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強く育ったんだね…

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 店に戻ると、店内はお客様で溢れかえっていました。それでもクレームが出てないところを見ると、どれだけこの兄妹が有能かがわかりますね。
「渚ちゃん、お疲れ様。少し代わるよ。」
「結構です。私はもう昼を済ませたので。」
おう…お姉さん面目無いや。
それ以上かける言葉も見つからず、私は無言でテーブルを片付けました。


そして、二時を回った頃。
「渚、休め。」
「でも、皿がまだ…。」
ボスの人差し指が私を指す。
「そのための雑用だ。」

この人に言われるとなぜかイラッとくるけど、これは渚ちゃんを休ませるチャンスだ。

「はいっ、よろこんで!渚ちゃんは屋上へゴーだよ!」
渋い顔をする渚ちゃん。それでも、私がその背中を無理矢理階段へ押すと、
「…ありがとうございます、天宮さん。」

「二十分、休めよ。」
釘を刺すように休めと言うボス。
諦めたように力を抜いた渚ちゃん。
その姿が上に消えると、ボスは私に言った。

「あいつは真面目すぎるんだよ…。おまえも、皿洗ったら上行け。」
え、なんか休みずらいんですけど。働き者の渚ちゃんと休んでいいんですか。
そんな私の気持ちを汲めるほどこのボスが繊細なわけもなく、私は結局速攻で皿洗いを済ませて屋上へゴーしました。




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