2 / 16
2話 馬車に乗ると
しおりを挟む
ひとまず、状況を整理しなければ。
えっと、わたし……私は……えっと……。頭の中の記憶を探り、考える。私は誰だ?こんがらがってしまった頭を抱えていると、なんだか不安な気持ちが湧き上がってきた。
落ち着かなければ、と、大きく深呼吸をする。
「王女様。どうぞ馬車にお乗りください。」
階段を降りると、そこにはいつも通り大きくて豪華な馬車が用意されていた。私たち王族が使う馬車は、たいてい豪華なものばかりだ。お金の無駄遣いだと思うけれど、私は養われている身だからなにも言えない。
「わかったわ。」
私はそういうと1人で馬車に乗った。
どこに向かうのだろうか?
馬車に乗って休んでいると、少し落ち着くことができ、今自分の置かれている状況について少し整理することができた。
今の私の中には、2人分の記憶があるようだ。
1人目は、日本という国で暮らしていた女の子。最後の記憶は誰かにぶつかって線路の上に落ちるものだった。おそらく私は、死んでしまったのだろう。この私については、あまりよく覚えておらず、名前や顔さえ思い出せない。
2人目は、ローズ・ミズモト。今の私だ。この国、フラワー国の王女である私は、この国の唯一の王女だった。フラワー国。なんて可愛らしい名前なんだろう。この国の初代の王様は、お花を心の底から愛していたらしく、国の名前にそのまま採用されたらしい。その初代国王が、異世界からきたら勇者だったらしい。彼は、勇者であると同時に聖者でもあったらしく、戦っては魔法で体を癒し、無双状態だったようだ。
そんな血が、私の中に流れているのかと思うと、なんだかワクワクしてくる。
ミズモト、というのはおそらく水本だろうから、もしかしたら初代国王と私は同郷なのかもしれない。
まあ、そうだろう。だってこの世界は、日本人が作ったゲームの世界の中なのだから。昔プレイしたことがある、ラブゲットという名前の恋愛ゲーム。いまの私は、その中の悪役……。
なるほど。きっと私は、日本からこの世界に転生したんだろうなあ。落ち着いて考えると、なんだか色々わかってきた気がする。
「王女様。ここで降りていただけますか?」
御者が私に声をかける。
あたりを見渡すと、そこは森の中だった。こんなところに、いったい何の用があるというのだろうか?
「ええ。わかったわ。」
ゆっくりと馬車を降りると、馬車は走り出した。
「えっ。ちょっと待ってよ!」
馬車に向けて手を伸ばすも、もう遅い。馬車はもう遠くに行ってしまった。私の足ではもう追いつく事はできないだろう。
……はあ、こんな時こそ落ち着かなきゃ。
えっと、わたし……私は……えっと……。頭の中の記憶を探り、考える。私は誰だ?こんがらがってしまった頭を抱えていると、なんだか不安な気持ちが湧き上がってきた。
落ち着かなければ、と、大きく深呼吸をする。
「王女様。どうぞ馬車にお乗りください。」
階段を降りると、そこにはいつも通り大きくて豪華な馬車が用意されていた。私たち王族が使う馬車は、たいてい豪華なものばかりだ。お金の無駄遣いだと思うけれど、私は養われている身だからなにも言えない。
「わかったわ。」
私はそういうと1人で馬車に乗った。
どこに向かうのだろうか?
馬車に乗って休んでいると、少し落ち着くことができ、今自分の置かれている状況について少し整理することができた。
今の私の中には、2人分の記憶があるようだ。
1人目は、日本という国で暮らしていた女の子。最後の記憶は誰かにぶつかって線路の上に落ちるものだった。おそらく私は、死んでしまったのだろう。この私については、あまりよく覚えておらず、名前や顔さえ思い出せない。
2人目は、ローズ・ミズモト。今の私だ。この国、フラワー国の王女である私は、この国の唯一の王女だった。フラワー国。なんて可愛らしい名前なんだろう。この国の初代の王様は、お花を心の底から愛していたらしく、国の名前にそのまま採用されたらしい。その初代国王が、異世界からきたら勇者だったらしい。彼は、勇者であると同時に聖者でもあったらしく、戦っては魔法で体を癒し、無双状態だったようだ。
そんな血が、私の中に流れているのかと思うと、なんだかワクワクしてくる。
ミズモト、というのはおそらく水本だろうから、もしかしたら初代国王と私は同郷なのかもしれない。
まあ、そうだろう。だってこの世界は、日本人が作ったゲームの世界の中なのだから。昔プレイしたことがある、ラブゲットという名前の恋愛ゲーム。いまの私は、その中の悪役……。
なるほど。きっと私は、日本からこの世界に転生したんだろうなあ。落ち着いて考えると、なんだか色々わかってきた気がする。
「王女様。ここで降りていただけますか?」
御者が私に声をかける。
あたりを見渡すと、そこは森の中だった。こんなところに、いったい何の用があるというのだろうか?
「ええ。わかったわ。」
ゆっくりと馬車を降りると、馬車は走り出した。
「えっ。ちょっと待ってよ!」
馬車に向けて手を伸ばすも、もう遅い。馬車はもう遠くに行ってしまった。私の足ではもう追いつく事はできないだろう。
……はあ、こんな時こそ落ち着かなきゃ。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
23
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる