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夜会④
ガゼボからの戻る途中、二人を探しに来たセインとバッタリ会った。
解けて乱れたオリヴィアの髪を見ると目を瞠り、すぐに責めるようにユージーンを見る。
流石にこの短時間で深い関係になったとは思えないが、走って行くオリヴィアを追いかけて行くユージーンを見たものもいるのだ。乱れた髪で戻れば邪推されかねない。
「殿下……この格好で会場まで戻せませんよ、帰るにしても誰に会うかわかりません。オリヴィア様の名誉に関わります」
「わかってる。すまないが整えてもらえるか?」
「はぁぁ……分かりました。空いてる部屋を探してきますから、少しこちらでお待ち下さい」
セインは二人を柱の影に留まらせ、すぐに近くの部屋を覗くと戻って来た。
「幸い、すぐ側の部屋が空いてました。鏡もあるのでこちらにどうぞ」
セインの案内に従い、二人は小部屋に入る。
客用の控え室のような部屋は、ソファとテーブル、小さいがドレッサーと大きい姿見もあり、どうやら女性用らしい。
すぐにクシを取り出し、「失礼します」と、オリヴィアの髪を結い上げた。
いつもユージーンの髪の手入れをしているせいか、手際良くスルスルと結い上げていくのは流石である。
オリヴィアもセインの手際の良さに目を瞠っていた。
程なくしてオリヴィアの髪は元の様な型になった。多少飾りの位置やはらりとした後れ毛の落ち具合が違うが、人の髪型の細部まで覚えている人はいないだろう。セインも全体を見直してから頷く。
「ざっとですが、こんな感じですかね」
「凄いです!こんな短時間で再現出来るなんて!素敵にしてくれてありがとうございます」
前の髪型を、とても気に入っていたオリヴィアは目を輝かせた。
「殿下に髪に触れる許可頂いたので。オリヴィア様の髪型見ておいてよかったです」
「人が結い上げた髪型もちょっと見ただけで再現できるなんて、本当に凄いですね、セインさん」
「おい、いい加減褒めすぎだぞ。セインならそのくらい出来る」
憮然としたユージーンの狭量発言を聞いたオリヴィアがユージーンを嗜める。
「殿下がピン抜いて解いた髪をわざわざ結い上げてくれたんですよ。感謝しすぎる事はありません。それより……セインさん、急に様ってなんですか!?」
「殿下のご伴侶様ですので当然です」
「ま、まだ決まったわけでは………」
「おやそうなのですか?誤解は解けたものと理解しましたが」
訝しげに二人を見る。
「誤解は……まぁ、そうですね、私の勘違いもあったのですが、私自身がまだ理解が追いついていなくてですね……その……」
「まぁ、オリヴィアにはゆっくり考えてもらう事にしたのだ。何しろ、彼女はまだ学生だからな」
「つまり、受け入れて貰えなかったという事ですね」
「はっきり言うな!まだ時間はある」
「オリヴィア様一生の事です。よくよくよーく考えてお決めになって下さいね」
「おいっっ、お前はどちらの味方だ」
「初めに誤解させる言い回しをしたのは殿下ですよ」
他の侍従や護衛たちがいないと、二人は本当に気安い間柄である事が伺える。
オリヴィアは仲良しさんだな、と微笑ましく思った。
何食わぬ顔して三人は会場に戻り、オリヴィアは念願の小海老のカクテルを3つも平らげ、4つ目に突入する前にと、ユージーンがオリヴィアをまたダンスに誘ってテーブルから引き離すと、そのまま3曲続け様に踊った。
その後は緊張するオリヴィアを伴って国王夫妻と王太子に帰りの挨拶すると、三人はささっと会場を後にした。
エキゾチックな格好の二人は会場でも特別に目立ち、オリヴィアやユージーンと踊りたそうにしてた人は多かったものの結局二人はお互い以外は誰とも踊らないままだった。そのせいか、夜会の参加者の多くはバルパスの王太子のお相手はロックス家の長女で、どうやら王太子は大層溺愛していると、口々に噂し合っていたのである。
一旦全員バルパス大使館に戻り、オリヴィアは着替えのためにまたも侍女達に連れて行かれた。
