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第7話 突然ですが、出産です。
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「サキナ様お帰りなさいませ」
侍従長カルロが笑顔で迎えてくれる。サキナは緊張がとけ、肩の力が抜けた。
あ、サキナにとってはお父さんみたいな人なのね。
咲夜は感じた。
サキナに父はいない。お腹様と呼ばれる産みの親がいるだけである。父はわからないらしい。なかなか妊娠しなかった産みの親が、手当たり次第に男に手を出しできた子供だ。カルロが父ならよかったのに、と思ったこともある。
「エドアルド様もご足労いただきありがとうございます。戦場にて一騎当千と呼ばれる剣術を習えると、お坊ちゃま達も楽しみにしておりますよ」
いっきとうせんーー!
なにこいつ、そんなに強いわけ?
きっとカルロもお世辞を言っているのだろう。サキナは聞き流した。
「お兄様!」
弟のマキラが天使の笑顔で走ってきた。
やばい!超カワイイ!なんじゃこの破壊力!
エドアルドの目も丸くなっている。
おまえの汚い手、出すんじゃねえぞ!サキナは夫を睨む。
「お身体は大丈夫?ぼく荷物持つよ!」
かわいいー。
歳は14だったかなー。ふわふわの金の巻き毛に澄んだ翠色の美しい目。こんな弟欲しかったのよ!
うちの弟なんて卓球部でキノコみたいな髪型だし、家にいてもカードゲームしかしてないし、話しかけても無視だし、その上こづかいだけせびりにくる奴だったな。
まあ、咲夜が就職で家を出てからは、大学デビューして格好がチャラくなってたが。
「マキラも元気そうで安心したよ」
二人が並んで歩きだすと、エドアルドがマキラの近くに寄った。
サキナは眉を顰める。
この男、最低!
「旦那様、レインの荷物をもってください」
マキラに近寄るんじゃないわよ、本当腹立つな。
エドアルドは一瞬顔をしかめたが、後ろにいるレインの荷物を受け取る。
「みんな元気かい?」
「キサラ兄様は変わらず寄宿学校で、タキナもそこに行きたいみたい」
「マキラは行かないの?」
「寮ぐらしは性に合わない。そうだ、この間セリから手紙がきたよ」
マキラがサキナの手を握った。
「本当!ぼくが送ってもなかなかこなくてーー」
気にはなっているのだが。
サキナは階段を気をつけながらあがっていく。マキラが気を使いながら歩調を合わせてくれる。
「どんなことが書いてあったの?聞いてもいい?」
「普通のことだよ。食べ物だったり、季節の行事だったり」
「そう……」
妊娠はしていないのだろうか、サキナは、口にするか迷い、やめておいた。
「お兄様は幸せそうだね」
「はははっ」
まあ、目的は果たしている。
「お祖父様にも愛されてるしーー、いいなぁ」
そのとき、サキナの足がすべった。階段から踏みはずしたのだ。
何?
「サキナ!」
あら、はじめて名前で呼ばれたわ。
階段から落ち、後ろに倒れていくサキナを、エドアルドは力強く受けとめた。
「大丈夫か!」
落ちた衝撃が身体にかかる。サキナは腹を触った。
「サキナ様!エドアルド様!こちらへ!」
焦ったカルロの声が広間の天井まで響いた。
「ああ!」
サキナは医務室に運ばれた。
「い、いたっ!」
驚いた衝撃なのか、腹が痛みだした。
「痛い!いたっ!」
「サキナ!」
エドアルドがサキナの手をきつく握った。
「失礼します!さわりますよ!」
医師がサキナの腹や下を確認しだした。
「かなり出血しているーー。エドアルド様、部屋から出てください」
「はあ!?こんなときに出ろと!」
「部屋を無菌にしますから!もう赤子を出さないと!大公に連絡を!」
慌ただしくなる状況に震えながら、サキナは痛みに耐えていた。
ごめんね、あなたのこと道具だと思って大事にしなかったーー。ごめんねーー。
腹を撫でるように触った。
「サキナ!」
ナディアの声が遠く聞こえる。
「取り出します!」
侍従長カルロが笑顔で迎えてくれる。サキナは緊張がとけ、肩の力が抜けた。
あ、サキナにとってはお父さんみたいな人なのね。
咲夜は感じた。
サキナに父はいない。お腹様と呼ばれる産みの親がいるだけである。父はわからないらしい。なかなか妊娠しなかった産みの親が、手当たり次第に男に手を出しできた子供だ。カルロが父ならよかったのに、と思ったこともある。
「エドアルド様もご足労いただきありがとうございます。戦場にて一騎当千と呼ばれる剣術を習えると、お坊ちゃま達も楽しみにしておりますよ」
いっきとうせんーー!
