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第4章・郡山市の戦い 編
094:血反吐
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094:血反吐
月虎隊の人間たちが森の中を進んでいると、周りからドドドドッと馬の足音が聞こえてくるのである。
そして聞こえてくるなり矢が飛んでくる。
安土伍長が「左から来るぞ!」と叫ぶ。
饒平名が先頭を切って現れた。
そして饒平名は「見つけたぞ、月虎隊」と不気味な笑みを浮かべるのである。
騎馬隊は「取り囲め!」「1人も逃すな!」と歩兵たちを囲んで掃討しようとする。
こうなったら俺だけでも逃がそうと考える。
しかし周りを見渡しても俺を抱えている智を見失う。
どこにいるのかと思ったら、岩陰にヒッソリと俺を抱えたまま隠れていたのである。
すると拝田伍長は全てを悟って前に出る。
「おい、そこの挑発野郎っ! テメェが隊長だな。良いのか? こんなに緩い包囲で、俺たちは4万の倉智軍に風穴を開けて武将を討った月虎隊だぞ? 俺たちを甘く見てるなら、その首………地面に落ちるぞ」
「やれるものならやってみれば良い」
「こんなところで死ぬようなタマじゃねぇぞ、この月虎隊はな! 分かってんな、テメェら………月虎隊、脱出だぁ!!!!」
そう叫ぶと月虎隊の隊員たちは山を降るように逃げようとするのである。
これは自分たちに意識を向けさせて、俺たちを脱出させようとしているのだ。
とにかく下に向かって降るようにいう。
すると分かりやすく饒平名軍の騎馬隊が居なくなる。
この隙に智たちは山の上に登っていく。
矢沼伍長たちを追っていた饒平名だったが、途中で追跡を止めてしまったのである。
副将たちは困惑しながら「どうかしましたか? 追われぬのですか?」と聞く。
「あの隊の隊長は、最上さまを斬った少年兵だったはずだ。あの中には見えなかったぞ?」
「奴らは、いくつかに分かれて逃げていました。なので他のところにいるのでは無いでしょうか」
「ならアイツらの士気の高さはなんだ………上か?」
俺の姿を見つけられない饒平名は、俺がどこにいるのかと副官に聞くのである。
すると他のところにいるかもしれないと答える。
しかしそれじゃあさっきの士気の高さは、あまりにも高すぎると思っている。
饒平名はギョロッと山の上の方に目ん玉を動かす。
一方で山を登っている智たちは、息を切らしながら登っているのである。
正は最上に背中を斬られ足が止まりそうになる。
心配をした智が「大丈夫か?」と聞く。
「直ぐに追いつくから心配は………兄ちゃん!? その矢はなに………」
「正、頑張ろうや! いつもの隊長みたいに」
正が顔を上げると智が居るのだが、智の横っ腹には2本の矢が深く刺さっていたのである。
しかし兄貴らしいところを見せたいのと、こんなところで倒れるわけにはいかないと歯を食いしばる。
必死に逃げている智たちの後ろに、饒平名軍が近づき始めているのである。
饒平名軍の兵士が「血痕を見つけたぞ!」と叫ぶ。
周りの状況を部下たちが報告する。
「足跡が2つありまして、足跡の深さから2人のうち1人は人を担いでいる可能性があります」
「よって2人ないし、3人の兵士が山を登って逃走していると考えられます!」
部下たちの報告に饒平名は「それで間違いは無い」と俺を担いで逃げているのだと断定する。
「しかし1つだけ分からぬ事があります………この血の量は下手すれば致死量です。なぜ2人が歩けるのかが不思議です!」
と報告するのである。
その通りであり、智と正は出血から意識が飛びそうになりながら山中を登っている。
足元を取られ正が倒れ込む。
すると不思議なくらい眠気が襲ってきた。
そんな状態な2人を追い込むように、背後からドドドドッという音が聞こえるのである。
追っ手が来たのだと2人は死を覚悟する。
しかし正は智に「隊長の心臓は動いてる?」と聞く。
それに「あぁちゃんと動いてる」と答える。
「俺のも兄ちゃんのも動いてる。だったら、いつもの隊長なら言うと思う………まだ何も終わってねぇって!」
正は諦めたように思われたのだが、まだ心臓が動いてるからには終わってないと言うのである。
すると正は俺に感化されていると笑う。
「兄ちゃん、矢は骨で止まってるんだよな?」