「まぁ、見てご覧なさい。これ、髪が結い直されてますわよ」
「無理もないわぁ、これ程美しく装われて我慢できる殿方はおりません」
「ふふふ、殿下もお嬢様にひれ伏しましたね、我々の勝ちです」
「当然ですわね」
どうやら、侍女達に勘違いされたらしいと、オリヴィアは慌てた。
「いやいやいや、誤解です。私が走り回って髪が乱れたのでセインさんに結い直してもらったんです」
「走り回る??殿下に追いかけられたのですか!」
「まさか、嫌がるお嬢様にご無体を………」
鬼気迫る勢いの侍女達に首を振る。
「追いかけられはしましたが、私が悪いのです。事情を話して離れれば良かったのに、何も言わずに逃げ出したので、殿下は一人は危ないからと心配して付いて来てくれたのです」
「「「「まぁっっっ!!!」」」」
全員のその目が「その話詳しくっっ」と言っていたので、仕方無く夜会での出来事を話し出した。
「「「「殿下が悪いですわね」」」」
話終わった途端に全員が頷き、口を揃えて言う。
「大体、前から腹黒な所がありますのよ、あの殿下は」
「わざと誤解させたままにして、油断してる所で距離を詰めようなんて」
「その間にお嬢様の気持ちを自分に向けてたと思いきや、当のお嬢様はお兄様と仲をずーっと誤解されてたなんて、傑作ですわね!!!」
「本当、いい気味ですわよ。さすが、我らの見込んだお嬢様です」
オリヴィアの態度を諌められると思いきや、全員が良くやったとばかりに笑顔になる。
「えー……まさかの賞賛……」
言いたい放題の侍女達だが、口調は辛辣でも親戚のイタズラ坊主に言う様な口調で、セインといい、王族と言っても案外皆んな仲良しなんだなとオリヴィアは思った。考えてみれば、あのビルが第一王子なのである。敷居はそれ程高くは無いのかもしれない。
「殿下は卒業までは婚約はしないと公言されてますので、ゆっくり考えて良いと思いますよ」
そう言って優しく微笑んだのは、焦茶色の髪に翡翠の色の瞳のクール美女だった。
聞けば彼女達は王妃担当侍女達で、翡翠の瞳の美女はナージャといい、何とセインの婚約者で、ユージーンとも幼馴染だと言う。
家柄も良く仕事の出来る彼女は若くして王妃付き副侍女頭で、ゆくゆくはユージーンの王太子妃の側近になる予定だとか。
「ふふふ、我々は是非オリヴィア様にお仕えしたく、お待ちしておりますわね」
揃って美しい礼をされ、オリヴィアはこの人達も中々の強者達だぞ、と内心冷や汗ものだった。
(私、逃げられるのかな………)
あの殿下にセインにこの侍女達である。
既に負ける気しかしないオリヴィアだった。
入浴し、用意された服に着替えを済ませる。おや?着ていた服は?と思うと、クリーニングをされて綺麗な袋に入ってナージャが手にしている。オリヴィアは大変恐縮した。
「何から何まで本当にお世話になりました」
「殿下のご指示ですからお気になさらず。我々もとても楽しかったですわ」
「こちらこそ、素敵なクリームまで頂いて。お手入れ頑張ります」
「是非、もっともっと美しくなって、殿下をメロメロにして下さいませ」
「既にメロメロですけどね」
「いえいえ、とんでも無い、私など子供扱いですよ」
「まぁ、オリヴィア様ったらご冗談を」
ほほほほほーと上品に笑う侍女達に別れを告げる。
「ありがとうございました。(また会えるかどうかわかりませんが)皆様お元気で」
「「「「(きっとまたすぐに会うことになると思いますが)お気をつけてお帰り下さい」」」」
侍女達はニコリと微笑んで一礼した。
部屋を出るとユージーンが扉の前に立っていた。
「ナージャから連絡もらったから迎えに来た」
「殿下がわざわざ……この服までありがとうございます」
「あぁ、思ったとおり似合うな。もう遅い時間だ。送るから帰ろう」
さりげなく肘を差し出されたタイミングで優雅な仕草で手を添える。夜会で何度もあったシチュエーションなので流れるようにスムーズだ。
ユージーンも適応力の高いオリヴィアに満足気に微笑む。
シンプルな白シャツに黒のパンツを合わせ、いつもよりラフな格好だが、素晴らしいスタイルと持ち前の美貌で何を着ても豪華に見える。
