狼の憂鬱 With Trouble

鉾田 ほこ

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15章

7 初めての夜 前

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 今日のシロウはどうしたのか──。
 嬉しさと同時に、リアムは困惑を深めた。
 動きを止めてしまったリアムに、シロウはきまり悪げに身動いだ。動いたせいで、シロウの中に入ったままの指が肉壁を擦り、小さく呻く。リアムは慌てて指を抜いた。
 シロウは離れていくリアムを視線で追っている。はしたなく求めたことをあきれられたのか不安でしかたがなかった。シロウの甘い香りの中に羞恥と後悔の匂いが混じる。
 リアムは自分が行動を間違えたと気づいた。シロウは本当に止めてほしくはなかったのだ。
 それがわかったとき、これ以上ないほどに猛り、そそりたっていたリアムの屹立がさらに張りつめ嵩を増す。

 リアムは手を伸ばし、シロウの髪をすいて、頬を優しくなでた。
「シロウ……」
 恥ずかしさと悲しさに両目にうっすらと涙を浮かべているシロウに、優しくキスをする。
「本当にいいんだね」
「はい……。あの……ひどくはしないで」
 もとよりそのつもりだ。傷つけるはずがない。蝶よりも花よりも大切に扱う。シロウはリアムの唯一無二のメイトなのだから。
 リアムは傷つけまいと、慎重になりすぎて、シロウの気持ちを置き去りにしていたことを知る。なんとかして、リアムを受け入れたいと思っていることが感じ取れて、天にも昇る気持ちになった。

 触れるようなキスから、粘膜が触れ合う濃厚なキスを繰り返し、再び湿り気を含んだ音をさせ始めたころには、シロウの体もまた熱を帯び始める。
 舌では口の中をまさぐりながら、秘所の割れ目に指をあてれば、とろとろと悦びの涙をあふれさせていた。
 じっくりと指で隘路をかきわける。あふれる蜜を塗りこめるように動かすと、舐めしゃぶるように指をはむ。

「はぁ、んっあっ……」
 シロウが次第に息を荒げだす。肌は桜色に染まり、汗ばんでいた。緊張や不安ではなく、悦を孕んだ反応はリアムの欲望を大いに掻き立てる。
 指を増やして、ゆっくりと中で指を動かしてやるうちに、締め付けが若干緩んできた。
 リアムは体をだんだんと下におろしていく。
 三本に増えた指で奥まで抉り、少しずつ抜き差しするスピードを上げる。立ち上がり少し元気を取り戻したシロウの陰茎にも愛撫を施す。
「あ、あっ、……んん!んあっ」
 シロウは再び頂きに登り始め、激しく乱れた。
 指が抜き差しされるたび、じゅぷじゅぷと奥から溢れた汁が淫猥で官能的な音をたてる。
「いい……、ん、あぁっ!……んっ」
 あと少しで登り切る、そんなところで、リアムはシロウの中から指を抜いた。ぬちゃりと音を出して抜いた指はぬらついて、穴との間につうっと透明な糸をひく。淫らな滴りは尻を伝い落ち、シーツに染みを作った。

 リアムの目の前で、花が咲いた。
 無垢で可憐な花びらは熟れて真っ赤に綻びる。

 シロウは蕩けた狼の瞳をリアムに向ける。ゆっくり目を閉じながら、小さく頷いた。
 リアムはシロウの太ももに手をかける。柔い肌がしっとりと手に吸い付いてくるようだった。
 リアムはシロウの正面に膝立ちになり、ぐっと両脚を開き間に腰をいれると、シロウの身体が緊張にびくりと跳ねた。

「大丈夫……」
 シロウの頭や額に唇をつけるだけのキスを落として、緊張を和らげる。片手でシロウの髪を撫でながら、もう片手で自身を握りその切っ先をしとどに濡れそぼる割れ目に近づけた。
 花びらは可憐でありながら、淫らな匂いが立ち込めている。シロウの身体もリアムの愛撫に興奮し、蕩けきっていた。

 今ならいける気がする──。
 リアムは傷つけないように、ゆっくりと先端をシロウの狭く滑った蜜壺に埋めていく。ぬぷりと少しの抵抗ののちに、太い先っぽをようやく飲み込んだ。
「あぁっ……んあっ!」

 するとすぐさま、リアムの鎌首にシロウの肉の襞がきつくからみつく。
「くっ」とうなったのはリアムのほうであった。
 受け入れてくれたシロウへの愛しさが胸に広がる。繋がれた喜びと気持ちよさで、一瞬達しそうになるがぐっと堪えた。
 奥からとめどなく溢れる蜜で潤んだ中は熱く、リアムのペニスに、吸い付くようにきつく締め付ける。
 シロウの小さな引き締まったそこに切先を入れただけで、リアムはもう色々と限界だった。眩暈がしてくる。
「!……あぅ、………い、痛いっ………」
 シロウの口から苦音が漏れる。
 指とは比較にならない嵩に、シロウは怯えからか無意識に身をずらした。
 無理やり咥えこまされた入口はめいいっぱい引き伸ばされ、焼かれるようにヒリヒリと痛んだ。
 これだけとろけて濡れていればあるいは、と思ったが、未発達のここではこれ以上受け入れるのは難しそうだった。
 リアムが抜こうと腰を動かすと、痛みからか、一際強く中が収縮する。
 リアムの口から荒く、長い息が漏れる。目の前がチカチカとして、背筋に快感が駆け上る。
「!あぁっ……ぐぅ、うぅ……」
 自身の意図せぬ締め付けによって、より中のものが襞に食い込み、シロウは悲鳴のような声をあげた。
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