この夢が醒めるまで──図書室から始まる恋の物語

蒼村 咲

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第7話 チーム分け

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「──体育祭、ですか?」

 私は隣を歩く佐伯先輩に聞き返す。閉室後、一緒に昇降口へ向かっている時だった。

「うん。うちの学校、体育祭は五月にやるんだよ。暑くなる前にって」

 曖昧に相槌を打ちながら思い返してみる。
 そういえば、春は体育祭、秋は文化祭ときっちりすみ分けができているという話を、入学直後のホームルームで聞いた気がしてきた。とはいうものの、それほど真剣に注意を払ってはいなかったというのが本当のところだったりする。
 読書好きのご多分に漏れず、私は運動全般があまり得意じゃない。ゆえに、体育祭にもあまり関心がないのだった。

「それで。僕のクラスと富永さんのクラス、同じチームに振り分けられてたよ」

 佐伯先輩はそう言って微笑んだ。

「同じチーム?」

 意味がよくわからず、私は首を傾げる。
 そんな私の反応を見て、佐伯先輩は一瞬動きを止めたものの、すぐにわかりやすく説明してくれた。

「うちの学校、学年ごとに十クラス、合計で三十クラスあるよね。それで、その三十クラスを縦割りして五チーム対抗で競い合うんだよ。各学年の二クラスずつが同じチームになる感じ」

 佐伯先輩の説明をもとに、チームの構成を頭の中で想像する。要は完全な縦割りクラス対抗ではなく、全校を五チームに分割したうえでの対抗戦になるということらしい。……でも、佐伯先輩はどうしてわざわざそんな話を?

「同じチームだと、何かいいことがあるんですか?」

 学年も性別も違うし、同じ種目に出ることはできないだろう。
 私が本気で首を傾げているのを見て、佐伯先輩は目を瞬いた。それから、思い出したように吹き出す。

「いや、特にないけど」

 そして笑いながらこちらを見た。

「……ないけど、ちょっと嬉しいなって」

「……!」

 私は思わず固まってしまった。──「嬉しい」?
 まさか、佐伯先輩にそんな風に思ってもらえるなんて思ってもみなかった。どうしよう、嬉しいを通り越して恐縮だった。それでも、何か言わなければと言葉を探す。

「あっ、てことは、先輩のこと心置きなく応援できるってことですよね!」

 勢い込んで言うと、佐伯先輩は苦笑した。

「まあ、僕は出ないんだけどね」

(そうだった……)

 私は内心頭を抱える。佐伯先輩は、激しい運動はできないという話だったのだ。忘れていたわけではないはずなのに。……私ってどうしてこうなんだろう。

「でも、僕は富永さんを心置きなく応援できるよ?」

 佐伯先輩が優しく言った。きっと先輩は、私の考えていることもわかったうえでフォローしてくれているに違いない。

「私も出たくないです……」

 ため息交じりに言うと、佐伯先輩は声を上げて笑った。
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