こんな人に婚約者認定されているとは、一般庶民のオリヴィアには夢見心地と言うより恐縮しかない。
「ナージャさん達にもすごく良くして貰って、慣れなくて緊張しましたが、楽しかったです」
「緊張と言いながらセインと沢山食べてたしな。ナージャもオリヴィアは世話のしがいがあって楽しかったと言ってたぞ」
「食事は美味しかったんですよ、本当に。ナージャさん、素敵な人ですね。セインさんの婚約者さんなんですよね。皆さん仲良しで、とても居心地良かったです」
「あぁ、そうだな。ナージャは幼馴染だから仲は良いな。私にも遠慮無く突っ込んで来るし、良く怒られる」
「そうなんですか!凄いですね、ナージャさん、尊敬します」
「こらこら、あまり参考にするなよ」
機嫌良く笑うユージーンの柔らかい雰囲気は、兄が高等部で合った本来のユージーンなのだろう。
王太子で無ければ、二つ返事で結婚したいと思ったに違いない。
王太子でさえ無ければ………
「ん?どうした?」
「あ……ダンスとても上手ですね。レッスンしてくれた先生より踊りやすかったです」
「そうか!いつでも踊りたくなったら言ってくれ。訓練の一環なんだろ、付き合うぞ」
「いやいやいや、私めの為に王族の方の無駄遣いはできませんて」
「私が会いたいんだ、いつでも連絡してくれ」
オリヴィアの耳に嵌っている通信兼イヤリングに触れるついでに耳もさわりと撫でられる。
ひょっ!となったオリヴィアは、なるほどガンガン来るな、油断も隙もないとはこう言う事かと、ぐっと気を引き締めた。
「明日から夏休みですからね、二ヶ月ほど会えませんがお元気で」
「……手強いな。そうだな、夏休みだな、楽しみだ」
「何かご予定が?」
「少々躾の悪い猫が暴れてな。二度と暴れない様飼い主に釘を刺しに行ってくる」
「何か怖いんですけど」
「すぐに戻るから、心配するな」
「だから殿下、顔が怖いんですってぇぇ!!」
心配なのはその猫と飼い主、とは言えなかった。
「一体何をしたのだ……」
訝しむオリヴィアを連れて、ユージーンは送る為に転移をした。
解けて乱れたオリヴィアの髪を見ると目を瞠り、すぐに責めるようにユージーンを見る。
流石にこの短時間で深い関係になったとは思えないが、走って行くオリヴィアを追いかけて行くユージーンを見たものもいるのだ。乱れた髪で戻れば邪推されかねない。
「殿下……この格好で会場まで戻せませんよ、帰るにしても誰に会うかわかりません。オリヴィア様の名誉に関わります」
「わかってる。すまないが整えてもらえるか?」
「はぁぁ……分かりました。空いてる部屋を探してきますから、少しこちらでお待ち下さい」
セインは二人を柱の影に留まらせ、すぐに近くの部屋を覗くと戻って来た。
「幸い、すぐ側の部屋が空いてました。鏡もあるのでこちらにどうぞ」
セインの案内に従い、二人は小部屋に入る。
客用の控え室のような部屋は、ソファとテーブル、小さいがドレッサーと大きい姿見もあり、どうやら女性用らしい。
すぐにクシを取り出し、「失礼します」と、オリヴィアの髪を結い上げた。
いつもユージーンの髪の手入れをしているせいか、手際良くスルスルと結い上げていくのは流石である。
オリヴィアもセインの手際の良さに目を瞠っていた。
程なくしてオリヴィアの髪は元の様な型になった。多少飾りの位置やはらりとした後れ毛の落ち具合が違うが、人の髪型の細部まで覚えている人はいないだろう。セインも全体を見直してから頷く。
「ざっとですが、こんな感じですかね」
「凄いです!こんな短時間で再現出来るなんて!素敵にしてくれてありがとうございます」
前の髪型を、とても気に入っていたオリヴィアは目を輝かせた。
「殿下に髪に触れる許可頂いたので。オリヴィア様の髪型見ておいてよかったです」
「人が結い上げた髪型もちょっと見ただけで再現できるなんて、本当に凄いですね、セインさん」
「おい、いい加減褒めすぎだぞ。セインならそのくらい出来る」
憮然としたユージーンの狭量発言を聞いたオリヴィアがユージーンを嗜める。
