18 / 24
第2章・ロデベリス帝国革命 編
016:成立
しおりを挟む
僕がダリアン市長の前に座ると、少しの沈黙があってから僕の方から口を開く。
「単刀直入に話をさせて貰いますが、これから私の部下が乗っている船が港に到着します。その事に目を瞑って貰う事はできませんか?」
「ほぉここに大将軍の兵士の船がやってくると? それは確かに私の協力がなければ難しいだろうね」
ダリアン市長は直ぐに理解してくれた。
するとフッと笑いながら腕を組んで下を見る。
そしてスーッと息を吸ってから顔を上げて、フーッと吐いてから口を開く。
「まぁその話に答えるかは君が私に出す報酬次第だ」
「それはそうでしょう。もちろんタダで協力して欲しいなんて言いませんよ」
「金なら人にやるほど持っているからな? それ以外の何かを出してくれ」
やっぱり金じゃあ動かないか。
そりゃあ港街を運営できる程の人間なんだから金には困っていないだろうな。
ここからが僕とダリアンの勝負か。
「あなた方は隣国の〈サルヴァード共和国〉にある〈カグン〉っていうギャングと抗争しているんですよね?」
「まさかそんなところまで調べているとは………それで我々の抗争と、今回の話は何か関係でもあるのか?」
そうモレウスは南方の隣国であるサルヴァード共和国に存在するギャング組織〈カグン〉と抗争をしている。
そこまで僕は調べ上げているのである。
そしてダリアン市長もカグンとの抗争をしている事については認めたのだが、その事と今回の交渉に関しては何か関係でもあるのかと聞いてくる。
「そこで我々から提供させて貰うのは〈魔力石〉と〈魔導石〉の2つです」
「なにっ!? 魔力石に魔導石だと!?」
僕が港を開いて貰う代わりに提供すると言ったのは、魔力石と魔導石という2つである。
それを聞いたダリアン市長は驚きで立ち上がる。
この魔力石の魔導石というのは、まず魔力石というのは魔力が足りない人が持つ魔力を増強させる石で、魔導石は石に魔力を通す事で得意属性以外の魔法を使用する事ができる物だ。
どちらも買うとなると大金だし、それなりに入手が困難なので貴重な品である。
「そんな嘘に惑わされるほど、私の頭はまだ耄碌していないわ。嘘を吐くのなら、もっとまともな話をしろ!」
「嘘だと思われるのも当然の事でしょう。そこで信用して貰う為に、こちらを用意しました………こちらを頭金という事になりませんか?」
さすがにそんなわけが無いと言って、ダリアン市長は体を横にして僕の方を見ない。
そこで信用を得る為に懐から魔導石と魔力石を、テーブルに数個ほど置くのである。
それを見たダリアン市長は、さっきまで落ち着いていたのに前のめりになって驚いている。
「これは本当に魔導石と魔力石なのか?」
「もちろん確かめて貰って構いませんよ。私たちは、そんなつまらない嘘を吐くような人間じゃないので」
「それじゃあ確認させて貰う………」
やはりまだダリアン市長は、これが本物なのかと疑っているみたいだ。
それもそうだろう。
若造の懐から何個も高価な魔石が出てくるのだから。
僕としても確認して貰って構わないので、ニコニコしながら見て下さいと確認を許可する。
するとダリアン市長は部下と一緒に、これが本物なのかという確認をするのである。
そして段々とダリアン市長と部下の顔が変わる。
これが本物の魔導石と魔力石だと確認できたからだ。
「確かに本物の様だが、これ以上の量の魔石を本当に手に入るのか?」
「もう既に船に積んで向かっています。その全てをダリアン市長………いやモレウスに献上します」
「その全てだと? どれだけの量の魔石があるんだ?」
「こちらが用意しているのは魔導石30個に、魔力石を150個ほどですね」
用意している量を聞いたダリアン市長は、スーッと息を吸い込んでからフーッと息を吐いてテーブルをジッと見つめて何かを考えている。
それもそのはずだ。
魔導石30個に魔力石150個って日本円にしたら、日本の国家予算に匹敵するレベルの金額だからだ。
「分かった! 君との交渉を受諾しよう………この港に君の部下の船が何隻来ようと見て見ぬ振りをする。そして帝国軍にも密告はしない!」
「素晴らしい判断をしていただき感謝します。必ず魔石をお渡ししますので、よろしくお願いします」
ここに来て魔石を手にするという選択をした。
僕が想定していたよりも遥かに楽に済んだが、だからと言って魔石を失ったのも大きい。
それでも国を手に入れる為に売り払ったと思えば、それはそれで納得する事ができるだろう。
そして交渉が成立した事で僕とダリアン市長は、グッと堅い握手をするのである。
「それでどうして、そんなに魔石を集められたんだ?」
「まぁ全ては伝えられませんが、簡単に言いますと魔石の鉱脈を当てたんです」
「そりゃあついてるな」
嘘は言っていない。
僕が将軍になったばかりの時に攻めた島が、ちょうど魔石の鉱脈があるところだった。
そこで大量に集めていたんだ。
加工には時間がかかったが、それでも今となっては最大の武器になったから良かった。
なんとか交渉が終わった僕たちはダリアン市長を見送って、今日だけは料理屋に行く事にした。
レジーヌは僕とデートだと言って喜んでいる。
そんなレジーヌを見て何とも言えない表情に、僕はなってしまっているのである。
「マスターっ! 今日は良い商談ができましたね!」
「そうだねぇ。レジーヌ、ちょっと酔いすぎなんじゃないのか?」
「そんな事ないれすよ! もっともっと飲めますよ!」
「飲んで良いとは言ったけど、そんなに酔うほど飲まなくても………」
レジーヌはガッツリ酔ってしまっている。
