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プロローグ ユウの死
第1話 「時間の神の過去」
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20xx年。日本は憲法改正され、再軍備宣言を果たし、世界有数の軍事大国となっていたが、国内の経済は過去の栄光を食いつぶす一方で衰退していた。少子高齢化は加速度的に進み、非正規雇用の社員は増加の一途を辿っていた。政府は人体の機械化計画を発動。労働生産性の向上と強靭な肉体を持つ兵士、眠らない人間の育成などを目標とした通称「サンライズ計画」。これが切り札になると誰もが確信していた。すがる希望をみな欲していたのだ。昔の人が神を信仰の対象としていたように新たな神の出現を人類は望んでいた。歴史は繰り返すというがこれもその一端にすぎない些細な出来事だった。そんな中、かねてから日本が抱えていた領土問題が発端となり遂に戦争状態になった。
「今日の天気は?」
「晴れのち曇り。時々ミサイルかな。ユウ。」
「そうか。敵国軍の魔の手は遂に本土までに及んだというのか」
「去年から始まった戦争。元々流行病で、家に引きこもる時間が長かったのに加えて戦時体制だから好きなことも満足にできなくなってもう大分時間が経つわね。」
「そうだな…俺は病気だからもう先は長くない。マリコ。俺のために無理はするな…。お前も安全ではないし、好きなことをする時間を見つけて好きなことをやってくれ、戦時体制とはいえやれることはあるはずだ…」
「そんなこと言わないで…。私はあなたの快復を待つわ。だからあなたを見放すなんてできない!」
「何を…。俺に助かる手立てなんかあるのか?」
「分からない…けど…」
マリコはユウの右手を両手でがっしり握った。
「お願いだからずっと一緒に居るって約束して!ユウ!」
「医者にも金がねぇから見放させれたし、税金で台所事情もボロボロだ。お金もほとんどない。金さえあれば助かったかもだが俺もマリコも金がなかったから結婚はおろか、病気を治すことさえできないんだ。もう諦めるしか…」
「嫌よ!風邪薬ならあるから呑んで!」
「んな適当に用意したところでなんの効果が…プラシーボ効果にも期待出来ないぞ。」
「何もしないよりマシじゃない?」
「悪あがきだ。もう諦めよう。俺は終わりだ…」
ガタッ
ユウは糸が切れた操り人形のように突然首を横にした。
「そんな!ユウ!ユウゥゥゥ!」
この日ユウは死んだ。
享年23歳。
流行病の悪化により死亡したと予測された。
”全ての因果が時間の神の手のひらの上だとしたらあなたは許せるだろうか?私なら許せないね。”
誰かの声がユウの耳に入ってきた。
ユウは朦朧としながら立ち上がった。
「ここはどこだ?」
辺りには見慣れない景色が広がっていた。
雄大な地平。
純白の雲。
広大な空。
全てがこの世のものとかけはなれた美しさだった。
「今日の天気は?」
「晴れのち曇り。時々ミサイルかな。ユウ。」
「そうか。敵国軍の魔の手は遂に本土までに及んだというのか」
「去年から始まった戦争。元々流行病で、家に引きこもる時間が長かったのに加えて戦時体制だから好きなことも満足にできなくなってもう大分時間が経つわね。」
「そうだな…俺は病気だからもう先は長くない。マリコ。俺のために無理はするな…。お前も安全ではないし、好きなことをする時間を見つけて好きなことをやってくれ、戦時体制とはいえやれることはあるはずだ…」
「そんなこと言わないで…。私はあなたの快復を待つわ。だからあなたを見放すなんてできない!」
「何を…。俺に助かる手立てなんかあるのか?」
「分からない…けど…」
マリコはユウの右手を両手でがっしり握った。
「お願いだからずっと一緒に居るって約束して!ユウ!」
「医者にも金がねぇから見放させれたし、税金で台所事情もボロボロだ。お金もほとんどない。金さえあれば助かったかもだが俺もマリコも金がなかったから結婚はおろか、病気を治すことさえできないんだ。もう諦めるしか…」
「嫌よ!風邪薬ならあるから呑んで!」
「んな適当に用意したところでなんの効果が…プラシーボ効果にも期待出来ないぞ。」
「何もしないよりマシじゃない?」
「悪あがきだ。もう諦めよう。俺は終わりだ…」
ガタッ
ユウは糸が切れた操り人形のように突然首を横にした。
「そんな!ユウ!ユウゥゥゥ!」
この日ユウは死んだ。
享年23歳。
流行病の悪化により死亡したと予測された。
”全ての因果が時間の神の手のひらの上だとしたらあなたは許せるだろうか?私なら許せないね。”
誰かの声がユウの耳に入ってきた。
ユウは朦朧としながら立ち上がった。
「ここはどこだ?」
辺りには見慣れない景色が広がっていた。
雄大な地平。
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広大な空。
全てがこの世のものとかけはなれた美しさだった。
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