「殿下がピン抜いて解いた髪をわざわざ結い上げてくれたんですよ。感謝しすぎる事はありません。それより……セインさん、急に様ってなんですか!?」
「殿下のご伴侶様ですので当然です」
「ま、まだ決まったわけでは………」
「おやそうなのですか?誤解は解けたものと理解しましたが」
訝しげに二人を見る。
「誤解は……まぁ、そうですね、私の勘違いもあったのですが、私自身がまだ理解が追いついていなくてですね……その……」
「まぁ、オリヴィアにはゆっくり考えてもらう事にしたのだ。何しろ、彼女はまだ学生だからな」
「つまり、受け入れて貰えなかったという事ですね」
「はっきり言うな!まだ時間はある」
「オリヴィア様一生の事です。よくよくよーく考えてお決めになって下さいね」
「おいっっ、お前はどちらの味方だ」
「初めに誤解させる言い回しをしたのは殿下ですよ」
他の侍従や護衛たちがいないと、二人は本当に気安い間柄である事が伺える。
オリヴィアは仲良しさんだな、と微笑ましく思った。
何食わぬ顔して三人は会場に戻り、オリヴィアは念願の小海老のカクテルを3つも平らげ、4つ目に突入する前にと、ユージーンがオリヴィアをまたダンスに誘ってテーブルから引き離すと、そのまま3曲続け様に踊った。
その後は緊張するオリヴィアを伴って国王夫妻と王太子に帰りの挨拶すると、三人はささっと会場を後にした。
エキゾチックな格好の二人は会場でも特別に目立ち、オリヴィアやユージーンと踊りたそうにしてた人は多かったものの結局二人はお互い以外は誰とも踊らないままだった。そのせいか、夜会の参加者の多くはバルパスの王太子のお相手はロックス家の長女で、どうやら王太子は大層溺愛していると、口々に噂し合っていたのである。
一旦全員バルパス大使館に戻り、オリヴィアは着替えのためにまたも侍女達に連れて行かれた。
「まぁ、見てご覧なさい。これ、髪が結い直されてますわよ」
「無理もないわぁ、これ程美しく装われて我慢できる殿方はおりません」
「ふふふ、殿下もお嬢様にひれ伏しましたね、我々の勝ちです」
「当然ですわね」
どうやら、侍女達に勘違いされたらしいと、オリヴィアは慌てた。
「いやいやいや、誤解です。私が走り回って髪が乱れたのでセインさんに結い直してもらったんです」
「走り回る??殿下に追いかけられたのですか!」
「まさか、嫌がるお嬢様にご無体を………」
鬼気迫る勢いの侍女達に首を振る。
「追いかけられはしましたが、私が悪いのです。事情を話して離れれば良かったのに、何も言わずに逃げ出したので、殿下は一人は危ないからと心配して付いて来てくれたのです」
「「「「まぁっっっ!!!」」」」
全員のその目が「その話詳しくっっ」と言っていたので、仕方無く夜会での出来事を話し出した。
「「「「殿下が悪いですわね」」」」
話終わった途端に全員が頷き、口を揃えて言う。
「大体、前から腹黒な所がありますのよ、あの殿下は」
「わざと誤解させたままにして、油断してる所で距離を詰めようなんて」
「その間にお嬢様の気持ちを自分に向けてたと思いきや、当のお嬢様はお兄様と仲をずーっと誤解されてたなんて、傑作ですわね!!!」
「本当、いい気味ですわよ。さすが、我らの見込んだお嬢様です」
オリヴィアの態度を諌められると思いきや、全員が良くやったとばかりに笑顔になる。
「えー……まさかの賞賛……」
言いたい放題の侍女達だが、口調は辛辣でも親戚のイタズラ坊主に言う様な口調で、セインといい、王族と言っても案外皆んな仲良しなんだなとオリヴィアは思った。考えてみれば、あのビルが第一王子なのである。敷居はそれ程高くは無いのかもしれない。
「殿下は卒業までは婚約はしないと公言されてますので、ゆっくり考えて良いと思いますよ」
そう言って優しく微笑んだのは、焦茶色の髪に翡翠の色の瞳のクール美女だった。
聞けば彼女達は王妃担当侍女達で、翡翠の瞳の美女はナージャといい、何とセインの婚約者で、ユージーンとも幼馴染だと言う。