なにこいつ、そんなに強いわけ?
きっとカルロもお世辞を言っているのだろう。サキナは聞き流した。
「お兄様!」
弟のマキラが天使の笑顔で走ってきた。
やばい!超カワイイ!なんじゃこの破壊力!
エドアルドの目も丸くなっている。
おまえの汚い手、出すんじゃねえぞ!サキナは夫を睨む。
「お身体は大丈夫?ぼく荷物持つよ!」
かわいいー。
歳は14だったかなー。ふわふわの金の巻き毛に澄んだ翠色の美しい目。こんな弟欲しかったのよ!
うちの弟なんて卓球部でキノコみたいな髪型だし、家にいてもカードゲームしかしてないし、話しかけても無視だし、その上こづかいだけせびりにくる奴だったな。
まあ、咲夜が就職で家を出てからは、大学デビューして格好がチャラくなってたが。
「マキラも元気そうで安心したよ」
二人が並んで歩きだすと、エドアルドがマキラの近くに寄った。
サキナは眉を顰める。
この男、最低!
「旦那様、レインの荷物をもってください」
マキラに近寄るんじゃないわよ、本当腹立つな。
エドアルドは一瞬顔をしかめたが、後ろにいるレインの荷物を受け取る。
「みんな元気かい?」
「キサラ兄様は変わらず寄宿学校で、タキナもそこに行きたいみたい」
「マキラは行かないの?」
「寮ぐらしは性に合わない。そうだ、この間セリから手紙がきたよ」
マキラがサキナの手を握った。
「本当!ぼくが送ってもなかなかこなくてーー」
気にはなっているのだが。
サキナは階段を気をつけながらあがっていく。マキラが気を使いながら歩調を合わせてくれる。
「どんなことが書いてあったの?聞いてもいい?」
「普通のことだよ。食べ物だったり、季節の行事だったり」
「そう……」
妊娠はしていないのだろうか、サキナは、口にするか迷い、やめておいた。
「お兄様は幸せそうだね」
「はははっ」
まあ、目的は果たしている。
「お祖父様にも愛されてるしーー、いいなぁ」
そのとき、サキナの足がすべった。階段から踏みはずしたのだ。
何?
「サキナ!」
あら、はじめて名前で呼ばれたわ。
階段から落ち、後ろに倒れていくサキナを、エドアルドは力強く受けとめた。
「大丈夫か!」
落ちた衝撃が身体にかかる。サキナは腹を触った。
「サキナ様!エドアルド様!こちらへ!」
焦ったカルロの声が広間の天井まで響いた。
「ああ!」
サキナは医務室に運ばれた。
「い、いたっ!」
驚いた衝撃なのか、腹が痛みだした。
「痛い!いたっ!」
「サキナ!」
エドアルドがサキナの手をきつく握った。
「失礼します!さわりますよ!」
医師がサキナの腹や下を確認しだした。
「かなり出血しているーー。エドアルド様、部屋から出てください」
「はあ!?こんなときに出ろと!」
「部屋を無菌にしますから!もう赤子を出さないと!大公に連絡を!」
慌ただしくなる状況に震えながら、サキナは痛みに耐えていた。
ごめんね、あなたのこと道具だと思って大事にしなかったーー。ごめんねーー。
腹を撫でるように触った。
「サキナ!」
ナディアの声が遠く聞こえる。
「取り出します!」
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