ここまで酒が弱いとは思っていなかった。
騒ぐだけ騒いだ後、レジーヌはテーブルに突っ伏す形でガーガーッと寝始めたのである。
これをどうやって運んだら良いのかと、僕が困っていると後ろから男性に声をかけられた。
「運ぶの手伝いましょうか?」
「あっ全然だい…じょうぶです」
振り返って断ろうとしたら、そこに立っていたのは大柄の男でゆうに2メートルを超えている大男だ。
格好からして帝国軍の軍人だろう。
それにしたって全身から死のオーラが出ている。
明らかに何人も殺している猛者の軍人だ。
「ここら辺は犯罪者が多いからね。君たちみたいな若いカップルが狙われたりしているからね」
「そ それは危険ですね。気をつけますね………」
「どちらから来たのかな? それともここに済んでるのかな?」
「カプリバ王国からの旅行です」
どうなってるんだ?
何で尋問みたいな事を受けてるんだ?
「そうか、カプリバ王国からか!」
必要以上な質問に僕たちが困っていると、この男の部下であろう男が「二クロス将軍っ!」と呼ぶ。
その瞬間、僕はゾッとした。
この二クロス将軍とは、このロデベリス帝国において唯一の大将軍にして大陸でも屈指の騎士である。
まさかそんな人間が目の前にいるとは思わなかった。
顔色を変えたら疑われると思って平然を保つ。
「それじゃあ本当に気をつけるんだよ」
「分かりました! わざわざ注意喚起していただきありがとうございます!」
そういうと二クロス将軍は不気味な笑みを浮かべながら僕たちの前から居なくなる。
「単刀直入に話をさせて貰いますが、これから私の部下が乗っている船が港に到着します。その事に目を瞑って貰う事はできませんか?」
「ほぉここに大将軍の兵士の船がやってくると? それは確かに私の協力がなければ難しいだろうね」
ダリアン市長は直ぐに理解してくれた。
するとフッと笑いながら腕を組んで下を見る。
そしてスーッと息を吸ってから顔を上げて、フーッと吐いてから口を開く。
「まぁその話に答えるかは君が私に出す報酬次第だ」
「それはそうでしょう。もちろんタダで協力して欲しいなんて言いませんよ」
「金なら人にやるほど持っているからな? それ以外の何かを出してくれ」
やっぱり金じゃあ動かないか。
そりゃあ港街を運営できる程の人間なんだから金には困っていないだろうな。
ここからが僕とダリアンの勝負か。
「あなた方は隣国の〈サルヴァード共和国〉にある〈カグン〉っていうギャングと抗争しているんですよね?」
「まさかそんなところまで調べているとは………それで我々の抗争と、今回の話は何か関係でもあるのか?」
そうモレウスは南方の隣国であるサルヴァード共和国に存在するギャング組織〈カグン〉と抗争をしている。
そこまで僕は調べ上げているのである。
そしてダリアン市長もカグンとの抗争をしている事については認めたのだが、その事と今回の交渉に関しては何か関係でもあるのかと聞いてくる。
「そこで我々から提供させて貰うのは〈魔力石〉と〈魔導石〉の2つです」
「なにっ!? 魔力石に魔導石だと!?」
僕が港を開いて貰う代わりに提供すると言ったのは、魔力石と魔導石という2つである。
それを聞いたダリアン市長は驚きで立ち上がる。
この魔力石の魔導石というのは、まず魔力石というのは魔力が足りない人が持つ魔力を増強させる石で、魔導石は石に魔力を通す事で得意属性以外の魔法を使用する事ができる物だ。
どちらも買うとなると大金だし、それなりに入手が困難なので貴重な品である。
「そんな嘘に惑わされるほど、私の頭はまだ耄碌していないわ。嘘を吐くのなら、もっとまともな話をしろ!」
「嘘だと思われるのも当然の事でしょう。そこで信用して貰う為に、こちらを用意しました………こちらを頭金という事になりませんか?」
さすがにそんなわけが無いと言って、ダリアン市長は体を横にして僕の方を見ない。
そこで信用を得る為に懐から魔導石と魔力石を、テーブルに数個ほど置くのである。
それを見たダリアン市長は、さっきまで落ち着いていたのに前のめりになって驚いている。
「これは本当に魔導石と魔力石なのか?」
「もちろん確かめて貰って構いませんよ。私たちは、そんなつまらない嘘を吐くような人間じゃないので」
「それじゃあ確認させて貰う………」
やはりまだダリアン市長は、これが本物なのかと疑っているみたいだ。
それもそうだろう。
若造の懐から何個も高価な魔石が出てくるのだから。
僕としても確認して貰って構わないので、ニコニコしながら見て下さいと確認を許可する。
するとダリアン市長は部下と一緒に、これが本物なのかという確認をするのである。
そして段々とダリアン市長と部下の顔が変わる。
これが本物の魔導石と魔力石だと確認できたからだ。
「確かに本物の様だが、これ以上の量の魔石を本当に手に入るのか?」
「もう既に船に積んで向かっています。その全てをダリアン市長………いやモレウスに献上します」
「その全てだと? どれだけの量の魔石があるんだ?」
「こちらが用意しているのは魔導石30個に、魔力石を150個ほどですね」
用意している量を聞いたダリアン市長は、スーッと息を吸い込んでからフーッと息を吐いてテーブルをジッと見つめて何かを考えている。
それもそのはずだ。
魔導石30個に魔力石150個って日本円にしたら、日本の国家予算に匹敵するレベルの金額だからだ。
「分かった! 君との交渉を受諾しよう………この港に君の部下の船が何隻来ようと見て見ぬ振りをする。そして帝国軍にも密告はしない!」
「素晴らしい判断をしていただき感謝します。必ず魔石をお渡ししますので、よろしくお願いします」
