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出陣と私にできること
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「ニグス地方とは、一体どんなところなのでしょうか?」
「はい。一言で言うと、ボコボコな地形をしているところでしょうか?」
…はい?ボコボコ?
「小さな山と谷がいくつも繋がっているところです。地の利がいる場所ですから、有利かもしれませんね。」
続けて皇帝陛下が尋ねる。
「武器になりそうなものは現地にあるのか?」
「いえ、特にはないかと。」
部屋に緊急事態を伝えにきた兵士が答える。そうか。武器がないのか。だったら…。
「恐れながら申し上げます。強い魔法使いを、数人だけ派遣してはどうでしょうか?」
「数人?何故だ?」
「はい。簡単に説明いたしますと、地の利を生かすためでございます。山と谷があるところなのでしょう?であれば、小さな谷から遠距離攻撃である魔法を打つほうが、潜水艦も入ってきにくいでしょうし。それは、大勢では見つかってしまう可能性が高くなります。」
少し長い説明を付け加えると、その場にいたものは納得の表情を見せ、アーシャは尊敬の目を私に向けた。
「ではマスト、お前の側近を連れてニグス地方に赴いてくれるか?」
「わかりました、皇帝陛下。」
マストの表情は、どこか嬉しそうだった。なんでだろ?誰かに頼られるのが嬉しいのかな?それとも…戦闘狂?な訳ないか。
「アーシャさん。一緒に行きますか?」
「本当に申し負けないのですが、お断りさせてください。私は戦場で生き残れるほど強くはありませんし、姫さ…お嬢様を守れるのは今となっては私しかいないのです。今となっては…。」
アーシャは申し訳なさそうに、そしてどこか悲しそうにそう言った。
翌日の早朝、マストは嬉しそうに側近と選ばれた20人をつれて出かけていった。
私たちの心配をよそに、マストは嬉しげな顔をして帰ってきた。少しくたびれたような顔をしていたが、マストの従者を含めみんなが無事に帰ってきた。よかった、と安心すると同時にまた仲間を失ってしまうのではないかと、不安だったから、ぽろぽろと涙が出てきた。
「ルミもまだまだ子供だということだ。」
皇帝陛下は、少し楽しそうに笑いながら私をみていた。
翌日。
「ジェミエール様。」
アーシャが話しかける。
「はい、なんでしょうか、アーシャ殿。」
「少々ご相談が。」
私が知らないうちに、アーシャはある決断をしていた。
「お嬢様を守れる存在になりたいのです。そして、私の死でお嬢様を苦しめたくはありません。」
アーシャはさらに強くなるため、ジェミエールに弟子入りしてナイフ投げを習うらしい。
「遠距離であればお嬢様のお側にいられますから。」
アーシャはそう行って笑った。アーシャが私を姫様と呼ぶことは二度となかった。
また、次の戦争が始まった。今度はアーシャも行くらしい。本当なら、今回は私が軍師としていかなければいけなかったはずだったのだが、アーシャが懇願してキャンベラ様に代わってもらったらしい。ショックだった。子供だから仕方がないのはわかってる。でも、隅っこでいいから、私も戦場に立たせて欲しかった。私もみんなを守りたかった。もう二度と、私たちの暮らしていたあの土地のように、人間たちに蹂躙されてしまわないように。
「私も、力が欲しい。」
「はい。一言で言うと、ボコボコな地形をしているところでしょうか?」
…はい?ボコボコ?
「小さな山と谷がいくつも繋がっているところです。地の利がいる場所ですから、有利かもしれませんね。」
続けて皇帝陛下が尋ねる。
「武器になりそうなものは現地にあるのか?」
「いえ、特にはないかと。」
部屋に緊急事態を伝えにきた兵士が答える。そうか。武器がないのか。だったら…。
「恐れながら申し上げます。強い魔法使いを、数人だけ派遣してはどうでしょうか?」
「数人?何故だ?」
「はい。簡単に説明いたしますと、地の利を生かすためでございます。山と谷があるところなのでしょう?であれば、小さな谷から遠距離攻撃である魔法を打つほうが、潜水艦も入ってきにくいでしょうし。それは、大勢では見つかってしまう可能性が高くなります。」
少し長い説明を付け加えると、その場にいたものは納得の表情を見せ、アーシャは尊敬の目を私に向けた。
「ではマスト、お前の側近を連れてニグス地方に赴いてくれるか?」
「わかりました、皇帝陛下。」
マストの表情は、どこか嬉しそうだった。なんでだろ?誰かに頼られるのが嬉しいのかな?それとも…戦闘狂?な訳ないか。
「アーシャさん。一緒に行きますか?」
「本当に申し負けないのですが、お断りさせてください。私は戦場で生き残れるほど強くはありませんし、姫さ…お嬢様を守れるのは今となっては私しかいないのです。今となっては…。」
アーシャは申し訳なさそうに、そしてどこか悲しそうにそう言った。
翌日の早朝、マストは嬉しそうに側近と選ばれた20人をつれて出かけていった。
私たちの心配をよそに、マストは嬉しげな顔をして帰ってきた。少しくたびれたような顔をしていたが、マストの従者を含めみんなが無事に帰ってきた。よかった、と安心すると同時にまた仲間を失ってしまうのではないかと、不安だったから、ぽろぽろと涙が出てきた。
「ルミもまだまだ子供だということだ。」
皇帝陛下は、少し楽しそうに笑いながら私をみていた。
翌日。
「ジェミエール様。」
アーシャが話しかける。
「はい、なんでしょうか、アーシャ殿。」
「少々ご相談が。」
私が知らないうちに、アーシャはある決断をしていた。
「お嬢様を守れる存在になりたいのです。そして、私の死でお嬢様を苦しめたくはありません。」
アーシャはさらに強くなるため、ジェミエールに弟子入りしてナイフ投げを習うらしい。
「遠距離であればお嬢様のお側にいられますから。」
アーシャはそう行って笑った。アーシャが私を姫様と呼ぶことは二度となかった。
また、次の戦争が始まった。今度はアーシャも行くらしい。本当なら、今回は私が軍師としていかなければいけなかったはずだったのだが、アーシャが懇願してキャンベラ様に代わってもらったらしい。ショックだった。子供だから仕方がないのはわかってる。でも、隅っこでいいから、私も戦場に立たせて欲しかった。私もみんなを守りたかった。もう二度と、私たちの暮らしていたあの土地のように、人間たちに蹂躙されてしまわないように。
「私も、力が欲しい。」
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