(完結)主人公の当て馬幼なじみの俺は、出番がなくなったので自分の領地でのんびりしたいと思います。

濃子

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魔法とアザ花種 編

第5話 やっぱりエドアルド

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「ーーさて、ルカルドのところに行きますか」
 俺とイリスの会話など聞く必要もないと思ったのか、エドアルドが立ちあがる。
「え?あー、弟さんかーー……」


 ーー弟ーーッ!?ハリードの弟ってまさかーー!まさかーーッ!!

「ーーき、キサラの……」
「聞いていましたか。いまからそいつと会います」
「な、なんで?」
「?」
 エドアルドが不思議そうな表情を浮かべる。いや、俺、心の準備ができてないよ………。

「領都までだと日が暮れるかーー。王太子殿下に話してまいります」
「お、、私は兄上と帰ろうーー」
「それは無理ですよ」
「なんで?」
「殿下に会いたいそうですので」
「!」

 ーー決闘か。決闘なんだな…………。



『ーー拙者、アディオンと申すーー。キサラの正真正銘、婚約者でござ~るーー』
『それがしは、ルカルド、キサラの長年の恋人でござ~い』



 ーー長年……、負けたなーー……。俺の知らないキサラをたっぷり知ってんだろうなーー。くぅ~~~、うらやましい~~!


「リアはどうします?」
「カーム(イリスの侍従)には泊まるかもって言ってきたから、僕も行く」
「いいでしょう。私から離れないことを約束してください」
「はあい」
 イリスの愛らしい返事に、エドアルドが苦笑した。きっとテレゼも成長したら、こんな可愛い系男子になるんだと思ってるんだぜ。





 かくして、エドアルドに無理やり連行され、俺はロンドスタットの宮殿に行くことになった。


 ひどいよーー!つらいよーー!帰りたいよーーーッ!!


















「ーーそういえば、体調はよろしいのか?」
 なんでこいつとイリスと3人で馬車なんだよ、ってむくれてる俺にエドアルドが言った。
「ああ、その節はお世話になりましたーー」
 礼が遅くなった……。
 いくらエロマスターでも礼儀はかいちゃだめだよな。

「ーーいや……」
 ん?変な顔だな……。なんだろう………。

「ーー夢にでてきたそうですが……」
「あーー、ああ。ぼんやりとしか覚えていないのだが、怪我をしていて、私が治したんだ……」
 うん、不思議な夢だったなーー、ちゃんと治した感覚があるっていうのか。

「ーー怪我…………、」
 エドアルドが口のなかで何かをつぶやいた。
「何か気になるのか?」
「いえーー」
 はっきりしないな……。珍しいーー。

「ーー私はこれからどうなるのだ?ハリード殿の弟君に会った後、魔法使いのところに連れて行ってもらえるのか?」
「ええ……。奴も合流できそうなら来るそうですよーー」
「キサラがーー……」
 エドアルドの言葉に、テンションがあがりかけた俺の脳内に、冷静な俺が水を差す。
 
 ーーちょっと待ってくれ。それは、元カノ今カノ(カノじゃないけどさ)の対決に、カレぴを投入するってやつか!?おいおいおい、危険なニオいしかしねーよ……。俺、どうしたらいいんだーー?





 そうそう、お隣りさんといえども、俺はロンドスタット大公領がどんなところかは知らない(そもそもうちの国が大きすぎるんだよなーー)。むしろいままで俺は、自国からほとんど出ることがなかった。

 王子様だから、誘拐問題もあるからねーー。むしろ、用事があるなら来てもらう側だし。

 けど、セディランは16歳になって、12歳のときに決められた婚約者のところで住むことになった。当時、弟の婚約者としてあがったのが、へブリーズ大公子ダウリーと、ロンドスタット大公子ハリードの二人だ。