「あぁまだまだ歩ける!」
「じゃあ俺たちは、ここで別れよう!」
正は自分が囮になるから、今のうちに血を拭いて逃げるように言うのである。
しかし智は、そんな事をしたら正が死ぬ可能性が高くなると指摘した。
「俺たちで隊長を守り抜こう! 月虎隊の人間として、人生の先輩として………へへへ、変な顔しないでよ。奴らをまいたら、兄ちゃんたちの後を追って合流する。死ぬ気は、さらさらねぇよ………隊長を頼んだよ、兄ちゃん!」
この言葉を最後に2人は道を分かれた。
智は俺を背負ったまま山を登るのであるが、その途中で口からも傷口からも大量の出血をする。
もしかしたらと言うよりも絶対に、この2本の矢は骨を貫通して内臓を傷つけている。
しかし「こんなところでくたばるかよ……」と歯を食いしばって歩き続ける。
そして遂に俺は目を覚ました。
目を覚ました俺は少し開けたところで仰向けになって横に寝かされていた。
横をパッと見ると隣には智も横になっていた。
「智か……今、少し子供の頃の夢を見てたよ」
「おぉ奇遇だなぁ。俺も子供の頃の夢を見てた」
そんな会話をした瞬間、俺は最上の事を思い出す。
体が反射的に起きあがろうとするのだが、傷口がズキッと痛むのである。
すると智が「まだ寝てた方が良い」という。
しかし俺は状況が理解できずに、どうなっているのかと説明するように智に言う。
智は自分たちに何があったのかを俺に説明した。
「俺を逃す為に、皆んな体を張ってんのか! くっそ、俺は何を寝てんだよ………それじゃあ田野丘少将たちはどうなったんだ! 最上は、そのままか?」
「しばらく最上たちの話は止めにしないか? ソイツらの話をするだけで、治る傷も治らなくなりそうだ」
「お前、深手を負ってんのか……ちょっと見せてろ」
「大丈夫だ、お前のほどの重症じゃねぇ………ただ今は少しだけ、楽しい話がしたいんだ」
智は最上たちの話をするのは止めないかという。
今は楽しい話をして癒したいのだと言うのである。
「隊長の両親は幼い時に亡くなったって聞いたけど、よく軍人になろうって思えたな」
「まぁ父ちゃんとの約束もあったし、俺自身の違いもあったからな………」
「隊長は、今も少年だけど昔の話が聞きたいな」
「そうか? それなら話すが少し長くなるぞ」
そういうと俺は智に俺の昔話を少し話す。
月虎隊の人間たちが森の中を進んでいると、周りからドドドドッと馬の足音が聞こえてくるのである。
そして聞こえてくるなり矢が飛んでくる。
安土伍長が「左から来るぞ!」と叫ぶ。
饒平名が先頭を切って現れた。
そして饒平名は「見つけたぞ、月虎隊」と不気味な笑みを浮かべるのである。
騎馬隊は「取り囲め!」「1人も逃すな!」と歩兵たちを囲んで掃討しようとする。
こうなったら俺だけでも逃がそうと考える。
しかし周りを見渡しても俺を抱えている智を見失う。
どこにいるのかと思ったら、岩陰にヒッソリと俺を抱えたまま隠れていたのである。
すると拝田伍長は全てを悟って前に出る。
「おい、そこの挑発野郎っ! テメェが隊長だな。良いのか? こんなに緩い包囲で、俺たちは4万の倉智軍に風穴を開けて武将を討った月虎隊だぞ? 俺たちを甘く見てるなら、その首………地面に落ちるぞ」
「やれるものならやってみれば良い」
「こんなところで死ぬようなタマじゃねぇぞ、この月虎隊はな! 分かってんな、テメェら………月虎隊、脱出だぁ!!!!」
そう叫ぶと月虎隊の隊員たちは山を降るように逃げようとするのである。
これは自分たちに意識を向けさせて、俺たちを脱出させようとしているのだ。
とにかく下に向かって降るようにいう。
すると分かりやすく饒平名軍の騎馬隊が居なくなる。
この隙に智たちは山の上に登っていく。
矢沼伍長たちを追っていた饒平名だったが、途中で追跡を止めてしまったのである。
副将たちは困惑しながら「どうかしましたか? 追われぬのですか?」と聞く。
「あの隊の隊長は、最上さまを斬った少年兵だったはずだ。あの中には見えなかったぞ?」
「奴らは、いくつかに分かれて逃げていました。なので他のところにいるのでは無いでしょうか」
「ならアイツらの士気の高さはなんだ………上か?」
俺の姿を見つけられない饒平名は、俺がどこにいるのかと副官に聞くのである。
すると他のところにいるかもしれないと答える。
