換したそうなんだけど、そこまでして子供がほしい、ってーー……、あー、考えるのやめようーー。




「ーー潜入捜査は終わりなのか?」
「ああ、取り巻きが解散されたからなーー」
「オスカー様、素敵だったのに」
「ーーハロンで十分いけたんだがな……」
「あの若い局員は、イケメンってより、かわいい系だろ」
 美青年軍団とは、少し違うような。

「ーーあの中にはいた。だが、大公に近づけなかったため、俺が行くことになった」
「ふうん。キサラは近づいて何をしたんだ?」
「普通に、お茶を飲んだりしただけだ」
「本当か!!」
「ーーーああ」

「返事が遅い!使ったのか!!」
「ーー何をだ?」
「俺のモノを他人に使ったのか!!」
「ーー使っていない」
「返事がおそ~~~~いッ!!」
 俺が半狂乱になって怒り狂うのを、リディアンが大笑いして見ていたそうだーー。






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 いつも最後まで読んでくださり、本当にありがとうございます😊

 予定通りいかず、もう1話、明日更新します。
 読んでいただけるとうれしいです🥹
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