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扉
しおりを挟む風がひゅうひゅうと吹き付け、木はざわざわとざわめく。まるで僕らを阻むかのようだ。二人の親友の元気がだんだんなくなっていくのがわかる。
「ねえ、いくの、やめない?」
そう切り出したのは明美ちゃんだった。この空気に、恐怖を感じてしまったのだろう。
「やだね。俺は一人でもいくぜ?」
明美ちゃんにそっと耳打ちをする。
「駿を一人にはできないけど、きっと駿も帰ってくれないよ。僕らも行こう。」
震える声でそう伝えると、明美ちゃんも
「うん、うちら、死ぬときは一緒だよね?」
と返事をくれた。だいじょうぶ、死なないから。そう言いたかったけど、そういって慰めたかったけど、明らかに何かが違うこの森の中で、そんな不確かなことは言えなかった。
「こ、ここか?」
「そう、みたいね。」
「今にも崩れそうだね?入るの?」
駿は少し顔をしかめて考えていたがすぐに笑顔で
「ここまで来たなら入るっきゃねえ!」
と大きな声で叫んだ。
とても大きな扉の前に立つ。駿が、俺が開けてやるといってギィギィと音を立てながら扉を開けた。長年ほったらかされていなかったのだろうか?扉の上に積もっていたであろう埃が降ってきて、咳き込む羽目になった。
「ホコリ溜まりすぎい…。」
明美ちゃんが文句を言うと、駿はそれに頷いた。
「ほんとにね。」
僕も相槌を打つ。ゴホゴホ、と咳をしながら。
「じゃ、入るぜ。」
明美ちゃんは駿の腕にしがみついていて、もう片方の手で僕もつかもうと僕を引っ張った。明美ちゃんに引っ張られて、あっさりと館の中に入る。腕は明美ちゃんに拘束されたまま、中に進んでいく。やはり、埃っぽい。
「てか、ちょっとさみいな。」
「うん。寒いね。大丈夫?明美ちゃん。」
「う、うん。」
風が廊下をひゅうひゅうと吹いていて、少し肌寒く感じた。
ギイイイイ、バタン!
突然、後ろから大きな音がした!僕らが入ってきた入り口の方だ。…ま、まさか。
明美ちゃんの腕を振り払い、二人を残して駆け戻る。
扉は、閉まっていた。全力で押すも、開かない。今度は引いてみた。勿論、全力で。それでも、扉が開くことはなかった。二人が後から追いかけてきて手伝ってくれたのだが、それでも扉はびくともしなかった。あたりを見渡す。人が通れそうな窓は、ない。今気づいた。この家の窓はすべて、鉄格子がはめられているのだ。出られないと言う事実に、恐怖する。
「いやあああ、出して、出してよっ!」
「落ち着け!」
二人が叫ぶ。落ち着けるものか。出られない、帰れないんだぞ!こんなことなら、こんなことなら、こんなところに来なければよかった…。駿を引きずってでも、うちに帰ればよかった。が、後悔をしてももう遅い。進むしかないのだ。前に。
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