しかしそれじゃあさっきの士気の高さは、あまりにも高すぎると思っている。
饒平名はギョロッと山の上の方に目ん玉を動かす。
一方で山を登っている智たちは、息を切らしながら登っているのである。
正は最上に背中を斬られ足が止まりそうになる。
心配をした智が「大丈夫か?」と聞く。
「直ぐに追いつくから心配は………兄ちゃん!? その矢はなに………」
「正、頑張ろうや! いつもの隊長みたいに」
正が顔を上げると智が居るのだが、智の横っ腹には2本の矢が深く刺さっていたのである。
しかし兄貴らしいところを見せたいのと、こんなところで倒れるわけにはいかないと歯を食いしばる。
必死に逃げている智たちの後ろに、饒平名軍が近づき始めているのである。
饒平名軍の兵士が「血痕を見つけたぞ!」と叫ぶ。
周りの状況を部下たちが報告する。
「足跡が2つありまして、足跡の深さから2人のうち1人は人を担いでいる可能性があります」
「よって2人ないし、3人の兵士が山を登って逃走していると考えられます!」
部下たちの報告に饒平名は「それで間違いは無い」と俺を担いで逃げているのだと断定する。
「しかし1つだけ分からぬ事があります………この血の量は下手すれば致死量です。なぜ2人が歩けるのかが不思議です!」
と報告するのである。
その通りであり、智と正は出血から意識が飛びそうになりながら山中を登っている。
足元を取られ正が倒れ込む。
すると不思議なくらい眠気が襲ってきた。
そんな状態な2人を追い込むように、背後からドドドドッという音が聞こえるのである。
追っ手が来たのだと2人は死を覚悟する。
しかし正は智に「隊長の心臓は動いてる?」と聞く。
それに「あぁちゃんと動いてる」と答える。
「俺のも兄ちゃんのも動いてる。だったら、いつもの隊長なら言うと思う………まだ何も終わってねぇって!」
正は諦めたように思われたのだが、まだ心臓が動いてるからには終わってないと言うのである。
すると正は俺に感化されていると笑う。
「兄ちゃん、矢は骨で止まってるんだよな?」
「あぁまだまだ歩ける!」
「じゃあ俺たちは、ここで別れよう!」
正は自分が囮になるから、今のうちに血を拭いて逃げるように言うのである。
しかし智は、そんな事をしたら正が死ぬ可能性が高くなると指摘した。
「俺たちで隊長を守り抜こう! 月虎隊の人間として、人生の先輩として………へへへ、変な顔しないでよ。奴らをまいたら、兄ちゃんたちの後を追って合流する。死ぬ気は、さらさらねぇよ………隊長を頼んだよ、兄ちゃん!」
この言葉を最後に2人は道を分かれた。
智は俺を背負ったまま山を登るのであるが、その途中で口からも傷口からも大量の出血をする。
もしかしたらと言うよりも絶対に、この2本の矢は骨を貫通して内臓を傷つけている。
しかし「こんなところでくたばるかよ……」と歯を食いしばって歩き続ける。
そして遂に俺は目を覚ました。
目を覚ました俺は少し開けたところで仰向けになって横に寝かされていた。
横をパッと見ると隣には智も横になっていた。
「智か……今、少し子供の頃の夢を見てたよ」
「おぉ奇遇だなぁ。俺も子供の頃の夢を見てた」
そんな会話をした瞬間、俺は最上の事を思い出す。
体が反射的に起きあがろうとするのだが、傷口がズキッと痛むのである。
すると智が「まだ寝てた方が良い」という。
しかし俺は状況が理解できずに、どうなっているのかと説明するように智に言う。
智は自分たちに何があったのかを俺に説明した。
「俺を逃す為に、皆んな体を張ってんのか! くっそ、俺は何を寝てんだよ………それじゃあ田野丘少将たちはどうなったんだ! 最上は、そのままか?」
「しばらく最上たちの話は止めにしないか? ソイツらの話をするだけで、治る傷も治らなくなりそうだ」
「お前、深手を負ってんのか……ちょっと見せてろ」
「大丈夫だ、お前のほどの重症じゃねぇ………ただ今は少しだけ、楽しい話がしたいんだ」
智は最上たちの話をするのは止めないかという。
今は楽しい話をして癒したいのだと言うのである。
「隊長の両親は幼い時に亡くなったって聞いたけど、よく軍人になろうって思えたな」
「まぁ父ちゃんとの約束もあったし、俺自身の違いもあったからな………」
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