 だけど、ダウリーは婚約者がいるからと辞退したらしい。両親も早くに亡くなり、頼みとする親族も少ない彼なら、エウローペー王家の後ろ盾は欲しかったはずなのにーー。


 でも、本人を目の前にして思うーー。

 あれは自分の力だけでのしあがれるタイプだ。うちの後ろ盾なんか必要ないんだろうな。むしろ、誰の下にもつかない、って顔してんよーー。

 それで、ハリードになったわけなんだけど、当初から仲良しだっていう噂は聞いたから、特に問題はなかったんだろう……。

 ーーでも、それがマキラの登場で揺らいだ。セディランとしても、誰か他に好きなひとができたら、あっさり捨てられるんだって感じたことだろう。
 
 戻りたいけど、信じられないーー。けど、好きなままーー。

 あーー、乙女だよ。乙女チック、りぼんぼんだ。


 ーーマジやったら復縁するのかなーー、ハリードも良い肩してたから、あっちもすごいんだろうな……。とか考えてしまう俺も、すっかりネコちゃんだな、みゃお~~ん。



「ギザギザの葉が多い」
 なんか、南国の葉っぱみたいだなーー。
「エウローペーの王都はやや寒いですからね」
 揺れる馬車でも、彼は体幹が揺らがないような座り方をする。なんか、姿勢がマジいいの。くずさないのかな、って不思議に思うよ。

「ーーなんです?」
 視線が気になったのか、エドアルドが俺を見る。
「エドアルド殿は姿勢がいい、とーー」
「ーーああ。くずさないようにしています。少しくずすだけでも腰が歪む。腰が歪めば、剣筋が変わりますからね」
「なるほどーー」
 ただのエロマスターじゃないんだな……。

「あれにも、髪の毛を切るように言っていますがーー」
「か、髪の毛?」
「ずっと束ねたりするのも、歪みの元です。あいつは少し猫背でしょーー?」
「はーー、そうだったか?」
 キサラも姿勢がきれいだけどな……。

「私に言わせれば、腰の使い方も悪いとは思いますがーー。ろくな振り方をしていないのでは?」
「………」
 おい、達人。感心したいのにできないんすけど……。すぐに下ネタぶっ込んでくるなよーー。

「筋はいいので、そのうちマシにはなるとは思いますがーー」
「いまでも十分だ」
 まったく、王子に何を言わせるんだよ。
「殿下もすぐに足を組まれますが、腰椎の捻転につながりますよ」

 ーー案外細かいんだな……。いや、普段の姿勢もおろそかにしないのが、達人の腕を維持するのに大切なことなのかーー。俺もうまくゴールできたときのコンディションを必ず保つために、色々やってたしなーー。


「ーーしかし、殿下は早々に婚約者を決めてよかったですね。ーーそれより前はコランティ卿のみで?」
「イリスには断られ続けてきたが、他の話は受けなかった」
 俺の言葉にイリスが苦笑する。うん、そうだろうなーー。

 ーーけど、アディオンーー。
 おまえも一歩間違えば、アートレ化だろ……。あそこで引いてよかったんだぞ。おまえ、死んじゃったけど、名誉は守れただろ?

「ーーふむ」
「なんだ?」
「いえ……。私の話を受けたときは、ヤケになっていた様子でもなかったのでーー」
「あ……」

「どちらかといえば、舐めていた、のでしょうーー?」
「ーーすみません……」
 図星だよ。
 男にヤラれるぐらいたいしたことないない、って思ってたからねーー、アホだよな、俺ーー。

「私は舐めたガキが大嫌いですからねーー」
「……」
 さよですか……。
「さすがに最後までやるような畏れ多いことは考えませんでしたが……」
「ーーやっぱり、やろうと思えばできたのか」
「もちろんーー」
 くすりっ、と笑われる。


 ーー思えば俺も軽率だったよな……。自分がフラグを立てちゃった責任感から、ルーカスを生かすためとはいえ、身体を差し出すなんてさ……。王族の自覚も薄かったんだろうなーー。

 キサラが、『王族には見えなかった』、っていうぐらいだから、エドアルドもおかしいと思ってたのかな……。そう思うと、うちの国のやつってみんなヤバいんだろうな(絶対に変だろ)。

 まあ、ゲームのシナリオで進んでる世界なんだから、シナリオ外の部分は曖昧なのかね……。




 ーーっていうか、最近、ここが『虹恋』の世界だって忘れがちだけど、ゲームの世界の人間にも続きがあるんだな……。いや、実は続編がでてて、そのシナリオで誰かが動いてるとかーー。

 俺、昔やってたモノクエってRPGゲームでも、俺がやってない間、自分達で動いたりしてるって信じてたっけーー。
 トイ◯ストーリーが好きな子供だったからなーー。

「ーーアンディ………」
 ぐすり……。
「は?」
「いや、昔の話だーー」
 訝しがるエドアルドの顔に、俺は慌てて無表情をつくる。

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