家柄も良く仕事の出来る彼女は若くして王妃付き副侍女頭で、ゆくゆくはユージーンの王太子妃の側近になる予定だとか。
「ふふふ、我々は是非オリヴィア様にお仕えしたく、お待ちしておりますわね」
揃って美しい礼をされ、オリヴィアはこの人達も中々の強者達だぞ、と内心冷や汗ものだった。
(私、逃げられるのかな………)
あの殿下にセインにこの侍女達である。
既に負ける気しかしないオリヴィアだった。
入浴し、用意された服に着替えを済ませる。おや?着ていた服は?と思うと、クリーニングをされて綺麗な袋に入ってナージャが手にしている。オリヴィアは大変恐縮した。
「何から何まで本当にお世話になりました」
「殿下のご指示ですからお気になさらず。我々もとても楽しかったですわ」
「こちらこそ、素敵なクリームまで頂いて。お手入れ頑張ります」
「是非、もっともっと美しくなって、殿下をメロメロにして下さいませ」
「既にメロメロですけどね」
「いえいえ、とんでも無い、私など子供扱いですよ」
「まぁ、オリヴィア様ったらご冗談を」
ほほほほほーと上品に笑う侍女達に別れを告げる。
「ありがとうございました。(また会えるかどうかわかりませんが)皆様お元気で」
「「「「(きっとまたすぐに会うことになると思いますが)お気をつけてお帰り下さい」」」」
侍女達はニコリと微笑んで一礼した。
部屋を出るとユージーンが扉の前に立っていた。
「ナージャから連絡もらったから迎えに来た」
「殿下がわざわざ……この服までありがとうございます」
「あぁ、思ったとおり似合うな。もう遅い時間だ。送るから帰ろう」
さりげなく肘を差し出されたタイミングで優雅な仕草で手を添える。夜会で何度もあったシチュエーションなので流れるようにスムーズだ。
ユージーンも適応力の高いオリヴィアに満足気に微笑む。
シンプルな白シャツに黒のパンツを合わせ、いつもよりラフな格好だが、素晴らしいスタイルと持ち前の美貌で何を着ても豪華に見える。
こんな人に婚約者認定されているとは、一般庶民のオリヴィアには夢見心地と言うより恐縮しかない。
「ナージャさん達にもすごく良くして貰って、慣れなくて緊張しましたが、楽しかったです」
「緊張と言いながらセインと沢山食べてたしな。ナージャもオリヴィアは世話のしがいがあって楽しかったと言ってたぞ」
「食事は美味しかったんですよ、本当に。ナージャさん、素敵な人ですね。セインさんの婚約者さんなんですよね。皆さん仲良しで、とても居心地良かったです」
「あぁ、そうだな。ナージャは幼馴染だから仲は良いな。私にも遠慮無く突っ込んで来るし、良く怒られる」
「そうなんですか!凄いですね、ナージャさん、尊敬します」
「こらこら、あまり参考にするなよ」
機嫌良く笑うユージーンの柔らかい雰囲気は、兄が高等部で合った本来のユージーンなのだろう。
王太子で無ければ、二つ返事で結婚したいと思ったに違いない。
王太子でさえ無ければ………
「ん?どうした?」
「あ……ダンスとても上手ですね。レッスンしてくれた先生より踊りやすかったです」
「そうか!いつでも踊りたくなったら言ってくれ。訓練の一環なんだろ、付き合うぞ」
「いやいやいや、私めの為に王族の方の無駄遣いはできませんて」
「私が会いたいんだ、いつでも連絡してくれ」
オリヴィアの耳に嵌っている通信兼イヤリングに触れるついでに耳もさわりと撫でられる。
ひょっ!となったオリヴィアは、なるほどガンガン来るな、油断も隙もないとはこう言う事かと、ぐっと気を引き締めた。
「明日から夏休みですからね、二ヶ月ほど会えませんがお元気で」
「……手強いな。そうだな、夏休みだな、楽しみだ」
「何かご予定が?」
「少々躾の悪い猫が暴れてな。二度と暴れない様飼い主に釘を刺しに行ってくる」
「何か怖いんですけど」
「すぐに戻るから、心配するな」
「だから殿下、顔が怖いんですってぇぇ!!」
心配なのはその猫と飼い主、とは言えなかった。
「一体何をしたのだ……」
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