ここに来て魔石を手にするという選択をした。
僕が想定していたよりも遥かに楽に済んだが、だからと言って魔石を失ったのも大きい。
それでも国を手に入れる為に売り払ったと思えば、それはそれで納得する事ができるだろう。
そして交渉が成立した事で僕とダリアン市長は、グッと堅い握手をするのである。
「それでどうして、そんなに魔石を集められたんだ?」
「まぁ全ては伝えられませんが、簡単に言いますと魔石の鉱脈を当てたんです」
「そりゃあついてるな」
嘘は言っていない。
僕が将軍になったばかりの時に攻めた島が、ちょうど魔石の鉱脈があるところだった。
そこで大量に集めていたんだ。
加工には時間がかかったが、それでも今となっては最大の武器になったから良かった。
なんとか交渉が終わった僕たちはダリアン市長を見送って、今日だけは料理屋に行く事にした。
レジーヌは僕とデートだと言って喜んでいる。
そんなレジーヌを見て何とも言えない表情に、僕はなってしまっているのである。
「マスターっ! 今日は良い商談ができましたね!」
「そうだねぇ。レジーヌ、ちょっと酔いすぎなんじゃないのか?」
「そんな事ないれすよ! もっともっと飲めますよ!」
「飲んで良いとは言ったけど、そんなに酔うほど飲まなくても………」
レジーヌはガッツリ酔ってしまっている。
ここまで酒が弱いとは思っていなかった。
騒ぐだけ騒いだ後、レジーヌはテーブルに突っ伏す形でガーガーッと寝始めたのである。
これをどうやって運んだら良いのかと、僕が困っていると後ろから男性に声をかけられた。
「運ぶの手伝いましょうか?」
「あっ全然だい…じょうぶです」
振り返って断ろうとしたら、そこに立っていたのは大柄の男でゆうに2メートルを超えている大男だ。
格好からして帝国軍の軍人だろう。
それにしたって全身から死のオーラが出ている。
明らかに何人も殺している猛者の軍人だ。
「ここら辺は犯罪者が多いからね。君たちみたいな若いカップルが狙われたりしているからね」
「そ それは危険ですね。気をつけますね………」
「どちらから来たのかな? それともここに済んでるのかな?」
「カプリバ王国からの旅行です」
どうなってるんだ?
何で尋問みたいな事を受けてるんだ?
「そうか、カプリバ王国からか!」
必要以上な質問に僕たちが困っていると、この男の部下であろう男が「二クロス将軍っ!」と呼ぶ。
その瞬間、僕はゾッとした。
この二クロス将軍とは、このロデベリス帝国において唯一の大将軍にして大陸でも屈指の騎士である。
まさかそんな人間が目の前にいるとは思わなかった。
顔色を変えたら疑われると思って平然を保つ。
「それじゃあ本当に気をつけるんだよ」
「分かりました! わざわざ注意喚起していただきありがとうございます!」
そういうと二クロス将軍は不気味な笑みを浮かべながら僕たちの前から居なくなる。
1
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜
深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。
処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。
なぜなら彼女は――
前世で“トップインフルエンサー”だったから。
処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。
空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。
タイトルは――
『断罪なう』。
王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。
すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、
国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。
そして宣言される、前代未聞のルール。
支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。
処刑台は舞台へ。
断罪はエンタメへ。
悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。
これは、
処刑されるはずだった悪役令嬢が、
“ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。
支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、
それとも――自由か。
クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる
アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。
でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。
でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。
その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。
そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる