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十話 転機
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「本当ですか」
「ああ、陛下がどうかと仰られて」
年が変わり、議会で今年度の予算について話し合われた。アルーシャは弟子であるユーリット王子を上手く指導した功績を認められて、研究室の予算がかなり増やされたのである。晴れて窓際研究室を卒業する勢いである。
それだけなら良かったのだが、珍しく本部へ顔を出したアルーシャに上司はとある提案をした。
「で、どうだ。予算もついたことだし、今年こそ弟子を追加で一人二人採ってみるというのは」
「ええ……」
アルーシャは困ってしまった。自分はユーリットと二人きりの研究室をかなり気に入っている。というより、アルーシャ自身がかなり人見知りというか人間に興味が無いので、今まで弟子というものはユーリット以外いない。
「……ありがたいお話です。しかし……僕の研究室は人数を多くとる体制が出来ていませんし……それに、王子のいる場所ですのであまり不用意に人を増やす訳にも」
「きみなあ……ここ数年、この話を持ち掛けるたびに聞いたぞ、その返事」
「そうでしたか?」
こういうときだけ上手いアルーシャの作り笑いを見て、「はあ」と上司は疲れたように溜め息をつく。
「一人、二人くらい変わらんだろ。人選は学校のほうから書類を送って貰って慎重にする。これでも駄目か?」
「ええと……」
折衷案を出されて、アルーシャは口篭もる。王宮も人手不足が叫ばれているのは知っている。近年、穏やかでは無い近隣諸国に触発されて、若い人間が自然と軍に取られているのだ。しかし、こういう時代だからこそアルーシャたち研究者が必要なこともよく分かっているつもりだった。
「……少し、考えさせてください」
持ち帰って、ユーリットにも尋ねてみよう。アルーシャはそう思った。この場で答えを出すことは出来ないし、もし本当に弟子を増やすならユーリットにも了承を取らなければならないからだ。
そう、冷静な判断を下したものの、一方で彼はきっと断るだろうと、心のどこかで思っていたのも事実だった。
「ああ、陛下がどうかと仰られて」
年が変わり、議会で今年度の予算について話し合われた。アルーシャは弟子であるユーリット王子を上手く指導した功績を認められて、研究室の予算がかなり増やされたのである。晴れて窓際研究室を卒業する勢いである。
それだけなら良かったのだが、珍しく本部へ顔を出したアルーシャに上司はとある提案をした。
「で、どうだ。予算もついたことだし、今年こそ弟子を追加で一人二人採ってみるというのは」
「ええ……」
アルーシャは困ってしまった。自分はユーリットと二人きりの研究室をかなり気に入っている。というより、アルーシャ自身がかなり人見知りというか人間に興味が無いので、今まで弟子というものはユーリット以外いない。
「……ありがたいお話です。しかし……僕の研究室は人数を多くとる体制が出来ていませんし……それに、王子のいる場所ですのであまり不用意に人を増やす訳にも」
「きみなあ……ここ数年、この話を持ち掛けるたびに聞いたぞ、その返事」
「そうでしたか?」
こういうときだけ上手いアルーシャの作り笑いを見て、「はあ」と上司は疲れたように溜め息をつく。
「一人、二人くらい変わらんだろ。人選は学校のほうから書類を送って貰って慎重にする。これでも駄目か?」
「ええと……」
折衷案を出されて、アルーシャは口篭もる。王宮も人手不足が叫ばれているのは知っている。近年、穏やかでは無い近隣諸国に触発されて、若い人間が自然と軍に取られているのだ。しかし、こういう時代だからこそアルーシャたち研究者が必要なこともよく分かっているつもりだった。
「……少し、考えさせてください」
持ち帰って、ユーリットにも尋ねてみよう。アルーシャはそう思った。この場で答えを出すことは出来ないし、もし本当に弟子を増やすならユーリットにも了承を取らなければならないからだ。
そう、冷静な判断を下したものの、一方で彼はきっと断るだろうと、心のどこかで思っていたのも事実だった。
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