ラブレター

shoichi

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太陽の光

赤い奴

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「これ、あげる。」

「何これ?」

あいから、ビニール袋を貰った。

「たぶん、ゆうくん、喜ぶよ。」

少しずつ、また、笑顔が増えてきた僕たち。

「開けていい?」

「いいよ。」

ガサガサ。と、音をたてながら、それをドキドキしながら、開けた。

「おっ。こいつは…。」

あいが、笑って、僕の顔を覗きこむ。

「こいつは、あいつだ。」

赤い、あいつだ。

名前が、出てこない。

「可愛いでしょ?」

「うん。可愛いけど、名前…何だっけ?」

アメリカンアニメのマスコット。

あいつだよ。

「あ~!!え~と…。」

「お前も、忘れたの?」

二人して笑って、こいつも笑っている。

「ありがとう。」

「誕生日だったもんね。少し遅くなったけれど。」

「いや、ゴメンね。本当、嬉しいよ。」

CDケースになっている、こいつ。

チャックを開け、お気に入りのCD達を、早速入れる。

こんなに、好かれているのに。

「ゆうくん、大事にしてね?」

プレゼントのことを、言ってるのかな。

「大事にするよ。」

こんな良い子を、傷付けたのに。

「送ってくね。」

「ねぇ。チューは?」

やっぱり、こいつ、可愛いよ。

長いキスをした、夕暮れ時。 
 
僕の部屋を出て、玄関を抜け出し、長い階段を、二人で下る。

「寒い~。」

「ほら。手。」

隣りで微笑む女の子が、僕の右腕にしがみつく。

「ねぇ、あい~。」

「なぁに?」

「俺といて、嬉しいの?」

冷たい風が、吹き付ける。

「うん。嬉しいよ。」

天体観測をした海を、見つめながら、笑うあいが答える。

「好き?」

言葉ほど、不確かな物は無いけれど。

「うん。好き。」

透き通った空から、逃げる太陽。

「どれくらい?」

「いっぱい。」

消えて行く夕日と共に現れた一番星が、無器用な僕らの恋を、静かに見守っていた。 
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