呪う人形

わかば

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呪う人形

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 この世界には、呪いの人形と呼ばれる人形がたくさんある。この話は、その中でも人形が自身の意思で呪う不思議なお話だ。

 私の名前は柿内かきうち 桃花とうか。今年で16になる、花の高校一年生だ。今日は友達と一緒に駅まで買い物に来ている。
「桃花、その服趣味悪いよ。」
「えっ、マジ?」
冗談なんかも言い合いながら楽しく買い物をしていた。
 途中、ふと目にとまった小さな人形があった。お姫様みたいに、すごく綺麗な人形。ピンクのドレスも素晴らしい。まるで恋でもしたかのように、私はその人形を売っている店に吸い寄せられていった。とても美しいのに、300円というものすごく安い。これは買うしかない!と思ったら私は、すぐにその人形を抱き抱えてレジに連れていった。
「あの、これください。」
「…。かしこまりました。プレゼントですか?」
「いいえ。包装はいいです。抱いて帰りたいので。」
なぜ少し見ただけでここまで執着するのかわからないほど、私はその人形に惚れ込んでいた。

 うちに帰ってきて、ただいまと叫んだ後、急いで自分の部屋への階段を駆け上る。早くこの子のスペースを作ってあげないと。散らかっている部屋のものを押しのけて、座布団を敷き、その上に人形を乗せた。座布団の色とドレスがにあって、余計に美しく見える。
「よし!これからよろしくね!」
名前なんてつけなくても、人形のことを愛して止まなかった。

 毎日毎日、眺めて過ごした。必要最低限の時間以外、人形と一緒に過ごした。けれど、五日めの夜、おかしなことが起こった。妹が、おかしな女の子が見えるというのだ。恐ろしい顔をしてこちらを睨む、女の子が。
「な、何をいっているの?」
両親が必死になだめるが、泣き止む気配は一向にない。冗談を言う子ではないのに…。その日だけは、人形に構っている余裕はなかった。
 翌日。妹は病院に運ばれた。急に気絶したのだ。後頭部には、何かで殴られた跡があった。自然にわかった。ああ、あの人形のせいだ。怒りと不安で肩が震えた。私の大切な妹によくも…!けれど、どうすればいいのかがよくわからない。除霊でもすればいいのだろうか?

 考える暇なんてなかった。目を覚ました妹は、いつか殺されてしまうという。
「二人きりで話がしたい。」
そう両親に提案すると、心配そうにしながらも承諾してくれた。
「ねえ、私の人形に何かしなかった?」
そう聞くと、妹は涙目になって、呟いた。
「お姉ちゃんをとられたと思って、悪口言った。」

 その夜、夢を見た。一緒に寝たからだろうか?妹が隣にいた。
「た、助けてお姉ちゃん…。」 
妹が弱々しく泣いている。その向かいには、怒った顔をした女の子が。
グチャリ。嫌な音が響く。妹の腕がもがれたのだ。グチャリ、グチャリ。ぼたぼたと、血が滴る。
「痛いよー!あああああー!」
妹が泣き叫んでいるのに、足が一歩も動かない。指先が震えている。
『桃花は私のものだ!』
そう言って女の人は消えていった。

 朝目覚めた時、私たち姉妹は冷や汗を垂らしながら抱き合って寝ていた。妹も同じ夢を見たという。妹曰く、毎日どこかをもがれていて、次は首がもがれるのだという。
「今夜は一緒に寝ましょう。今までよく頑張ったわね。」
浅間を優しく撫でながら囁くと、妹はまた泣き出してしまった。私が人形を買ったせいで、妹がこんな目にあっていたなんて。自分自身に対する怒りが湧いて止まなかった。

 その日の夜。ビクビクしながら眠りにつくと、昨日の通り女の子が現れた。
『今日も来てくれたんだ。』
恐ろしい顔。けれど、ここで引き下がるわけにはいかない。
「ねえ、頼みがあるの。」
妹を背に隠しながらいう。
『…何?』
「妹を許してやって欲しいの。」
そう告げた途端、女の子の顔がみるみると沈んだくらい顔になる。
『っ…。どう、して…?』  
「大切だからよ。ほら、謝って。」
「わ、悪口言ってごめんなさい…。」
どき、どき。時間がものすごくゆっくり流れているように感じられる。
『私こそ、ごめんね。』
血の匂いとともに、彼女は消えていった。妹とともにホッと息をつくと、二人とも腰が抜けてその場に座り込んだ。ああ、助かったんだねって。

 あの人形は、供養に出すことにした。きっと、あの子は愛に飢えていたんだろう。少し悲しく思いながら家に着くと。そこには
『どうして私を捨てたの?』
あの、女の子がいた。
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